関係法令(有害業務)3第一種酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問3:酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)

酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 酸素欠乏症等防止規則において、「酸素欠乏」とは空気中の酸素濃度が18%未満の状態をいい、「酸素欠乏危険場所」とはその状態になるおそれのある場所のことをいう。
  • 第2種酸素欠乏危険作業とは、酸素欠乏危険作業のうち、酸素欠乏症にかかるおそれおよび硫化水素中毒にかかるおそれのある場所における作業であり、第1種は酸素欠乏症のみのおそれがある場所における作業をいう。
  • 酸素欠乏危険作業主任者は、第1種酸素欠乏危険作業と第2種酸素欠乏危険作業のいずれも同一の技能講習修了者が担当することができる。正答
  • 酸素欠乏危険場所における作業を開始する前に、当該場所の酸素濃度(第2種作業では硫化水素濃度も)を測定し、その測定記録を3年間保存しなければならない。
  • 事業者は、酸素欠乏危険作業を行う場所において、酸素欠乏のおそれが生じたときは、空気中の酸素濃度を18%以上(第2種にあっては酸素18%以上かつ硫化水素10ppm以下)に保つように換気しなければならないが、爆発・酸化等を防止するため換気できない場合等は、労働者に空気呼吸器等(送気マスク・空気呼吸器)を使用させなければならない。
正答:酸素欠乏危険作業主任者は、第1種酸素欠乏危険作業と第2種酸素欠乏危険作業のいずれも同一の技能講習修了者が担当することができる。

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誤りはウです。第2種酸素欠乏危険作業の作業主任者は、第2種酸素欠乏危険作業主任者技能講習を修了した者でなければなりません。第1種の技能講習修了者では第2種の作業主任者を担当できません。「同一の技能講習修了者が担当できる」という記述が誤りです。

逆は可能です: 第2種の技能講習を修了した者は、第1種の酸素欠乏危険作業の作業主任者にもなれます(第2種の方がより高度な知識・技能を要求するため、第1種の作業にも対応可能)。

酸素欠乏(18%未満・ア)・第1種/第2種の区分(イ)・作業前測定と記録3年(エ)・換気と保護具(酸素18%以上に保つ換気、換気困難時は空気呼吸器等を使用・オ)はすべて正しい内容です。

標準試験対策の基準レベル

酸素欠乏危険作業の区分と作業主任者の資格要件:

| 区分 | 作業場所の特徴 | 必要な資格 |

|---|---|---|

| 第1種 | 酸素欠乏症のみのおそれ | 第1種酸素欠乏危険作業主任者技能講習修了(または第2種でも可) |

| 第2種 | 酸素欠乏症かつ硫化水素中毒のおそれ | 第2種酸素欠乏危険作業主任者技能講習修了(第1種では不可) |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 酸欠則第2条第1号の定義。酸素欠乏=酸素濃度18%未満(標準大気の酸素濃度は約21%)。18%を下回ると中枢神経の酸素不足が始まり危険です。
  • イ(正): 酸欠則第2条第3〜4号の定義。第1種(酸素欠乏のみ)・第2種(酸素欠乏+硫化水素中毒の両方のリスク)の区別。下水道・汚水槽・腐敗有機物のある場所が第2種の典型例。
  • ウ(誤): 第1種と第2種では技能講習の内容が異なり(第2種では硫化水素関連の知識が追加)、第1種の修了者は第2種の作業主任者になれません。ただし第2種技能講習を修了した者は、第1種の作業主任者にもなれます(包含関係)。
  • エ(正): 酸欠則第3条(作業開始前の酸素等濃度測定義務・測定記録の3年間保存)。第2種作業では酸素濃度+硫化水素濃度の両方を測定する必要があります。
  • オ(正): 酸欠則第5条(換気)・第5条の2(保護具)の通り、酸素濃度を18%以上(第2種は硫化水素10ppm以下も)に保つよう換気するのが原則ですが、爆発・酸化等のおそれがあり換気できない場合や作業の性質上換気が著しく困難な場合は、空気呼吸器・送気マスク等を労働者に使用させなければなりません。換気による濃度確保が第一義であり、それが困難な場合に保護具で代替する、という優先順位が定められています。
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【理論的背景】

酸素欠乏症は、閉鎖・半密閉空間(タンク・坑道・溝渠・マンホール・船倉等)での作業中に発生する重大な労働災害の一つです。酸素欠乏状態(O₂ 18%未満)では数分以内に意識を失い、救助に行った者も同様に被災するという「連鎖死亡」が特徴的な危険です。また硫化水素(H₂S)は腐敗した有機物(下水・汚泥)から発生し、微量(10ppm)でも粘膜刺激・高濃度では即死に至る強毒性ガスです。

酸素欠乏症の発症機序:

  • O₂濃度18%: 安全限界下(危険の始まり)
  • O₂濃度16%: 頭痛・吐き気・疲労
  • O₂濃度12%: めまい・筋力低下・脱出能力の低下
  • O₂濃度10%以下: 意識喪失→数分内に死亡
  • O₂濃度6%以下: 即死

