令和5年度51マネジメント系

ITパスポート 令和5年度 問51:service_managementに関する問題

ITサービスマネジメントにおいて,過去のインシデントの内容をFAQとしてデータベース化した。それによって改善が期待できる項目に関する記述a~cのうち,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。a ITサービスに関連する構成要素の情報を必要な場合にいつでも確認できる。b 要員候補の業務経歴を確認し,適切な要員配置計画を立案できる。c 利用者からの問合せに対する一次回答率が高まる。

  • aa
  • ba, b
  • ca, c
  • dc正答
正答:Dc

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初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

答えは d(cだけ) です。

過去のトラブル対応を「よくある質問(FAQ)」としてまとめておくと、問合せが来たときにヘルプデスクがその場で答えやすくなります。だから「最初の電話で解決できる割合(一次回答率)」が上がります(記述c)。

👉 覚え方:「FAQ=答えの引き出し→その場で答えられる→一次回答率アップ」。

ほかの記述:

  • a 構成要素の情報を確認→これは機器や設定をまとめた“別の台帳”の役割で、FAQの効果ではない。
  • b 要員の業務経歴を確認→人の配置の話で、FAQとは無関係。

FAQで良くなるのはcだけ。よってcだけのdが正解です。

標準試験対策の基準レベル

なぜこれが正解か

正解は d(cのみ)。過去インシデントをFAQ化(ナレッジ化)すると、サービスデスクが既知の解決策を即座に参照でき、利用者からの問合せをその場で解決できる割合=一次回答率(一次解決率)が高まる(記述c)。

各記述の解説

  • a 誤り:「ITサービスに関連する構成要素の情報をいつでも確認」は、構成管理データベース(CMDB)/構成管理の役割。FAQ(インシデント・ナレッジ)化で得られる効果ではない。
  • b 誤り:「要員候補の業務経歴を確認し要員配置計画」は人的資源管理の話で、インシデントFAQとは無関係。
  • c 正しい:既知エラー・解決策の蓄積で一次回答率が向上。

覚え方・ひっかけ注意

FAQ=ナレッジ管理/既知エラーDBの効果は「素早い回答・一次解決率向上」。aの“構成要素の情報”は構成管理(CMDB)、bの“要員配置”は別管理と、似て非なる管理プロセスに引っ掛けてくる。FAQが直接効くのは問合せ対応の速さ・解決率である点で切り分ける。

上級誤答論破・背景理論まで深掘り

理論的背景

FAQデータベース(ナレッジベース)の整備は、ITSMにおけるKnowledge Management(ナレッジ管理)の重要な実践であり、ITIL v4の「サービス管理の4つのディメンション」の一つ「情報と技術(Information and Technology)」に位置づけられる。過去インシデントをFAQ化するプロセスは、暗黙知(個人の経験・スキル)を形式知(組織の共有可能なドキュメント)に変換するナレッジマネジメントの典型的な手法(野中郁次郎のSECIモデルにおける「表出化(Externalization)」に相当)である。

本問で正解のcのみが適切である根拠は、FAQのデータベース化がナレッジの「再利用」を可能にし、問合せ対応者が既知の解決策を素早く参照・提示できるようになるためである。一次回答率(FCR:First Contact Resolution Rate)の向上は、サービスデスクの効率性・利用者満足度・SLA遵守率に直結するサービスマネジメントの核心的KPIである。

記述aが不適切である理由:「ITサービスに関連する構成要素の情報」はCMDB(Configuration Management Database=構成管理データベース)に格納される情報であり、インシデントのFAQデータベースとは目的・内容が全く異なるシステムである。インシデントFAQは「問合せとその解決策」を記録するのに対し、CMDBは「CI(Configuration Item:サーバ・ネットワーク機器・ソフトウェア・サービスなどの構成要素)とその属性・関係性」を管理する。

記述bが不適切である理由:「要員候補の業務経歴の確認と適切な要員配置計画」はHR(人事)システムまたは人材管理DBの機能であり、インシデントFAQデータベースの情報とは無関係である。

実務での使われ方

現代のITサービスマネジメント実務では、FAQデータベースは単独システムではなく、ITSMプラットフォーム(ServiceNow・Jira Service Management・Freshservice)のナレッジベース機能として提供されることが多い。インシデントが解決されると自動的にナレッジ記事の作成を促すワークフロー(KCS:Knowledge-Centered Service手法)が業界標準となっており、問合せ対応者の日常業務の中でナレッジが継続的に蓄積・更新される仕組みが整備されている。

チャットボット・AIの活用においても、FAQナレッジベースは中核的なデータソースとなっている。利用者がチャットボットに問合せを入力すると、NLP(自然言語処理)を使って関連するFAQ記事を検索・提示し、一次回答を自動化する。Microsoftの生成AI統合ツール(Microsoft Copilot for IT)やServiceNowのNow Intelligence等では、大量のFAQデータからLLMが学習し、より文脈に応じた回答を生成する機能が実用化されている。一次対応の自動化率(Containment Rate)の向上がITサービスコスト削減の主要施策として位置づけられている。

試験での位置づけ

ITパスポートのサービスマネジメント分野では、ITSM各機能(サービスデスク・インシデント管理・問題管理・変更管理・構成管理・ナレッジ管理)の役割と使用するデータ・ツールの対応関係が問われる。本問のような「複数の記述について適切なものだけを選ぶ」形式は、各記述の正誤を独立して判断する論理的読解力を要求する。特にaのCMDB(構成管理DB)とFAQ(インシデントナレッジDB)の混同、bのHRシステムとの混同は定番の誤答誘発パターンである。

FCR(一次解決率)・MTTR・SLA遵守率という3指標とFAQナレッジベースの因果関係(FAQが充実→FCR向上→MTTR短縮→SLA遵守率向上)を一連の流れとして理解すると、本問のような「改善効果を問う問題」に対して論理的に正答を導けるようになる。基本情報技術者・ITサービスマネージャ試験ではKCS(Knowledge-Centered Service)の手法・KEDB(既知のエラーデータベース)・問題管理との連携まで問われる。

選択肢の発展補足

記述a(「ITサービスに関連する構成要素の情報を確認できる」)が不適切な理由をさらに詳しく:CMDBはITサービスを構成するCI(ハードウェア・ソフトウェア・サービス・人員・場所)の属性・関係・変更履歴を管理するデータベースであり、「この障害はどのサーバが影響を受けているか」「このソフトウェアはどのサーバで動いているか」の把握に使われる。インシデントの解決策(FAQ)を格納することはCMDBの目的ではなく、インシデント管理・問題管理との連携はあるが機能が異なる。

記述bが不適切であることの追加根拠:ITサービスのFAQデータベースは「技術的なインシデント解決策」を格納するシステムであり、「誰がどんな業務経験を持つか」という人材情報とは根本的に性格が異なる。要員配置はプロジェクト管理・HRプランニングの領域であり、サービスデスクのFAQとは情報の種類・管理目的・システムカテゴリのいずれにおいても接続点がない。この「関係ない情報が入っているかのように見せる」という誤答設計のパターンを識別する練習が有効である。

出典・引用について

出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度51/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

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