基本情報 平成25年度 秋期 問49:テクノロジ系に関する問題
包括的な特許クロスライセンスの説明として, 適切なものはどれか。
- aインターネットなどでソースコードを無償公開し, 誰でもソフトウェアの改良及 び再配布がザ行えをるようにすること
- b技術分野や製品分野を特定し, その分野の特許権の使用を相互に許諾すること正答
- c自社の特許権が侵害されるのを防ぐために, 相手の製造をやめさせる権利を行使 すずること
- d特許登録に必要な費用を互いに分担する取決めのこと
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答えは b です。
「特許クロスライセンス」は「お互いに持っている特許を使い合おう」という契約。
「包括的」というのは「1個ずつじゃなくて、ある分野まるごとセットでOK」という意味。
たとえばスマホ会社同士が「通信技術の特許を、お互いの製品で自由に使っていいよ」と合意するイメージ。お金や訴訟リスクを減らせます。
👉 覚え方:「クロス=十字=お互いにライセンスを渡し合う」。
ほかの選択肢:a オープンソース/c 差し止め請求/d 出願費用の分担。どれもクロスライセンスとは別物。
なぜこれが正解か
正解は b。特許クロスライセンスは複数の特許権者間で互いの特許の実施権を許諾し合う契約。「包括的」とは個別特許単位ではなく技術分野や製品分野を特定してその範囲の特許群を一括対象とする形態を指す。これにより訴訟リスクを回避し、技術開発を促進する効果がある。
各選択肢の解説
- a:オープンソースソフトウェア(OSS)のライセンスの説明。特許とは別概念。
- c:差止請求権の説明。特許権侵害に対する救済手段の一つで、クロスライセンスとは正反対の権利行使。
- d:特許出願費用の分担=共同出願や出願費用分担契約の話。クロスライセンスとは無関係。
覚え方・ひっかけ注意
「クロス=交差=相互、包括=分野ごと一括」で覚える。スマホ業界(Apple/Samsung、Nokia/Microsoft等)、半導体(Intel/TSMC等)、通信規格(標準必須特許:SEP)でクロスライセンスは多用される。FRAND条件(公正・合理的・非差別的)を付与した標準必須特許との混同に注意。クロスライセンスは私的契約、FRANDは標準化団体の枠組み。
理論的背景
特許権は属地主義(各国ごとに独立、パリ条約第4条の2)に基づき独占排他権を付与する産業財産権。特許権者は実施権(ライセンス)を他者に許諾でき、専用実施権(独占的)と通常実施権(非独占的)に分類される。クロスライセンスは当事者間の通常実施権の相互許諾で、無償の場合と差額ライセンス料を伴う場合がある。包括的クロスライセンスは特定分野の特許群(ポートフォリオ)を一括対象とし、個別の特許リスト管理が不要になる利点がある。
実務での使われ方
半導体・通信・モバイル業界では巨額の研究開発投資と多重特許の網(パテントスィケット)があり、企業が単独で全特許を回避するのは事実上不可能。包括的クロスライセンスは「相互保証破壊(MAD的均衡)」として機能する。代表例: Microsoft-IBM(1990年代)、Apple-Samsung(2014年和解)、自動車業界のEV特許開放(Tesla 2014年)。標準必須特許(SEP)を持つ企業はETSI/IEEE等の標準化団体が定めるFRAND条件に従いライセンスする義務を負い、訴訟ではFRAND料率を巡る論争が頻発(Huawei v. ZTE事件、最高人民法院2017等)。日本では独占禁止法の特許不公正取引方法(独禁法ガイドライン)にも留意。
試験での位置づけ
FE/APのストラテジ系(法務)で頻出。①著作権・特許権・実用新案権・意匠権・商標権の知財5法、②クロスライセンス・包括ライセンス・専用実施権・通常実施権、③不正競争防止法(営業秘密の3要件: 秘密管理性・有用性・非公知性)、④オープンソースライセンス(GPL/MIT/Apache)、が定番。
選択肢の発展補足
パテントトロール(NPE: Non-Practicing Entity)は自社で実施せず特許訴訟で収益を得る業態で、クロスライセンスの「相手の特許を恐れる」効果が効かないため対処困難。これに対しディフェンシブ・パテント・プール(OINネットワーク、LOTネットワーク等)で集団防衛する戦略が広まっている。OSS分野ではGPLv3が「特許報復条項」で参加企業の特許権主張を抑止する仕組みを内蔵。日本企業はAPIライセンスやSEPライセンスでも積極的に交渉する必要があり、知財戦略はビジネス戦略の中核。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成25年度 秋期 問49/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。