基本情報 平成21年度 秋期 問11:テクノロジ系に関する問題
プロセッサにおけるパイプライン処理方式を説明したものはどれか。
- a単一の命令を基に, 複数のデータに対して複数のプロセッサが同期をとりながら 並列にそれぞれのデータを処理する方式
- b一つのプロセッサにおいて, 単一の命令に対する実行時間をできるだけ短くする 方式
- c一つのプロセッサにおいて, 複数の命令を少しずつ段階をずらしながら同時実行 する方式正答
- d複数のプロセッサが, それぞれ独自の命令を基に複数のデータを処理する方式
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは c です。
パイプラインは「工場の流れ作業ライン」のイメージ。1つの命令を「取ってくる→読み解く→計算する→結果を書く」の4工程で進めるとき、工程1が終わって工程2に進んだら、すぐ次の命令の工程1を始める。すると複数の命令が少しずつ段階をずらしながら同時に進んでいて、全体の処理が速くなります。
👉 覚え方:「ベルトコンベアで少しずつズラして並行進行」=パイプライン。
ほかの選択肢:a 1つの命令で複数データを同時処理=SIMD(並列処理)/b 1命令の時間を短くする=普通の高速化/d 複数CPUで別の命令を実行=MIMD(マルチプロセッサ)。
なぜこれが正解か
正解は c。パイプライン処理は、1つの命令を複数のステージ(典型的にはIF=命令フェッチ、ID=デコード、EX=実行、MA=メモリアクセス、WB=書戻し)に分け、各ステージで異なる命令を1サイクルずつずらして並列に処理する方式。各サイクルで1命令完了するスループット向上が狙い。
各選択肢の解説
- a「単一命令で複数データ、複数プロセッサ同期並列」=SIMD(Single Instruction Multiple Data、ベクトル命令)。
- b「単一命令の実行時間を短く」=高速化一般。パイプラインではなく単発命令の最適化。
- d「複数プロセッサが独自の命令で複数データを処理」=MIMD(Multiple Instruction Multiple Data、マルチプロセッサ)。
覚え方・ひっかけ注意
フリンの分類:SISD(普通の1命令1データ)/SIMD(ベクトル、GPU)/MISD(ほぼ理論上のみ)/MIMD(マルチコア)。パイプラインは同一プロセッサ内で命令を時間的にずらすので、SIMDとは別軸の概念。
理論的背景
パイプライン段数Nのプロセッサは理論上スループットをN倍にできるが、ハザードで実効性能が落ちる。3大ハザード:(1) 構造ハザード=同一HW資源の競合、(2) データハザード=先行命令の結果を後続命令が使う依存、(3) 制御ハザード=分岐命令での予測ミス。対策としてフォワーディング(バイパス)、ストール(パイプライン停止)、分岐予測(静的/動的、2ビット予測、TAGE予測器)、投機実行が現代CPUに実装される。Intel Pentium 4は20段超の深いパイプライン、Core i7世代では14〜19段、Apple M1は8段(広いパイプライン優先)と設計思想が異なる。
実務での使われ方
パイプライン制御のセキュリティ問題として2018年公表のSpectre/Meltdown脆弱性が著名。投機実行とキャッシュ副作用を利用してメモリ内容を盗む攻撃で、CPUマイクロコード更新とOS側パッチで対策された。性能面ではスーパースカラ(1サイクルに複数命令発行)、Out-of-Order Execution(命令順序入替え)、SMT/HyperThreading(1物理コアで複数論理コア)と組み合わせ現代CPU性能を支えている。
試験での位置づけ
FE科目Aではパイプライン処理の定義・ハザード問題が頻出。応用情報・エンベデッドシステムスペシャリストではパイプライン段数とクロックの計算、CPI(Clocks Per Instruction)、IPC(Instructions Per Clock)の指標計算が必出。
選択肢の発展補足
関連並列化技術:ILP(命令レベル並列、パイプライン/スーパースカラ)/DLP(データレベル並列、SIMD/SIMT)/TLP(スレッドレベル並列、マルチコア)/RLP(要求レベル並列、複数サーバ)。VLIW(Very Long Instruction Word、Itanium)はコンパイラが並列実行を静的に決める方式で、HW複雑度を下げる代わりにコンパイラ負荷が大きい。GPUはSIMTで数千スレッドを並列実行し、AI処理の主役。RISC-Vは近年急速に普及するオープンISAで、組込み・クラウド両方で採用が進む。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成21年度 秋期 問11/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。