労働衛生(有害業務)49第一種有害化学物質の分類と性状

衛生管理者 労働衛生(有害業務) 問49:有害化学物質の分類と性状

粉じん障害防止規則(粉じん則)に基づく粉じん作業の管理に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 粉じん則では、粉じん作業を「特定粉じん作業」と「その他の粉じん作業」に区分しており、特定粉じん作業は遊離けい酸(石英SiO₂)を一定割合以上含む粉じんを発生させる作業であり、より厳しい規制が適用される。
  • 特定粉じん作業において、じん肺等の発症リスクが高い作業では、事業者は粉じんの発生を抑制または除去するための設備(除じん装置・湿式化・密閉化等)の設置が義務付けられている。
  • 粉じん則では、一定の粉じん作業に従事する労働者に対して、有効な防じんマスクを着用させることが義務付けられているが、防じんマスクの代わりに送気マスクまたは空気呼吸器を使用することは規則上認められていない。正答
  • 粉じん作業に係る作業環境測定は、粉じん則の定める一定の指定作業場において6か月以内ごとに1回実施することが義務付けられており、測定結果の記録は7年間保存しなければならない。
  • 粉じん則の対象となる「粉じん作業」には、岩石・鉱物・炭素の切削・研磨・研削・穿孔等のほか、セメント・肥料・農薬等の袋詰め作業も含まれる場合がある。
正答:粉じん則では、一定の粉じん作業に従事する労働者に対して、有効な防じんマスクを着用させることが義務付けられているが、防じんマスクの代わりに送気マスクまたは空気呼吸器を使用することは規則上認められていない。

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誤りはウです。粉じん則では防じんマスクの着用を義務付けていますが、防じんマスクの代わりに送気マスクまたは空気呼吸器を使用することも認められています。「送気マスク・空気呼吸器の代替使用が規則上認められていない」という記述が誤りです。実際には、酸素欠乏危険場所での粉じん作業など防じんマスクでは酸素不足を防げない状況では給気式保護具(送気マスク・空気呼吸器)の使用が必要となります。

ア(特定粉じん作業の定義)・イ(除じん装置等の設置義務)・エ(作業環境測定の頻度と記録保存7年)・オ(粉じん作業の範囲)はすべて正しい内容です。

標準試験対策の基準レベル

粉じん則の主要規定の概要:

| 規制内容 | 対象 | 義務の内容 |

|---|---|---|

| 除じん設備等の設置 | 特定粉じん発生源 | 局所排気装置・プッシュプル型換気・全体換気・湿式散水・密閉化等の設置義務 |

| 作業環境測定 | 特定粉じん作業等の屋内作業場 | 6か月以内ごとに1回 |

| 作業環境測定記録保存 | — | 7年間(じん肺法との整合性) |

| 呼吸用保護具の使用 | 一定の粉じん作業 | 有効な呼吸用保護具(防じんマスク・防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(P-PAPR)・送気マスク・空気呼吸器等)。ただしずい道等の内部での作業は送気マスク又は空気呼吸器に限る |

| 特殊健康診断 | 粉じん作業従事者 | じん肺法に基づく健診(頻度は管理区分による) |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 粉じん則第2条で「特定粉じん作業」を定義。遊離けい酸含有率7%以上の粉じんを発生させる作業が特定粉じん作業となり、除じん装置の設置義務・防じんマスクの等級要件等がより厳しく規定されます。
  • イ(正): 特定粉じん作業では発生源に対する工学的対策(除じん装置・湿式化・密閉化等)の設置が事業者に義務付けられます(粉じん則第4条・第5条等)。
  • ウ(誤): 粉じん則では「防じんマスク・送気マスク・空気呼吸器のいずれかを使用させること」と規定されており、送気マスク・空気呼吸器の代替使用が認められています。「認められていない」は誤りです。
  • エ(正): 粉じん則第26条に基づき粉じん作業の作業環境測定記録は7年間の保存が義務。これはじん肺法の健診記録保存(7年)と一致しています(有機則3年・特化則3〜30年等と比較して長い)。
  • オ(正): セメント・鉱物・農薬等の袋詰め・運搬作業は粉じん作業(粉じん則別表第1に列挙される「粉じん作業」の範囲)に含まれる場合があります。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

粉じん障害防止規則(粉じん則)は、安衛法を根拠とするじん肺の予防のための特別規則です。1979年に制定され、「粉じんの発生を抑制する工学的対策」を最優先とし、その補完として「呼吸用保護具の使用(最後の手段)」を位置付けるという工業衛生の階層的対策の考え方に基づいて設計されています。特定粉じん作業(遊離珪酸含有)と一般粉じん作業の二分類は、遊離珪酸の特異的な線維化能(他の粉じんより強い珪肺誘発性)を反映した区分です。

粉じん則の特定粉じん発生源と除じん措置の義務(粉じん則第4条・別表第2):

  • 岩石等の切削・穿孔・採石作業(採掘現場・建設工事):湿式処理・局所排気装置等の義務
  • 研磨・研削作業(グラインダー・砥石加工):局所排気装置・囲い式フード等の義務
  • 骨・角・歯・貝等の研磨・粉砕作業:密閉化・湿式化等の義務
  • ずい道(トンネル)等の内部での粉じん発生作業:送風機による強制換気・防護具等の義務

