ITパスポート 令和3年度 問46:プロジェクトマネジメントに関する問題
システム要件定義で明確にするもののうち,性能に関する要件はどれか。
- a業務要件を実現するシステムの機能
- bシステムの稼働率
- c照会機能の応答時間正答
- d障害の復旧時間
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答えは c「照会機能の応答時間」 です。
「性能」とは、システムが“どれだけ速く・サクサク動くか”のこと。ボタンを押してから結果が出るまでの待ち時間がこれにあたります。
レストランでたとえると、「注文してから料理が出てくる速さ」が性能です。
👉 覚え方:性能=「速さ・サクサク感」。応答時間(待ち時間)がこれ。
ほかの選択肢:a 機能=「何ができるか」(メニューの種類)/b 稼働率=「お店が開いている割合」(止まらず動く度合い)/d 復旧時間=「壊れたとき直るまでの時間」。どれも速さの話ではないですね。
なぜこれが正解か
正解は c。性能要件とは、システムの処理の速さや量に関する要件で、応答時間(レスポンスタイム)・スループット・同時利用者数などが該当する。「照会機能の応答時間」はまさに速さの指標なので性能要件にあたる。
各選択肢の解説
- a 機能要件:業務をどう実現するかの「機能」そのもの。性能ではなく機能の話。
- b システムの稼働率:止まらず動く割合を示す「可用性(信頼性)」要件。
- d 障害の復旧時間:故障から回復するまでの時間で、こちらも「可用性・保守性」要件。
覚え方・ひっかけ注意
要件は大きく 機能要件 と 非機能要件 に分かれ、性能・可用性・セキュリティ等は非機能要件。同じ非機能でも「速さ=性能」「止まらなさ=可用性」と区別する。応答時間が出たら性能、稼働率・復旧時間が出たら可用性、と覚えると迷わない。
理論的背景
システム要件を「機能要件」と「非機能要件」に大別する考え方は、IPA が策定した「非機能要求グレード」(NFR グレード)で体系化されている。非機能要件は可用性・性能/拡張性・運用/保守性・移行性・セキュリティ・システム環境/エコロジーの6大項目に分類される。本問で問われる「性能」はこの「性能/拡張性」カテゴリに属し、主な指標として以下が挙げられる。
- レスポンスタイム(応答時間): 利用者がリクエストを送信してから画面に結果が返るまでの時間。照会機能の応答時間がこれに直接あたる。
- スループット: 単位時間あたりに処理できる件数やデータ量。
- ターンアラウンドタイム: バッチ処理などで全処理が完了するまでの総経過時間。
- 同時接続数: 負荷ピーク時に捌ける同時利用者数。
性能要件は ISO/IEC 25010(システムおよびソフトウェア品質モデル)でも「時間効率性」「資源効率性」「キャパシティ」として定義されており、国際規格上も独立した品質特性として扱われている。
実務での使われ方
性能要件は SLA(サービスレベル合意書)の定量目標として明文化され、「照会画面の応答時間は95パーセンタイルで2秒以内、ピーク同時接続数200」のように測定可能な数値で合意する。曖昧な「速く動くこと」という表現では受入テストの基準が定まらず、検収トラブルの原因になる。そのため要件定義工程では必ず計測方法・基準値・例外条件を三点セットで記述するのが実務標準だ。性能テスト(負荷テスト・ストレステスト)はこの定量目標を達成できるかを検証する専用工程として開発後期に実施される。Apache JMeter や Gatling など負荷生成ツールを用いて目標値との乖離を検出し、ボトルネック(SQL のフルスキャン・N+1 問題・ネットワーク帯域等)を特定して改善する。
試験での位置づけ
ITパスポートでは機能要件と非機能要件の切り分けが最頻出の出題パターンであり、特に「稼働率=可用性」「応答時間=性能」「復旧時間(RTO)=可用性/保守性」という三者の混同を意図した設問が繰り返し登場する。同一の「非機能」カテゴリに属しながら概念が異なるためひっかかりやすい。応用情報技術者・基本情報技術者では、キャパシティプランニング(将来の利用増を想定した設計)、性能モデリング(Little の法則・待ち行列理論)、性能 KPI のモニタリング体制まで踏み込んで問われる。上位資格を意識するなら「性能 = 速さ × 量 × 同時性」の三軸で整理し直しておくとよい。
選択肢の発展補足
選択肢 a「業務要件を実現するシステムの機能」 は機能要件そのものであり、性能とは軸が異なる。機能(何ができるか)と性能(どれほど速くできるか)は完全に独立した評価軸で、高機能でも低性能なシステムは実用上問題になる。
選択肢 b「システムの稼働率」 は可用性(Availability)要件で、IPA 非機能要求グレードの可用性カテゴリに属する。稼働率 = MTBF ÷(MTBF + MTTR)という計算式も上位試験で頻出。
選択肢 d「障害の復旧時間」 は RTO(Recovery Time Objective: 目標復旧時間)と呼ばれ、これも可用性・保守性要件。BCP/DR の文脈では RPO(目標復旧時点)と対で管理されており、バックアップ頻度設計に直接影響する。基本情報技術者では RTO・RPO の概念定義と、それらを達成するためのホットスタンバイ・ウォームスタンバイ・コールドスタンバイの使い分けまで問われる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問46/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。