硫化水素(H₂S)の毒性:

  • 10ppm: 粘膜刺激・目・鼻・喉の症状 ←第2種作業の危険基準(10ppm超が危険)
  • 50ppm: 急激な頭痛・眼結膜炎
  • 200〜300ppm: 意識を失う
  • 700〜1,000ppm: 即死(化学的窒息)

【実務・条文構造】

酸欠則の主要規制体系:

作業前の安全確認:

  • 酸素濃度(第1種)・酸素+硫化水素濃度(第2種)の測定義務(酸欠則第3条)
  • 記録: 3年間保存
  • 測定方法: 酸素濃度計・硫化水素検知管等の器具を使用

作業中の安全措置:

  • 換気(硫化水素の場合: 爆発防止のため強制換気・換気の障害となる送気マスクの使用も考慮)
  • 救出用具の配備(送気マスク・救命索・空気呼吸器等)
  • 監視人の配置(連絡が取れる状態の維持)

個人保護具:

  • 酸欠危険場所: 空気呼吸器・送気マスク(防毒マスク・防じんマスクは酸欠では使用不可)
  • 硫化水素発生場所: 送気マスクまたは空気呼吸器

作業主任者の選任と職務(酸欠則第11条〜第12条):

  • 第1種: 第1種酸素欠乏危険作業主任者技能講習修了者(または第2種修了者)
  • 第2種: 第2種酸素欠乏危険作業主任者技能講習修了者のみ

技能講習の内容の違い:

  • 第1種: 酸素欠乏症の知識・測定方法・換気・保護具・救出
  • 第2種: 第1種の内容 + 硫化水素中毒の知識・硫化水素の測定・硫化水素に対応した保護具の選択

特別教育の実施義務(酸欠則第12条・安衛則第36条):

  • 特別教育は「当該業務に就かせる前」に実施するもの(定期的な繰り返しは別途定めなし)

【試験での位置づけ】

酸欠則問題の頻出は「酸素欠乏の定義(18%未満)」「第1種(酸欠のみ)vs第2種(酸欠+硫化水素)の区別」「第2種の技能講習修了者は第1種も担当可能だが逆は不可」「作業前測定・記録3年保存」「硫化水素の危険基準(10ppm超)」です。ウのような「第1種修了者が第2種を担当できる」誤りは典型的な引っかけです。第2種の方が要求水準が高い(第1種の上位互換)という包含関係の方向性を正確に理解することが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 酸素欠乏の定義「18%未満」は厳密な法定定義です。通常の大気中O₂濃度は約21%(≒20.9%)。酸素欠乏危険場所の典型例: 地下鉄・トンネル・下水管・マンホール・長期密閉されたタンク・果実等の呼吸で酸素が消費される場所(穀物サイロ等)。
  • イ: 第2種危険場所の典型例: 下水道・汚水槽・畜舎の地下・腐敗物質が入ったタンクなど。これらは嫌気性細菌が有機物を分解してH₂Sを発生させます。
  • ウ: 「第2種の上位互換」という概念は、安全管理の資格体系でよく見られます。高い技能・知識を認定された者が、より低い要求水準の作業にも対応できるという原則です。逆(低いレベルの資格で高い要求の作業を行う)は安全上の理由から認められません。
  • エ: 作業前測定は「当日の作業開始前」という意味です。前日・前週の測定では不十分(環境が変化するため)。特にマンホール内の作業では、蓋を開けた直後から随時測定する実務が求められます。
  • オ: 酸欠則は「換気を第一義(酸素18%以上に保つ・第2種は硫化水素10ppm以下も)」とし、爆発・酸化防止のため換気できない場合や換気が著しく困難な場合に限り、空気呼吸器・送気マスク等の保護具で代替するという優先順位を定めています(第5条・第5条の2)。なお酸欠環境では防じんマスク・防毒マスク(空気をろ過するだけで酸素を供給しない)は使用できない点も重要です。あわせて、酸素欠乏危険作業には就業前の特別教育(安衛則第36条)も必要ですが、これは「6か月ごとに繰り返す」定期教育ではなく、就業前の一回が原則です。

【根拠法令】酸素欠乏症等防止規則 第2条第1号(酸素欠乏の定義:18%未満)・第2条第3〜4号(第1種・第2種の定義)・第11条(作業主任者の選任)・第13条(技能講習の種別:第1種・第2種)・第3条(作業前測定・記録3年保存)・第5条(換気)・第5条の2(空気呼吸器等の使用)

【補足】第2種技能講習修了者は第1種も担当可能だが、第1種修了者は第2種を担当不可(包含関係)。酸素欠乏=18%未満・硫化水素危険=10ppm超。換気が第一義・換気困難時は空気呼吸器等を使用。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)第11条・第13条(作業主任者の資格要件)、安衛法第14条・安衛令第6条。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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