ITパスポート 令和6年度 問45:service_managementに関する問題
本番稼働後の業務遂行のために、業務別にサービス利用方法の手順を示した文書として、最も適切なものはどれか。
- aFAQ
- bサービスレベル合意書
- cシステム要件定義書
- d利用者マニュアル正答
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答えは d「利用者マニュアル」 です。
システムを実際に使う人が「この業務ではこう操作すればいい」と分かるように、使い方の手順をまとめた説明書です。家電でいえば“取扱説明書”のようなもの。
👉 覚え方:「業務ごとの使い方手順」=利用者マニュアル(取扱説明書)。
ほかの選択肢:a FAQ=「よくある質問と答え」をまとめたもの(手順書ではない)/b サービスレベル合意書=サービスの品質目標を約束する書類/c システム要件定義書=開発前に“何を作るか”を決める書類。どれも“業務ごとの操作手順書”ではありません。
なぜこれが正解か
正解は d。利用者マニュアルは、本番稼働後に利用者が業務ごとにシステムをどう操作・利用するかの手順を示した文書。エンドユーザが日常業務で参照する操作手順書であり、問題文の「業務別にサービス利用方法の手順を示した文書」に最も合致する。
各選択肢の解説
- a FAQ:よくある質問とその回答を集めた文書。疑問の解消には役立つが、業務別の体系的な操作手順書ではない。
- b サービスレベル合意書(SLA):提供者と利用者間でサービス品質の目標(稼働率・応答時間等)を取り決める文書。操作手順ではない。
- c システム要件定義書:開発の上流で「何を実現するか」を定義する文書。開発者向けで、稼働後の操作手順ではない。
覚え方・ひっかけ注意
「業務別・操作の手順・利用者向け」なら利用者マニュアル。FAQは“Q&A形式の補助資料”、SLAは“品質の約束”、要件定義書は“作る前の設計入力”と役割で区別。「手順を示した文書」=マニュアル、と直結させる。
理論的背景
利用者マニュアル(User Manual)は「本番稼働後の業務遂行を支援するために、業務別にサービス利用方法の手順を体系的に記述した文書」であり、システム開発プロジェクトの「移行・展開フェーズ」における主要成果物の一つである。ISO/IEC/IEEE 26514(システム及びソフトウェアのユーザー文書に関する要求事項)が設計規格として参照される。
正解dの利用者マニュアルと他の選択肢の本質的差異を整理する。利用者マニュアルの特徴:①対象読者がエンドユーザー(業務担当者)、②本番稼働後の実際の業務手順を記述、③タスク指向(「〇〇するには→手順1, 2, 3」という構成)、④業務別・機能別に体系化される。
誤選択肢aのFAQ(Frequently Asked Questions)は「よくある質問とその回答集」という形式で、体系的な手順記述ではなく問題解決型(質問→回答)の情報提供を行う。業務別手順書としての体系性と網羅性がFAQには欠ける。
誤選択肢bのSLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)は「サービス品質の目標値・計測方法・違反時の措置等の合意文書」であり、業務の「手順」を示すものではなく「品質基準の契約文書」である。
誤選択肢cのシステム要件定義書は「開発前に確定させる機能・非機能要件の定義文書」であり、「本番稼働後に業務を行うための手順書」とは役割が根本的に異なる。
実務での使われ方
利用者マニュアルの作成実務は、ドキュメンテーションエンジニア(テクニカルライター)が担当する大規模システムから、開発チームが兼務する小規模システムまで多様である。現代のマニュアル作成では従来の紙・PDF形式に加え、①Webベースのインタラクティブドキュメント(Confluence・Notion・Guru)、②動画チュートリアル(Loom・Scribe)、③コンテキストヘルプ(システム画面上に埋め込まれたツールチップ・ガイドツアー:Pendo・WalkMe)が普及している。
特にSaaS製品では「In-app onboarding(アプリ内オンボーディング)」が標準的ユーザー支援手法となり、従来のPDFマニュアルの役割を置き換えている。IT部門の視点では、システム移行に伴う「マニュアル更新・ユーザートレーニング計画」がプロジェクト終結フェーズの重要成果物として管理される。ITILのサービストランジション(移行)プロセスでは「ユーザー文書の承認」「トレーニングの完了」がGo-Live基準として定義されることが多い。
試験での位置づけ
本問は「システム開発の各フェーズで作成される文書の識別」というITパスポートの定番問題形式に属する。「本番稼働後に業務を行う」という時制的条件と「業務別に手順を示す」という内容的条件の2点を同時に満たす文書を選ぶ判断軸が重要。
FAQ・SLA・要件定義書はそれぞれ「補完的情報提供」「品質契約」「開発前定義文書」という役割を持ち、「業務を実際に行う際の手順ガイド」という利用者マニュアルの本質と区別できるかが問われる。
基本情報技術者ではシステム開発の成果物体系(要件定義書・設計書・テスト計画書・操作マニュアル・保守仕様書)の各フェーズとの対応関係が詳細に問われる。情報処理技術者試験全般で「どのフェーズの文書か」「誰が読む文書か」という2軸での文書分類が重要視される。
選択肢の発展補足
aのFAQの特性と限界:FAQはユーザーサポートコストの削減ツールとして有効だが、「ユーザーが問題を認識してから検索する」受動的情報提供形式のため、「業務の全体手順を事前に学ぶ」という目的には適していない。FAQは利用者マニュアルの補完ツールとして位置づけられる。ITIL的にはFAQはナレッジマネジメントデータベース(KMDB)の一形態として「インシデントの早期解決支援」に活用される。
bのSLAの機能と本問との差異:SLAはサービスプロバイダと顧客(または内部ユーザー部門)の間の「品質水準の合意契約文書」であり、法的・契約的な性格を持つ。稼働率・応答時間・インシデント対応時間などの数値目標を含むが、「Excelで月次報告書を作成するには・・・」という業務手順は記述しない。本問の「業務遂行のために業務別に利用方法の手順を示す」という定義とは根本的に異なる機能・目的を持つ文書。
cのシステム要件定義書と利用者マニュアルの時系列的関係:要件定義書は「これから開発するシステムが何をすべきか(What)」を定義するのに対し、利用者マニュアルは「本番稼働後にユーザーがシステムをどのように使うか(How)」を記述する。前者はシステム開発の「インプット文書」、後者は開発完了後の「アウトプット文書」という時系列的関係にあり、この前後関係の理解が正確な選択につながる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和6年度 問45/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。