基本情報 平成29年度 秋期 問47:テクノロジ系に関する問題
ソフトウェアのレビュー方法の説明のうち, インスペクションはどれか。
- a作成者を含めた複数人の関係者が参加して会議形式で行う。レビュー対象とな る成果物を作成者が説明し, 参加者が質問やコメントをする。
- b参加者が順番に司会者とレビュアになる。司会者の進行によって, レビュア全 員が順番にコメントをし, 全員が発言したら, 司会者を交代して次のテーマに移 る。
- cモデレータが全体のコーディネートを行い, 参加者が明確な役割をもってチェ ックリストなどに基づいたコメントをし, 正式な記録を残す。正答
- dレビュー対象となる成果物を複数のレビュアに配布又は回覧して, レビュアが コメントをする。
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答えは c です。
レビュー(成果物のチェック)にはいろんな方式があります。インスペクションは、その中で最も厳格・公式な形式:
- モデレータ(進行役)が全体を仕切る
- 参加者は事前に役割が決まっている(書記、リーダー、レビュア…)
- チェックリストで抜けなく確認
- 正式な記録を残す
👉 覚え方:インスペクション=検査官の本気チェック!
ほかの選択肢:a 作成者が説明=ウォークスルー/b 順番に発言=ラウンドロビン/d 配布して個別コメント=パスアラウンド。
なぜこれが正解か
正解は c。インスペクション(inspection)は、Michael Faganが1976年に提唱した最も形式的なレビュー手法。モデレータが全体進行を統制し、参加者は明確な役割分担(作成者、レビュア、書記、リーダーなど)の下、事前準備+チェックリストに基づく指摘を行い、正式な記録を残す。バグ検出率が他レビュー手法より高いとされる。
各選択肢の解説
- a 作成者が説明=ウォークスルー:作成者主導の非形式的レビュー。プレゼン形式で参加者から指摘を受ける。
- b 司会者交代の順次発言=ラウンドロビンレビュー:全員が均等に発言する平等型。
- c モデレータ統制+役割分担+チェックリスト+正式記録=インスペクション → 正解。
- d 配布・回覧してコメント=パスアラウンドレビュー:個別に書面・電子コメントで指摘、効率重視。
覚え方・ひっかけ注意
4手法を形式度の順で覚える:インスペクション(最も形式的)>ウォークスルー>ラウンドロビン>パスアラウンド(最も非形式的)。インスペクションは「モデレータ・役割・チェックリスト・正式記録」の4キーワードがそろっていればこれと判定可能。
理論的背景
Faganインスペクション(1976、IBM)は最古かつ最も影響力のあるレビュー手法。以下の6フェーズで構成:
1. 計画(Planning):モデレータが対象選定、参加者選定、資料準備。
2. 概要説明(Overview):作成者が背景を共有。
3. 準備(Preparation):各参加者がチェックリスト・標準に基づき個別レビュー。
4. インスペクション会議(Meeting):欠陥(defect)の発見・記録。解決策の議論は禁止(時間を浪費する)。
5. 再作業(Rework):作成者が指摘事項を修正。
6. フォローアップ(Follow-up):モデレータが修正確認。
レビュー手法の分類(IEEE 1028)
IEEE 1028-2008 では以下を定義:
- マネジメントレビュー:経営判断目的。
- テクニカルレビュー:技術的妥当性検証。
- インスペクション:標準遵守と欠陥検出(最も形式的)。
- ウォークスルー:作成者主導の教育・周知目的。
- 監査:独立的・第三者的評価。
バグ検出効率
- インスペクションは経験則上、テスト工程より早期かつ低コストで欠陥を発見できる(Boehmの「欠陥修正コストは下流ほど指数的に増加」)。
- ペアプログラミング(XP)はリアルタイム・インクリメンタルな相互レビューとして近年のアジャイル開発で代替・補完される。
- コードレビュー(GitHub PR、Gerrit、Crucible)は非同期型ウォークスルー/インスペクションのデジタル実装。
試験での位置づけ
FE「ソフトウェア開発管理/レビュー」分野で頻出。4手法の特徴判別は応用情報・PMでも継続出題。プロジェクトマネジメント、品質管理、CMMI(特にレベル3のPPQA:Process and Product Quality Assurance)との関連で問われる。
実務との接続
- アジャイル開発:スプリントレビュー、コードレビューPR、ペアプロで簡略化された継続的レビューが主流。
- 規制業界(医療、航空、自動車:ISO 26262、IEC 62304):依然としてFagan型インスペクションがトレーサビリティ確保の標準。
- AIによるレビュー支援:GitHub Copilot、CodeRabbit等がレビュー作業を補助。
選択肢の発展補足
bのラウンドロビンはブレーンストーミング系の発想技法と混同しがち。dのパスアラウンドは地理的に分散したチームでメール・ツール経由で行われる現代的手法。aのウォークスルーはSEPGや初学者教育目的で有効、欠陥検出効率はインスペクションに劣る。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成29年度 秋期 問47/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。