基本情報 平成24年度 秋期 問16:テクノロジ系に関する問題
フォールトトレラントシステムを実現する上で不可欠なものはどれか。
- aシステム構成に冗長性をもたせ, 部品が故障してもその影響を最小限に抑えるこ とで, システム全体には影響を与えずに処理を続けられるようにする。正答
- bシステムに障害が発生したときの原因究明や復旧のため, システム稼働中のデー タベースの変更情報などの履歴を自動的に記録する。
- c障害が発生した場合, 速やかに予備の環境に障害前の状態を復旧できるよう, 定 期的にデータをバックアップする。
- d操作ミスが発生しにくい容易な操作にするか, 操作ミスが発生しても致命的な誤 りとならないように設計する。
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答えは a です。
フォールトトレラントとは「壊れても止まらないシステム」のこと。フォールト=故障、トレラント=耐える、で「故障に耐える」という意味。
コツは部品を2つ以上用意しておく(冗長化)こと。たとえば飛行機のエンジンが2つあるのと同じで、片方が壊れてももう片方が動くから墜落しません。
👉 覚え方:「フォールトトレラント=冗長化で止めない」。
ほかの選択肢:b はログ取得(事後の原因究明)/c はバックアップ(壊れた後に戻す)/d はフールプルーフ(操作ミスを防ぐ別の考え方)。
なぜこれが正解か
正解は a。フォールトトレラントシステムは、構成要素に冗長性(redundancy)を持たせ、一部の部品が故障してもシステム全体としては処理を継続できる設計思想。代表例はRAID(ディスク冗長)、デュプレックス/デュアルシステム(CPU冗長)、クラスタリング。
各選択肢の解説
- b:障害時の原因究明・復旧のためのログ自動記録 → ジャーナル取得/監査ログ。
- c:定期的バックアップで予備環境に復旧 → バックアップ/DR(災害復旧)。
- d:操作ミスでも致命的にならない設計 → フールプルーフ(fool-proof)。
覚え方・ひっかけ注意
「トレラント=耐える=冗長で止めない」「フールプルーフ=バカ除け=操作ミス対策」「フェールセーフ=壊れても安全側に倒す」「フェールソフト=壊れても機能限定で稼働」を4点セットで区別。冗長化のキーワードがあれば即a。
理論的背景
フォールトトレランスは「故障が発生してもサービスを継続する設計思想」で、信頼性工学の中核概念。冗長化方式には (1) 静的冗長(常時並列稼働、TMR=Triple Modular Redundancyで多数決)と (2) 動的冗長(予備系を待機させ故障時に切替、ホットスタンバイ/コールドスタンバイ)がある。関連概念として、フェールセーフ(故障時に安全な状態へ移行:踏切は止まる方向)、フェールソフト(性能を落としてでもサービス継続:縮退運転)、フォールトアボイダンス(高品質部品で故障そのものを防ぐ)、フールプルーフ(誤操作防止)があり、いずれもディペンダビリティを高める設計。
実務での使われ方
金融系の勘定系システム、航空管制、医療機器、データセンタはフォールトトレラント設計が必須。HPE NonStop(旧Tandem)は専用フォールトトレラントサーバとして有名。クラウド時代はマルチAZ/マルチリージョン構成で実現し、Kubernetes のPod自動再起動、Auto Scaling、データベースのレプリケーション(同期/非同期)等が技術要素。CAP定理(Consistency, Availability, Partition tolerance)で可用性とのトレードオフが議論される。
試験での位置づけ
FE・APの信頼性設計頻出テーマ。MTBF/MTTR/MTTFと稼働率計算、直列・並列システムの稼働率公式、RAID 0/1/5/6/10のデータ保護方式が併せて問われる。応用情報・スペシャリスト試験ではDR(Disaster Recovery)のRPO/RTO、ビザンチン障害耐性(Byzantine Fault Tolerance、ブロックチェーンのPBFT)まで踏み込む。
選択肢の発展補足
bのジャーナル(ログ)はリカバリ機構の一部で、トランザクション処理ではWAL(Write-Ahead Logging)として実装され、ロールバック・ロールフォワード復旧の基盤。cのバックアップはフルバックアップ・差分バックアップ・増分バックアップの組合せで運用し、3-2-1ルール(3コピー、2種類のメディア、1つはオフサイト)が業界標準。dのフールプルーフは、JR券売機の硬貨投入口形状、医療機器の色分け、自動車のセーフティロックなど物理設計にも応用される。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成24年度 秋期 問16/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。