労働衛生(有害業務)9第一種有害化学物質の分類と性状

衛生管理者 労働衛生(有害業務) 問9:有害化学物質の分類と性状

特定化学物質の区分(第1類・第2類・第3類)に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 第1類物質は、製造する場合に厚生労働大臣の許可が必要な物質であり、ジクロルベンジジン・ベンゾトリクロリド・ベータ-ナフチルアミン等が含まれ、主として発がん性が確認または強く疑われる物質で構成される。
  • 第2類物質は、第1類物質に次いで有害性が高い物質であり、アクリルアミド・クロム酸・トリクロロエチレン・ベンゼンなどが含まれ、がんその他の慢性障害の原因となる物質が多く含まれる。
  • 第3類物質は、第1類・第2類に比べて比較的有害性が低い物質であり、アンモニア・塩酸・硫酸・硝酸・フッ化水素などの刺激性・腐食性物質が含まれ、大量に漏えいした場合に急性中毒を起こす可能性がある。
  • 特定化学物質の区分(第1類・第2類・第3類)のうち、製造の禁止(使用禁止)規制が最も厳しいのは第3類物質であり、第1類物質は許可制、第2類物質は届出制で規制されている。正答
  • 特定化学物質作業主任者の選任が義務付けられているのは、第1類または第2類物質を製造・取り扱う業務であり、第3類物質のみを取り扱う業務では選任は不要である。
正答:特定化学物質の区分(第1類・第2類・第3類)のうち、製造の禁止(使用禁止)規制が最も厳しいのは第3類物質であり、第1類物質は許可制、第2類物質は届出制で規制されている。

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誤りはエです。特定化学物質の規制強度は「第1類が最も厳しく・第3類が最も緩い」というのが正しい順序です。第1類物質(確認または強く疑われる発がん性物質)は製造に厚生労働大臣の許可が必要な最も厳しい規制対象です。エの「第3類物質が最も厳しく製造禁止」は完全な逆の誤りです。

ア(第1類の特徴)・イ(第2類の特徴)・ウ(第3類の特徴)・オ(作業主任者は第1類・第2類のみ必要)はいずれも正しい内容です。数字の大きい類が規制が厳しいと誤解する引っかけが典型的です。

標準試験対策の基準レベル

特定化学物質の3区分の比較:

| 区分 | 有害性の目安 | 規制強度 | 代表物質 | 作業主任者 |

|---|---|---|---|---|

| 第1類 | 確認・強く疑われる発がん性 | 最も厳しい(製造許可制) | ジクロルベンジジン・β-ナフチルアミン・ベンゾトリクロリド | 必要 |

| 第2類 | がん・慢性障害(発がん性含む) | 中間(設備・測定・保護具義務) | クロム酸・トリクロロエチレン・ベンゼン・石綿 | 必要 |

| 第3類 | 刺激性・腐食性(大量漏えいで急性障害) | 比較的緩い(漏えい防止等) | アンモニア・塩酸・硫酸・硝酸・フッ化水素 | 不要 |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 第1類物質は発がん性が確認または強く疑われる最も危険な物質群。製造には厚生労働大臣の許可が必要(安衛法第56条)。ジクロルベンジジン・β-ナフチルアミン等は染料製造の歴史的職業がん原因物質。
  • イ(正): 第2類物質はがん・慢性障害の原因物質を幅広く含む。特化則の規制(局所排気装置・特殊健康診断・保護具等)が課される。溶接ヒューム(2021年追加)もこの区分。
  • ウ(正): 第3類物質は刺激性・腐食性の物質が中心。大量漏えい時の急性障害防止が主な規制目的で、主な規制は漏えい防止設備・緊急時措置。
  • エ(誤): 第3類が「最も厳しく製造禁止」は誤り。正しくは第1類が最も厳しい(製造許可制)・第2類が中間・第3類が比較的緩い。規制強度は「数字が小さいほど厳しい」。
  • オ(正): 作業主任者(特定化学物質作業主任者)の選任義務は第1類・第2類物質を製造・取り扱う業務に限られ、第3類物質のみの業務では不要(安衛法第14条・安衛令第6条)。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

特定化学物質障害予防規則(特化則)は、がん・慢性疾患・急性中毒などの深刻な健康障害を引き起こす化学物質を区分して管理するための規則です。1972年の安衛法制定に合わせて整備され、その後の科学的知見の蓄積・国際的な規制動向(IARC発がん性分類等)に応じて対象物質の見直しが継続的に行われています。