送気マスク・空気呼吸器の代替使用が認められる理由:

防じんマスク(ろ過式)は周囲の空気をフィルターにかけて粉じんを除去しますが、以下の条件では不適切であり、給気式保護具が必要です:

1. 酸素濃度が低い環境(18%未満:酸欠危険場所での粉じん作業):防じんマスクは酸素を補給できない

2. 高濃度の有毒ガスが混在する環境:防じんマスクはガスを除去できない

3. 呼吸抵抗が問題となる長時間作業:送気マスクの方が呼吸が楽

このため粉じん則第27条では「有効な呼吸用保護具」として防じんマスク・防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(P-PAPR)・送気マスク・空気呼吸器等の選択肢が与えられており、特に別表第3第5号の作業(ずい道等の内部での作業)については送気マスク又は空気呼吸器に限定されています(より確実な給気式が求められる)。いずれにせよ「送気マスク・空気呼吸器の使用が認められていない」という記述は条文に反します。

【実務・条文構造】

粉じん作業の定義(粉じん則別表第1):

粉じん則は「別表第1に掲げる作業」を「粉じん作業」として規制対象とします。主な列挙作業:

1. 土石・岩石・鉱物・炭素・アルミニウム等の切削・穿孔・採石・ずり積み・積込み等

2. セメント・カーボンブラック・パルプ・粉末状の農薬・肥料等の袋詰め作業(一定規模以上)

3. ガラス・タイル・陶磁器・耐火物等の製造・加工

4. アルミニウム・マグネシウム等の金属の研磨・研削

5. 石綿の切断・穿孔・研磨(石綿則に移行)

粉じん作業の作業環境測定と評価(粉じん則第25条・第26条):

  • 対象:屋内の特定粉じん発生源がある作業場
  • 頻度:6か月以内ごとに1回(じん肺健診とは別の義務)
  • 測定機器:重量法(ローボリュームサンプラー等)・相対濃度指示法(デジタル粉じん計等)
  • 評価:管理濃度との比較→管理区分の判定→必要に応じて改善措置
  • 記録保存:7年間(有機則・特化則の3年より長い設定)

なぜ粉じん作業の記録保存が7年と長いのか:

じん肺は発症までに10〜30年を要する進行性疾患です。環境測定の記録が7年保存されることで、疾患発症時に「当時の作業環境濃度を遡及確認できる」ようになります。また労働者補償(業務起因性の証明)においても測定記録が重要な証拠となります。有機溶剤業務の3年保存と比較して長い設定は、じん肺の長い潜伏期を考慮した制度設計です。

【試験での位置づけ】

粉じん則問題の最頻出は「特定粉じん作業(遊離珪酸7%以上)の定義」「作業環境測定は6か月ごと・記録保存は7年(3年は誤り)」「呼吸用保護具は防じんマスク・送気マスク・空気呼吸器のいずれも可(排他的ではない)」「除じん装置等の工学的対策の優先義務」の4点です。ウのような「送気マスク・空気呼吸器の代替は認められない」という誤りは、防じんマスクの排他的義務という誤解を誘発した引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 遊離珪酸(石英・クリストバライト・トリジマイト等の結晶性シリカ)の含有率7%という閾値の意味は、「7%以上では呼吸性粉じんの主要成分が石英となり、じん肺(特に珪肺)リスクが非常に高くなる」という経験的・医学的根拠に基づいています。岩石の種類によって遊離珪酸含有率は大きく異なり(花崗岩・砂岩は高い・石灰岩は低い)、採掘する岩石の組成を事前に把握することが管理の出発点となります。
  • エ: 7年保存というルールは「じん肺の潜伏期(10〜30年)に比べると短い」という批判もありますが、実務上の保存負担とのバランスから設定されています。石綿作業の40年保存(石綿則)と比較しても短い設定ですが、粉じん一般(非石綿)については現時点では7年が規定されています。
  • オ: セメントの袋詰め作業はセメント粉じん(アルカリ性の強い粉じん・皮膚刺激性・呼吸器刺激性)への曝露リスクがある代表的な粉じん作業です。セメントの遊離けい酸含有率は低い(1〜2%程度・特定粉じん作業の閾値7%未満)ため一般粉じん作業に分類されますが、長期曝露による肺への蓄積は管理が必要です。

【根拠】粉じん障害防止規則(粉じん則)第2条(特定粉じん作業の定義)・第4条・第5条(除じん措置)・第25条(作業環境測定)・第26条(記録保存7年)・別表第1(粉じん作業の列挙)。呼吸用保護具として防じんマスク・送気マスク・空気呼吸器のいずれも使用可能であることは粉じん則に規定。

【補足】ウ(誤): 防じんマスクの代わりに送気マスク・空気呼吸器の使用も認められている(「認められていない」は誤り)。粉じん作業環境測定記録=7年保存(3年は誤り)。特定粉じん作業=遊離珪酸7%以上(より厳しい規制)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 粉じん障害防止規則(粉じん則)・じん肺法。防じんマスクの代替として送気マスク・空気呼吸器は認められており、「認められていない」という記述が誤り。また粉じん作業環境測定の記録保存は粉じん則第26条により7年間(じん肺法の健診記録も7年)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

関連論点

粉じん則の対象作業・除じん装置・呼吸用保護具義務頻出度B

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科目別に解いて、衛生管理者に合格

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