令和4年度15マネジメント系

ITパスポート 令和4年度 問15:業務分析・モデリングに関する問題

業務プロセスを,例示するUMLのアクティビティ図を使ってモデリングしたとき,表現できるものはどれか。 (図:業務群Aと業務群Bのスイムレーンに業務a・業務b・業務cが記載されたアクティビティ図)

  • a業務で必要となるコスト
  • b業務で必要となる時間
  • c業務で必要となる成果物の品質指標
  • d業務で必要となる人の役割正答
正答:D業務で必要となる人の役割

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答えは d「業務で必要となる人の役割」 です。

アクティビティ図は、仕事の流れ(誰が何をどの順でやるか)を矢印で表す図です。図には「業務群A」「業務群B」という縦のレーン(プールを区切る泳ぐコース=スイムレーン)があって、これが『この仕事は誰の担当か』という役割分担を表します。

👉 覚え方:スイムレーン=担当者ごとの“レーン(コース)”。だから表せるのは『役割』。

ほかの選択肢:a コスト(お金)/b 時間/c 品質指標 → アクティビティ図は流れと役割を描く図で、金額や時間や品質の数値は表しません。

標準試験対策の基準レベル

なぜこれが正解か

正解は d。UMLのアクティビティ図は、業務やシステムの処理の流れ(一連のアクティビティの順序・分岐・並行)を表す図。設問の図にあるスイムレーン(パーティション)は、各アクティビティが「どの担当者・組織の役割か」を区分けする要素。よって表現できるのは d 人の役割(担当)

各選択肢の解説

  • a コスト、b 時間:アクティビティ図は処理の流れと担当を示すもので、金額や所要時間の数値は本来表現対象ではない。
  • c 成果物の品質指標:品質の数値も表現対象外。

覚え方・ひっかけ注意

アクティビティ図=処理の流れ+スイムレーンで役割分担」と覚える。スイムレーン(縦/横のレーン)が出たら「誰がやるか=役割」を表していると即判断。フローチャートの上位互換で、並行処理や担当の分担まで描けるのが特徴。

上級誤答論破・背景理論まで深掘り

理論的背景

UML(Unified Modeling Language)はソフトウェア設計のためのモデリング言語であり、1997年にOMG(Object Management Group)によって標準化された。UML 2.0以降は13種類のダイアグラムが定義されており、アクティビティ図はその中の「振る舞いダイアグラム」に分類される。

アクティビティ図(Activity Diagram)は処理の流れ(フロー)を表現するダイアグラムで、以下の主要要素で構成される。

  • アクティビティ(Activity):一連のアクションからなる行動(実行単位)
  • アクション(Action):個々の処理ステップ(角丸長方形で表現)
  • 制御フロー(Control Flow):処理の順序を示す矢印
  • フォーク/ジョイン(Fork/Join):並行処理の分岐・合流
  • デシジョン/マージ(Decision/Merge):条件分岐
  • スイムレーン(Swim Lane):処理を担当する人・組織・システムの境界を示す「泳ぐ区画」

本問が問うのはスイムレーンが表現できるものであり、スイムレーンは「業務群A」「業務群B」のような区画を設けることで、「どの役割(人・組織・システム)が」「どの処理を担当するか」を可視化する。これにより業務で必要となる人の役割(選択肢d)が表現できる。

コスト(選択肢a)・時間(選択肢b)・品質指標(選択肢c)はアクティビティ図の標準的な表現要素ではない。これらを表現するには別の手法(コスト→工数見積もりやABC原価計算表、時間→ガントチャートやPERT図、品質→管理図や品質保証マトリクス)が適している。

実務での使われ方

アクティビティ図は業務フロー分析(BPA:Business Process Analysis)やシステム要件定義で広く使われる。特に「複数の部門・役割にまたがる業務プロセス」の可視化に強力で、スイムレーンを使って「営業部が受注 → 生産管理部が製造指示 → 製造部が生産 → 物流部が出荷」という担当役割とフローを一枚の図で表現できる。

業務改善(BPR・BPM)のプロジェクトでは、現状の業務フローをアクティビティ図で「AS-IS」として可視化し、改善後の「TO-BE」を描いて、非効率な承認ステップや重複作業を特定する。システム開発では要件定義段階でユーザー業務をアクティビティ図でモデリングし、システム化すべき機能範囲(スコープ)を確定する。

BPMN(Business Process Model and Notation)はアクティビティ図の概念をビジネスプロセス管理に特化して発展させた表記法で、UMLより詳細な業務プロセス定義に使われる。

試験での位置づけ

ITパスポートのマネジメント系・業務分析分野で出題。UMLダイアグラムの種類(クラス図・シーケンス図・ユースケース図・アクティビティ図・ステートマシン図等)の区別と用途理解が問われる。本問はスイムレーンという特徴的な要素を通じて「アクティビティ図が表現できるもの」を問う形式で、コスト・時間・品質指標(いずれも数値的な定量表現)がアクティビティ図では表せないという理解が正答の核。

上位資格では、UML各ダイアグラムの詳細な記法(スイムレーンの種類・ガードの記述法・オブジェクトフロー)、アクティビティ図とシーケンス図の使い分け、BPMN2.0との比較まで踏み込んだ問題が出る。

選択肢の発展補足

選択肢a(業務で必要となるコスト):業務コストの可視化にはABC(Activity Based Costing:活動基準原価計算)が適している。各アクティビティに消費するリソースコストを割り当てて、製品・サービスの真のコスト構造を把握する。アクティビティ図の「アクティビティ(活動)」と名称が似ているが、ABCとUMLアクティビティ図は全く別のフレームワーク。業務フローにコストを付加したい場合はアクティビティ図にコスト情報をテキスト注釈として追記する方法もあるが、これは標準的な図法ではない。

選択肢b(業務で必要となる時間):業務所要時間や処理時間はガントチャート(工程管理)やPERT図(クリティカルパス分析)で表現する。特にPERT図(Program Evaluation and Review Technique)はプロジェクトの各作業の先行・後続関係と所要時間を有向グラフで表し、最長所要時間経路(クリティカルパス)を特定してスケジュール管理に活用する。時間軸情報はアクティビティ図には含まれない。

選択肢c(業務で必要となる成果物の品質指標):成果物の品質基準はQuality Function Deployment(品質機能展開)、FTA(故障の木解析)、FMEA(故障モード影響解析)、管理図(コントロールチャート)等で表現する。成果物のデータの流れを表すDFD(Data Flow Diagram)と混同しないよう注意。アクティビティ図は処理のフロー(誰が何をするか)を示すものであり、品質指標(何レベルのクオリティで行うか)は表現対象外。

出典・引用について

出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度15/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

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