3区分の設計思想:

  • 第1類(8物質・2024年現在): 製造段階から厳格に規制する「許可制」。許可なしの製造は禁止。試験研究目的の製造も許可対象。歴史的に職業がんの原因として確認された物質(染料中間体・特殊化学品)が多い。
  • 第2類(数十物質): 発がん性・慢性毒性を有するが第1類ほど製造規制は厳しくない物質群。設備(局所排気装置等)・特殊健診・作業主任者・作業環境測定の4つが主な義務。2021年の溶接ヒューム追加が最近の重要改正。
  • 第3類(14物質・2024年現在): 主に大量漏えい時の急性障害リスクが高い刺激性・腐食性物質。アンモニア・塩酸・硫酸等の基本的工業薬品を含む。発がん性のリスクより急性災害防止が主な規制目的。

【実務・条文構造】

第1類物質の製造許可制度(安衛法第56条):

  • 許可申請先: 厚生労働大臣(実際は都道府県労働局長への申請・大臣が審査)
  • 許可条件: 製造設備の要件・管理体制・作業環境の確保等
  • 許可なしの製造: 法違反(罰則あり)
  • 試験研究・分析目的の場合も許可が必要

特定化学物質作業主任者の選任義務(安衛法第14条・安衛令第6条第18号):

  • 選任が必要: 特定化学物質(第1類・第2類)の製造・取り扱い業務
  • 資格: 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習の修了者
  • 職務: 作業の指揮・保護具の着用確認・作業場所の点検等
  • 第3類物質のみの業務: 選任義務なし

健康管理手帳の対象物質(安衛法第67条):

石綿・ベンゼン・クロム酸塩等の特定物質への一定の曝露歴がある離職者に対し、都道府県労働局長が交付する手帳。離職後も定期健康診断を受診できる制度で、潜伏期の長いがん・肺疾患の早期発見に役立てる。

【試験での位置づけ】

特定化学物質の区分問題の最頻出は「第1類が最も厳しい規制(第3類が最も厳しいという逆の誤り)」「作業主任者の選任義務は第1類・第2類のみ(第3類は不要)」「第1類の発がん性・第3類の刺激性・腐食性という有害性の特徴の差」の3点です。エのような「数字の大きい類が最も厳しい」という逆転の誤りは最頻出の引っかけパターンです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: ジクロルベンジジン(DCB)は染料中間体として合成繊維・塗料業界で使用されてきた物質で、膀胱がんとの関連が確認されています。β-ナフチルアミン(BNA)も膀胱がん原因物質として歴史的に重要で、日本ではすでに製造禁止となった物質が多いですが、輸入品・混在等への注意が継続的に必要です。
  • イ: 第2類物質に含まれるベンゼンは骨髄毒性(白血病リスク)があり、管理濃度1ppmという非常に低い基準値が設定されています。トリクロロエチレンは中枢神経毒性・肝毒性に加え、発がん性(主に腎がん)も確認されており規制が強化されています。
  • ウ: フッ化水素(HF)は第3類物質ですが、毒性は非常に強く、皮膚に付着すると深部まで浸透してカルシウムと結合(フッ化カルシウム形成)し、重篤な組織壊死・全身性の低カルシウム血症(心不全・死亡リスク)を引き起こします。第3類に分類されていますが取り扱いには高度の注意が必要です。
  • エ: 規制強度と区分番号が逆の誤りは非常に頻繁に出題されます。覚え方として「1類は一番危ない(許可制)・3類は比較的ゆるい(漏えい防止中心)」と整理すると逆転を防げます。
  • オ: 特定化学物質作業主任者の職務内容も試験で問われます。主な職務は(1)作業に従事する労働者の指揮・(2)局所排気装置等の点検・(3)保護具の点検と適切な使用の確認・(4)作業方法の決定と指揮。これらは第1・2類のみが対象であり、第3類業務では該当しません。

【根拠】労働安全衛生法第56条(製造許可)・第14条(作業主任者)・第67条(健康管理手帳)。特定化学物質障害予防規則。

【補足】第1類が最も厳しい規制(製造許可制)・第3類が最も緩い(漏えい防止中心)。作業主任者の選任義務は第1類・第2類のみ(第3類は不要)。第1類=発がん性・第3類=刺激性腐食性(大量漏えいリスク)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法・特定化学物質障害予防規則(特化則)。第1類・第2類・第3類の定義・規制の差は特化則の条文に準拠。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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