ITパスポート 令和5年度 問41:project_managementに関する問題
次のアローダイアグラムに基づき作業を行った結果,作業Dが2日遅延し,作業Fが3日前倒しで完了した。作業全体の所要日数は予定と比べてどれくらい変化したか。[アローダイアグラム] 作業A(2日)→作業C(4日)→作業F(5日) / 作業B(3日)→作業D(1日)→作業F / 作業B→作業E(1日)→作業G(5日) ※クリティカルパス: A+C+F=11日
- a3日遅延
- b1日前倒し
- c2日前倒し正答
- d3日前倒し
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答えは c「2日前倒し」 です。
アローダイアグラムは「作業のリレー図」です。スタートからゴールまで一番時間がかかる道(クリティカルパス)が、全体の所要日数を決めます。今回はもともとA→C→Fの道が一番長くて11日でした。
ここで作業Dは2日遅れましたが、Dは一番長い道の上にいないので全体には響きません。一方、作業Fは3日早く終わったので、Fを通る一番長い道が短くなります。
👉 覚え方:「一番長い道だけが全体の日数を決める。長い道を縮めれば全体も縮む」
計算すると一番長い道が11日→9日になり、2日早くゴールできます。だから「2日前倒し」です。
なぜこれが正解か
正解は c(2日前倒し)。全体所要日数はクリティカルパス(最長経路)で決まる。Fの所要は5→2日(3日前倒し)に短縮されるため、各経路を再計算する。
- A→C→F:2+4+2 = 8日
- B→D→F:3+(1+2)+2 = 8日(Dは1→3日に遅延)
- B→E→G:3+1+5 = 9日
変更後の最長経路はB→E→Gの 9日。当初は11日だったので 11−9=2日前倒し。
ポイント
- 作業Dの2日遅延は、Dが当初クリティカルパス上に無く、遅延後の経路(8日)も最長にならないため全体に影響しない。
- Fの前倒しがクリティカルパスを直撃して全体を縮めた。
覚え方・ひっかけ注意
「遅延=必ず全体遅延」ではない。クリティカルパス上の作業の増減だけが全体に効く。余裕(フロート)のある作業の遅れは吸収される。最長経路が入れ替わる点に注意し、必ず全経路を再計算すること。
理論的背景
アローダイアグラム(PERT図)はプロジェクト管理手法PERTおよびCPM(クリティカルパス法)の中核となる可視化ツールであり、作業の依存関係・所要時間をネットワーク図で表現する。クリティカルパス(CP)とはプロジェクト開始から終了までの全経路のうち所要時間が最大となる経路であり、CPM(Critical Path Method)ではこの最長経路の特定と管理がプロジェクト工期管理の核心となる。
各作業のフロート(余裕)はトータルフロート(Total Float)で定義され、「最遅開始時刻 − 最早開始時刻」で計算される。クリティカルパス上の作業はトータルフロートが0であり、これらの作業が1日でも遅れると全体工期が同日数だけ遅延する。逆にフロートが正の作業は、そのフロートの範囲内の遅延は全体工期に影響しない。本問ではこのフロートの概念が「作業Dの2日遅延が全体に影響しない」理由を説明する根拠となる。
経路の再計算と本問の解法
本問のアローダイアグラムは以下3経路で構成される(変更後のFの所要は5−3=2日)。
- 経路1:A→C→F = 2+4+2 = 8日
- 経路2:B→D→F = 3+(1+2)+2 = 8日(Dが1→3日に遅延)
- 経路3:B→E→G = 3+1+5 = 9日
変更後の最長経路はB→E→Gの9日。当初のクリティカルパス(A→C→F=11日)と比較すると 11−9=2日の前倒しとなる。
重要な洞察として、Fが3日前倒しされたことでFを含む経路(経路1・2)が一斉に短縮され、元のクリティカルパスが最長でなくなり「クリティカルパスが経路3へ移動」したという現象が本問の核心である。実務でもクラッシング(工期短縮のための資源追加)やファストトラッキング(並行化)を行うと、短縮した経路がクリティカルパスから外れ、別の経路が新たなクリティカルパスとして浮上する「クリティカルパスの移動」が頻繁に発生する。
実務での使われ方
PERTとCPMは1950年代後半に並行して開発された(PERTは1958年米海軍のポラリスミサイル開発、CPMはデュポン社の化学工場建設プロジェクト)。現代では両手法が統合されてプロジェクトスケジュール管理の標準ツールとなっており、Microsoft Project・Oracle Primavera・Jiraなどのプロジェクト管理ツールが自動計算機能を提供している。
工期短縮の代表的技法であるクラッシングでは、クリティカルパス上の作業に資源(人員・設備)を追加して所要日数を圧縮するが、「クラッシュ費用(追加1日あたりのコスト)」が最も小さい作業から実施するのが費用効率の観点から定石である。ファストトラッキングでは依存関係が強い作業を重複・並行実施することで工期を短縮するが、手戻りリスクが増大するトレードオフがある。
試験での位置づけ
アローダイアグラムの読解・計算問題はITパスポートのマネジメント系で毎回ほぼ確実に出題されるコア問題である。本問は「変更後の全経路を再計算し、最長経路の入れ替わりを正確に把握できるか」というより高度な思考力を問うており、「遅延は必ず全体遅延に影響する」という誤った思い込みを排除できるかがポイントとなる。
基本情報技術者試験ではフリーフロート(後続作業への影響を与えずに遅延できる量)とトータルフロートの計算、結合点時刻(最早結合点時刻・最遅結合点時刻)の算出、ファストトラッキングとクラッシングの概念的理解まで問われる。プロジェクトマネージャ試験(高度試験)ではEVM(Earned Value Management)と組み合わせた工期・コストの統合管理まで扱われる。
選択肢の発展補足
選択肢a(3日遅延)はFの前倒しを考慮せずDの2日遅延だけを見た場合の誤答パターンを模している。選択肢b(1日前倒し)は計算を誤った場合(例:Dの遅延を差し引いた場合:3日前倒し−2日遅延=1日前倒しという誤った思考)を誘発する設計。選択肢d(3日前倒し)はFが3日前倒しされた数字をそのまま全体に当てはめた場合の誤答であり、経路3(B→E→G=9日)が新たなボトルネックになることを見落とした場合の典型的な間違いである。全経路を必ず再計算するという習慣が正答への鍵である。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度 問41/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。