基本情報 2022 サンプル問題 問53:テクノロジ系に関する問題
新しい事業に取り組む際の手法として,E.リースが提唱したリーンスタートアップ の説明はどれか。
- a国・地方公共団体など,公共機関の補助金・助成金の交付を前提とし,事前に詳 細な事業計画を検討・立案した上で,公共性のある事業を立ち上げる手法
- b市場環境の変化によって競争力を喪失した事業分野に対して,経営資源を大規模 に追加投入し,リニューアルすることによって,基幹事業として再出発を期す手法
- c持続可能な事業を迅速に構築し,展開するために,あらかじめ詳細に立案された 事業計画を厳格に遂行して,成果の検証や計画の変更を最小限にとどめる手法
- d実用最小限の製品・サービスを短期間で作り,構築・計測・学習というフィード バックループで改良や方向転換をして,継続的にイノベーションを行う手法 - 27 -正答
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは d です。
リーンスタートアップは「最初から完璧を目指さず、まず“小さな試作品”を作ってお客さんに使ってもらい、反応を見て直す」やり方。料理で言えば、いきなりフルコースを出さず“試食”を出して感想を聞き、味を調整するイメージ。
大事なキーワードは「MVP(実用最小限の製品)」と「構築→計測→学習のループ」。失敗してもすぐ作り直せるから、ムダなく新事業を立ち上げられます。
👉 覚え方:Lean=ぜい肉のない=ムダなく。小さく作って、試して、直す。
ほかの選択肢:a 補助金前提の計画事業/b 衰退事業に大金投入で再生/c 計画ガチガチで変更しない、はどれもリーンの逆。
なぜこれが正解か
正解は d。リーンスタートアップは Eric Ries が2011年に提唱した起業手法。MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品) を短期間で作り、市場に投入して顧客の反応を計測し学習する「Build-Measure-Learn(構築→計測→学習)」のフィードバックループを高速に回す。検証結果に応じてピボット(方向転換)または継続(パーサヴィア)を判断し、不確実性の高い新規事業を効率的に立ち上げる。
各選択肢の解説
- a:補助金前提・事前詳細計画は従来型の公共事業/伝統的事業計画手法。
- b:衰退事業への大規模再投資はターンアラウンド(事業再生)戦略であり、リーンとは別概念。
- c:詳細計画を厳格遂行・変更最小はウォーターフォール/ストラテジック・プランニング型で、リーンの真逆。
覚え方・ひっかけ注意
キーワード「MVP/構築・計測・学習/ピボット」のいずれかが選択肢にあれば即リーンスタートアップ。cは“持続可能な事業を迅速に”という前半が紛らわしいが、後半「計画変更を最小限」が完全に反対なので除外できる。
理論的背景
リーンスタートアップは Eric Ries 著『The Lean Startup』(2011)が起点。源流は Steve Blank の「カスタマー・デベロップメント・モデル」と、トヨタ生産方式由来の「リーン生産方式(Lean Manufacturing)」。中心概念は以下:
- MVP(Minimum Viable Product):仮説検証に必要な最小機能のみ実装した製品
- Build-Measure-Learn ループ:構築→計測→学習→アイデア改良の高速反復
- 検証済み学習(Validated Learning):定量データに基づく仮説検証
- イノベーション会計(Innovation Accounting):従来型KPIではなく、進捗を新規事業向けに測る指標体系
- ピボット:戦略の方向転換(ズームイン/ズームアウト/顧客セグメント/カスタマーニーズ/プラットフォーム/ビジネスアーキテクチャ/価値捕獲/成長エンジン/チャネル/テクノロジーの10種類)
関連手法
- デザイン思考(IDEO・スタンフォードd.school):共感→定義→発想→試作→テスト
- アジャイル開発/スクラム:MVP実装の手段として親和性高い
- ジョブ理論(Clayton Christensen):顧客が片付けたい「ジョブ」を起点に製品設計
- ビジネスモデルキャンバス(Osterwalder):仮説の可視化・更新ツール
実務での扱い
シリコンバレーのスタートアップで標準手法化し、大企業の新規事業開発(社内ベンチャー・両利きの経営)にも導入。GE の FastWorks、トヨタの 0→1 プロジェクトなど大企業導入事例多数。日本では経産省「スタートアップ育成5か年計画」(2022)でリーン手法が推奨されている。
試験での位置づけ
ストラテジ系(経営戦略・新規事業)で頻出。基本情報技術者・応用情報技術者試験ではアジャイル開発・デザイン思考・DXとの関連で複合出題される。MBA・中小企業診断士でも基礎概念として扱われる。
選択肢の発展補足
cの「計画厳格遂行型」は古典的な5カ年計画/長期計画で、不確実性が低い既存事業に適する。bの事業再生はターンアラウンドマネジメントで、組織再編・債務再編・コア事業再定義など別個の戦略フレームが用いられる。リーンとアジャイルは混同されがちだが、リーンは“何を作るかの仮説検証”、アジャイルは“どう作るかの開発プロセス”と整理すると区別が明確。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 2022 サンプル問題 問53/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。