ITパスポート 令和8年度 問59:networkに関する問題
無線 LAN で使用する WPA2 の機能として,適切なものはどれか。
- a2本のアンテナを用いることによってデータの送受信を高速化する。
- bアクセスポイントをステルス化する。
- c通信データを暗号化する。正答
- d登録された MAC アドレスをもつ機器以外からのアクセスを拒否する。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは c です。
Wi-Fi(無線LAN)は電波で通信するので、何もしないと近くの人に内容を盗み見られる危険があります。そこでデータをぐちゃぐちゃに変換して、正しい合言葉(パスワード)を知っている人しか読めなくします。これが「暗号化」で、WPA2はそのための仕組みです。
手紙を暗号で書いて、鍵を持つ人だけが読める、というイメージです。
👉 覚え方:WPA2=Wi-Fiの内容に鍵をかける(暗号化)。
ほかの選択肢:a 2本のアンテナで高速化=MIMOという別技術/b アクセスポイントを隠す=ステルスSSIDという別機能/d 登録した機器以外を拒否=MACアドレスフィルタリングという別機能。
なぜこれが正解か
正解は c。WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)は無線LANの暗号化・認証方式で、主目的は通信データの暗号化による盗聴・改ざん防止。暗号アルゴリズムにAES(CCMP)を採用し、旧来のWEPやWPA(TKIP)より強固。
各選択肢の解説
- a:複数アンテナで高速化するのはMIMO(11n以降の技術)で暗号とは別。
- b:アクセスポイントの存在を隠すのはステルスSSID(SSID非通知)。
- d:登録MACアドレス以外を拒否するのはMACアドレスフィルタリング。
- c:通信データの暗号化=WPA2の機能(正解)。
覚え方・ひっかけ注意
WEP→WPA→WPA2→WPA3と世代が進むほど暗号が強い、と一本の流れで覚える。a/b/dはすべて「セキュリティっぽい別機能」を並べた引っかけ。WPA2の核心は“暗号化方式”だと押さえれば迷わない。
理論的背景
WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)はIEEE 802.11iセキュリティ標準の商標名であり、無線LAN通信の暗号化と認証を提供するセキュリティプロトコルである。WPA2の核心技術はAES(Advanced Encryption Standard)を用いたCCMP(Counter Mode with Cipher Block Chaining Message Authentication Code Protocol)暗号化方式であり、前世代のWEP(RC4暗号・実質破られている)・WPA(TKIP暗号・脆弱性あり)に対して数学的に強固な暗号化を実現している。
WPA2には2つの動作モード:パーソナルモード(WPA2-PSK:Pre-Shared Key)は家庭・小規模オフィス向けで共有パスフレーズを使用。エンタープライズモード(WPA2-Enterprise)は企業・大学向けで802.1X認証(RADIUS認証サーバ連携)によるユーザー個別の証明書認証を使用する。2018年にはWPA3が制定され、SAE(Simultaneous Authentication of Equals)による前方秘匿性(PFS:Perfect Forward Secrecy)の実現・192ビットセキュリティモード等が追加されたが、WPA2は現在も広く普及している。
実務での使われ方
企業のWi-Fiインフラ設計では、WPA2-Enterpriseと802.1X認証の組み合わせが標準的なセキュリティ実装となっている。FreeRADIUS・Microsoft NPS(Network Policy Server)等のRADIUSサーバを使い、証明書(EAP-TLS)またはユーザー名/パスワード(EAP-PEAP/MSCHAPV2)で認証する。端末ごとの認証ログが残るため、不正アクセス追跡・アクセス制御の細粒度化が可能である。
誤り選択肢aの「2本アンテナによる高速化」はMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術の説明でIEEE 802.11n/ac/axに含まれる機能だがWPA2の機能ではない。bの「アクセスポイントのステルス化」はSSID非通知設定の説明であり、セキュリティ効果は限定的で暗号化機能であるWPA2とは別機能。dのMACアドレスフィルタリングはアクセス制御機能であり、暗号化機能のWPA2とは別の機能。
試験での位置づけ
WPA2は無線LANセキュリティの最頻出トピックで、WEP→WPA→WPA2→WPA3の暗号化技術の進化と各世代の特徴・脆弱性の整理が問われる。「暗号化=WPA2」「高速化=MIMO」「フィルタリング=MACアドレスフィルタリング」「ネットワーク識別=SSID」という機能と技術の対応関係は確実に覚える必要がある。2022年以降のITパスポート試験ではWPA3やIEEE 802.11ax(Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E)の出題も増加傾向にある。基本情報技術者試験ではWPA2のKRACK攻撃(Key Reinstallation Attack、2017年発見)やWPA3のDragonblood攻撃等の既知脆弱性、PMF(Protected Management Frames)・SAEハンドシェイクの仕組みまで問われることがある。
選択肢の発展補足
WPA2のKRACK攻撃(2017年)は4-wayハンドシェイクの再送処理に脆弱性があり、暗号鍵の再インストールを強制することで通信の一部を復号可能にする攻撃である。パッチ適用で対策可能であり、WPA2自体の廃止には至っていない。WPA3のSAEはディフィー・ヘルマン鍵交換ベースの認証プロトコルで、パスワード推測攻撃(オフライン辞書攻撃)に耐性があり前方秘匿性を提供する。SSID非通知(ステルスモード、選択肢b)は「初心者を排除する」程度の効果しかなく、Wiresharkでのパケットキャプチャでビーコンフレームを解析すればSSIDは容易に特定される。MACアドレスフィルタリング(選択肢d)も同様に、MACアドレスはOS設定で容易に偽装(スプーフィング)可能であるため、セキュリティ対策として過信は危険である。これらの補助的対策はWPA2暗号化の代替にはならない。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問59/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。