ITパスポート 令和4年度 問52:プロジェクトマネジメント・ステークホルダに関する問題
A社がB社にシステム開発を発注し、システム開発プロジェクトを開始した。プロジェクトの関係者(1)〜(4)のうち、プロジェクトのステークホルダとなるものだけを全て挙げたものはどれか。 (1) A社の経営者 (2) A社の利用部門 (3) B社のプロジェクトマネージャ (4) B社を技術支援する協力会社
- a(1)、(2)、(4)
- b(1)、(2)、(3)、(4)正答
- c(2)、(3)、(4)
- d(2)、(4)
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは b「(1)、(2)、(3)、(4)」全部 です。
ステークホルダとは、その仕事に「関わる人・影響を受ける人」全員のこと。学校の文化祭でいえば、出し物をする人だけでなく、先生・お客さん・準備を手伝う人まで“みんな関係者”ですよね。
このプロジェクトでも、お金を出すA社の社長(1)、実際に使うA社の現場(2)、作る側B社の責任者(3)、B社を助ける協力会社(4)、全員が関係しています。だから答えは全部入りの b。
👉 覚え方:ステークホルダ=「その仕事に関わる人みんな」。発注側も受注側も含む。
ほかの選択肢は誰かを外していますが、上の4人はみんな関係者なので外せません。
なぜこれが正解か
正解は b(全て)。ステークホルダ(利害関係者)とは、プロジェクトの実施や成果によって影響を与える・受ける人や組織すべてを指す。発注側・受注側の区別なく該当する。
- (1) A社の経営者:発注元としてプロジェクトの意思決定・予算に関わる。
- (2) A社の利用部門:完成したシステムを実際に使う側で、要求を出し成果の影響を受ける。
- (3) B社のPM:開発を統括する中心人物。
- (4) B社の協力会社:技術支援としてプロジェクトの一部を担う。
すべてが利害関係者なので b。
各選択肢の解説
- a:(3)B社PMを外しており不適切。
- c:(1)A社経営者を外しており不適切。
- d:(1)(3)を外しており不適切。
覚え方・ひっかけ注意
『ステークホルダ=広く取る』が鉄則。『直接作業する人だけ』『発注側だけ』と狭く考えるのがひっかけ。協力会社・経営者・利用部門も全部含めて『全部入り』を選ぶ問題が多い。
理論的背景
ステークホルダー(Stakeholder)の定義はPMBOK(Project Management Body of Knowledge)第7版において「プロジェクトに影響を与える、またはプロジェクトから影響を受ける可能性のある個人・グループ・組織」とされている。この定義の核心は「影響を与える側(インフルエンサー)」と「影響を受ける側(インパクト受益者)」の双方向性であり、プロジェクトの組織境界を超えて広く識別する必要がある。
本問の正解bは「(1)A社経営者・(2)A社利用部門・(3)B社プロジェクトマネージャ・(4)B社を技術支援する協力会社」の全4者がステークホルダーとなる。各主体のステークホルダー性は以下の通りである。①A社経営者:プロジェクトの予算承認・方針決定権を持ち、成果物が経営判断に影響する。②A社利用部門:開発されるシステムの最終利用者であり、要件定義の主体かつシステム稼働後に最も影響を受ける。③B社プロジェクトマネージャ:開発の実行責任者として最もプロジェクトに関与する。④B社を技術支援する協力会社:技術サポートを提供することでプロジェクト成果に影響を与え、自身もプロジェクトの成否によって事業影響を受ける。
実務での使われ方
PMBOK第6版以降では「ステークホルダーエンゲージメント管理」が独立した知識エリアとして設けられており、単に識別するだけでなく、各ステークホルダーの「関与度(Engagement Level)」を「抵抗(Resistant)→中立(Neutral)→支持(Supportive)→主導(Leading)」の4段階で評価し、プロジェクト成功に必要な関与度に近づけるコミュニケーション計画(Communications Plan)を立てることが求められる。
ステークホルダー分析ツールとして「パワー/インタレストグリッド」が代表的であり、縦軸に「権限・影響力(Power)」、横軸に「関心度(Interest)」を配置して4象限に分類する。①高権限・高関心(Key Players):緊密に管理・定期的コミュニケーション。②高権限・低関心(Keep Satisfied):情報提供で満足を維持。③低権限・高関心(Keep Informed):定期的な情報提供。④低権限・低関心(Monitor):最小限の監視。
本問の協力会社(4)が見落とされやすい理由として、A社・B社という発注・受注の2者間関係に意識が向きがちで、B社の下位の協力会社まで視野を広げる必要がある点が挙げられる。実際の大型システム開発では一次請け・二次請け・三次請けという多層の協力会社構造が一般的であり、全ての協力会社がプロジェクトのステークホルダーとなる。
試験での位置づけ
ITパスポートのプロジェクトマネジメント分野で「ステークホルダーの範囲の識別」は頻出テーマであり、「プロジェクトに関わる全ての関係者」という広義の定義を正確に把握することが重要である。本問の誘引は「発注側のA社のみステークホルダー」「プロジェクトマネージャのみステークホルダー」という狭義の誤解であり、全4者が含まれる選択肢bを選ぶ根拠として「双方向影響性」を理解していることが求められる。
基本情報技術者(FE)ではPMBOKの各知識エリア(統合・スコープ・スケジュール・コスト・品質・資源・コミュニケーション・リスク・調達・ステークホルダー)の目的と代表プロセスが問われる。PM試験(プロジェクトマネージャ試験)では、ステークホルダー登録簿の作成、関与度評価マトリクス(Stakeholder Engagement Assessment Matrix)の活用、コミュニケーション管理計画の策定方法が論述問題として出題される。
選択肢の発展補足
選択肢a「(1)(2)(4)」はA社経営者・A社利用部門・協力会社を含むがB社プロジェクトマネージャを除く誤答であり、開発の実行責任者が外れるという明らかな不整合を持つ。選択肢c「(2)(3)(4)」はA社経営者が除外されており、プロジェクトの予算・方針決定権者をステークホルダーから除外することはプロジェクト管理の観点で不合理である。選択肢d「(2)(4)」はA社利用部門と協力会社のみで、経営者・PMという中心的なステークホルダーが両方除外されるため最も不適切である。
PMBOKでは「ステークホルダーを早期に識別・エンゲージすることがプロジェクト成功の鍵」と強調しており、識別漏れのステークホルダーが後から要件変更・反対・リソース干渉を引き起こすリスクを「ステークホルダーリスク」として管理する必要がある。PRINCE2(英国政府標準プロジェクト管理手法)でも「ステークホルダーコミュニケーション」はプロジェクト開始時の必須成果物として定義されており、国際的に共通するプロジェクト成功要因である。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度 問52/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。