ITパスポート 令和3年度 問44:サービスマネジメントに関する問題
ITサービスマネジメントにおいて,サービスデスクが受け付けた難度の高いインシデントを解決するために,サービスデスクの担当者が専門技術をもつ二次サポートに解決を委ねることはどれか。
- aFAQ
- bSLA
- cエスカレーション正答
- dワークアラウンド
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答えは c「エスカレーション」 です。
サポート窓口(サービスデスク)で「これは自分には難しい…」という問い合わせが来たとき、もっと詳しい専門チームに"バトンを渡して"任せますよね。この引き継ぎがエスカレーションです。
お店で店員さんが「店長を呼んできますね」と上の人に対応を代わってもらう、あの感じです。
👉 覚え方:エスカレーション=「手に負えないから上(専門)へ引き継ぐ」。
ほかの選択肢:a FAQ=よくある質問と答え集/b SLA=サービスの品質を約束する取り決め/d ワークアラウンド=根本解決の前のとりあえずの回避策。
なぜこれが正解か
正解は c。エスカレーションは、サービスデスク(一次対応)で解決が難しいインシデントを、より専門的な技術をもつ二次サポート(上位グループ)に引き継いで対応を委ねること。問題文の状況にそのまま一致する。
各選択肢の解説
- a FAQ:よくある質問とその回答をまとめたもの。自己解決を促す情報提供。
- b SLA(Service Level Agreement):サービス提供者と利用者の間で合意するサービス品質水準(応答時間・稼働率など)の取り決め。
- d ワークアラウンド:根本解決前にインシデントの影響を回避・軽減する暫定的な対処策。
覚え方・ひっかけ注意
エスカレーションには、専門性の高い担当へ渡す「機能的(水平)エスカレーション」と、管理者・上位者へ判断を仰ぐ「階層的(垂直)エスカレーション」がある。本問は専門技術の二次サポートへ=機能的エスカレーション。「手に負えない案件を専門・上位へ引き継ぐ」がキーワード。
サービスデスクの設計とエスカレーション体制
サービスデスクはITSM(ITサービスマネジメント)におけるSPOC(Single Point of Contact:単一窓口)として機能し、利用者とIT組織間のすべての通信を一元化する。配置形態として①ローカルサービスデスク(各拠点に設置・高い即応性)、②中央サービスデスク(集約による専門性・効率性向上)、③バーチャルサービスデスク(地理的に分散したスタッフがITで連携・24/7対応)、④フォロー・ザ・サン(世界3地点が時差を利用して24時間カバー)がある。エスカレーション体制は一般にL1(サービスデスク:一般的な問合せ・パスワードリセット等を解決)→L2(専門技術チーム:特定製品・サブシステムの対応)→L3(開発チーム・ベンダー:製品バグや高度な問題)という階層で設計される。
エスカレーションの2類型と実務設計
機能的(水平)エスカレーション:専門知識・スキルが不足している場合に、同一階層の別のより専門的なグループへ引き継ぐ(本問のケース)。階層的(垂直)エスカレーション:SLA違反の恐れ・重大インシデント・利用者の不満が高いといった管理上の理由で上位のマネジャーや役員への報告・意思決定を求める。エスカレーションの発動条件(しきい値)はSLA(応答時間・解決時間の目標)と整合させて定義し、SLAの残り時間を「警告(Warning)→エスカレーション(Escalation)」の自動トリガーとするITSMツール(ServiceNow・Jira Service Management等)が実務標準。
周辺概念の精密な整理
- FAQ(Frequently Asked Questions):ナレッジベースの最もシンプルな形態で、一次解決率(FCR:First Contact Resolution)を高めることでエスカレーション件数を削減する。
- SLA(Service Level Agreement):応答時間・解決時間・稼働率等のサービス品質水準を発注者・受注者間で合意した文書。エスカレーションのしきい値設計の基準。
- ワークアラウンド:問題管理のKEDB(既知の誤りデータベース)に記録された暫定回避策で、インシデント管理での迅速な影響軽減に使われる。根本原因解決(恒久対策)が完了するまでの一時的なもの。
上位資格への接続
基本情報技術者ではITIL4の4つのプロセス(インシデント・問題・変更・リリース管理)とサービスデスクの役割・SLAの設計要素・エスカレーションの種類・ワークアラウンドとKEDBの関係が問われる。応用情報以上ではITIL4のサービスバリューチェーン・ServiceNow等のITSMツールの機能構成・ISO/IEC 20000との認証基準の関係まで踏み込む。
選択肢の発展補足
FAQ(選択肢a)はセルフサービスポータルに統合されることが多く、チャットボット(LLM統合型)による自動回答と組み合わせることで24/7の一次解決を実現する現代型サービスデスクの核心技術となっている。SLA(選択肢b)はOLA(Operational Level Agreement:内部チーム間の合意)・UC(Underpinning Contract:ベンダーとの契約)の3層構造で運用され、L1→L2→L3への引き継ぎ時間目標もOLAとして管理される——エスカレーション設計とSLA/OLA体系は密接に連動する。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問44/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。