ITパスポート 令和4年度 問43:プロジェクトマネジメントに関する問題
図のアローダイアグラムにおいて,作業Bが2日遅れて完了した。そこで,予定どおりの期間で全ての作業を完了させるために,作業Dに要員を追加することにした。作業Dに当初20名が割り当てられているとき,作業Dに追加する要員は最少で何名必要か。ここで,要員の作業効率は一律である。 (アローダイアグラム:A=5日,B=10日,C=5日,D=10日,E=4日,F=4日)
- a2
- b3
- c4
- d5正答
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答えは d「5名」 です。
作業Bが2日も遅れたので、このままだと全体も2日遅れます。そこで、後ろにある作業Dを『2日早く終わらせて』遅れを取り返します。
Dはもともと20人で10日かかる作業。仕事の総量は20人×10日=200人日です。これを2日短い8日で終わらせるには、200÷8=25人が必要。
いま20人いるので、足りないのは25−20=5人。だから5名追加です。
👉 覚え方:仕事の量(人×日)は変わらない。日数を縮める分だけ人を増やす。
ほかの選択肢a〜cは人数が足りず、2日を取り戻せません。
なぜこれが正解か
正解は d(5名)。作業Bの2日遅れを取り戻すため、後続の作業Dを当初10日から2日短縮して8日で完了させる必要がある。
作業Dの総作業量は『20名×10日=200人日』で一定。これを8日で終えるには『200人日÷8日=25名』が必要。当初20名なので、追加は『25−20=5名』。
計算のポイント
- 全体を予定どおりに終わらせる=Bの遅れ2日をDで吸収する。
- 作業量(人日)は変わらない前提(要員の作業効率は一律)。
- 必要人数=総作業量÷短縮後日数。
覚え方・ひっかけ注意
『人を足しても“総作業量(人日)”は不変』が鉄則。『2日短縮だから2名でいい』と直感で答えるとaに引っかかる。必ず『総作業量÷短縮後の日数−現在人数』で計算する。クリティカルパス上の遅れを後続作業の要員増(クラッシング)で吸収する典型問題。
理論的背景
本問はプロジェクトマネジメントにおけるスケジュール短縮技法「クラッシング(Crashing)」の数値計算問題である。アローダイアグラム(PERT/CPM:Program Evaluation and Review Technique / Critical Path Method)でプロジェクト全体を可視化した上で、クリティカルパス上の遅延を後続作業の要員投入によって吸収する手法が問われている。
アローダイアグラムはプロジェクトの作業(アクティビティ)を矢印で、その接続点を結合点(イベント)で表現した有向グラフである。クリティカルパスとは始点から終点に至る経路のうち、最も長い(時間のかかる)経路であり、ここに遅延が生じると即座に全体納期に影響する。本問では「B(10日)+D(10日)+E(4日)」がクリティカルパス上の主要アクティビティと推測され、Bが2日遅れた分をDで吸収することが要求される。
クラッシングでは「作業量(工数)=人数×期間」という基本式を使う。作業Dの作業量は20名×10日=200人日。これを8日(2日短縮)で完了するためには200÷8=25名が必要で、追加要員は25−20=5名(正解d)となる。この計算が成立する前提は「要員の作業効率は一律」という問題文の条件であり、これが人数と期間の逆比例関係を保証している。
実務での使われ方
実務での工期短縮手法にはクラッシング以外に「ファストトラッキング(Fast Tracking)」がある。ファストトラッキングは本来直列に行う作業を並列化(オーバーラップ)することで工期を短縮する手法で、依存関係が強い作業では手戻りリスクが高まる。クラッシングとファストトラッキングはどちらもスケジュール短縮のトレードオフ(コスト増・品質リスク増)を伴うため、クリティカルパス上の作業に限定して適用するのが原則である。
ただし実際の現場ではブルックスの法則(「遅れているプロジェクトに人を投入するとさらに遅れる」by Frederick Brooks「人月の神話」1975年)が示すとおり、要員追加には以下のコストが伴う。①新メンバーの習熟期間(ラーニングカーブ)②コミュニケーションパスの増大(n人のチームのパス数=n×(n-1)÷2)③既存メンバーの教育負担によるアウトプット低下。このため試験では「効率は一律」と仮定するが、本問の設問条件を必ず確認することが重要である。
EVM(Earned Value Management)の観点では、本問はスケジュール効率指数(SPI=EV÷PV)が1未満(遅延)の状態を要員追加(コスト増)で解消しようとするトレードオフを示している。現実のPMは要員追加コスト(クラッシングコスト)と工期超過ペナルティを比較し、最適解を選択する意思決定が求められる。
試験での位置づけ
ITパスポートのプロジェクトマネジメント分野で、アローダイアグラムを用いた数値計算は最も高難度の出題類型の一つである。本問のポイントは「2日遅延→2名追加という直感的誤答(選択肢a)を排除し、工数(人日)不変の原則から正確に計算する」能力にある。計算手順を「①作業量=人×日、②短縮後日数=元日数−遅延日数、③必要人数=作業量÷短縮後日数、④追加人数=必要人数−当初人数」の4ステップで覚えることが、本番での確実な得点につながる。
基本情報技術者(FE)ではアローダイアグラムのクリティカルパス計算(最早結合点時刻・最遅結合点時刻・トータルフロート・フリーフロートの算出)が詳細に問われる。応用情報・PM試験ではEVMの詳細計算(PV・AC・EV・SPI・CPI・EAC・ETC・VAC)、蓋然性見積り(三点見積り:楽観値・最悲観値・最可能値からPERT分布で期待値を計算)まで出題される。
選択肢の発展補足
選択肢aの「2名」は「2日短縮だから2名」という短絡的な誤答であり、本問の設計意図通りのひっかけである。工数の不変性(Conservation of Work)を理解していないと陥る典型的誤りで、「増やす人数=短縮する日数」という比例関係は成立しないことを数式で確認することが重要である。
選択肢bの「3名」・選択肢cの「4名」は計算途中で切り捨て誤りや日数の設定ミス(例:10日のまま計算など)をした場合の誤答になりやすい値として配置されている。整数値で正確に計算するには「200÷8=25(端数なし)→25−20=5」という手順を正確に踏むことが唯一の正解への道筋である。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度 問43/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。