基本情報 令和5年度 科目A 問13:テクノロジ系に関する問題
図に示すとおりに作業を実施する予定であったが,作業A で1 日の遅れが生じた。 各作業の費用増加率を表の値とするとき,当初の予定日数で終了するために掛かる増 加費用を最も少なくするには,どの作業を短縮すべきか。ここで,費用増加率とは, 作業を1 日短縮するために要する増加費用のことである。 A B D C E 4 G 4 6 4 8 5 F 5 作業名 標準日数 凡例 作業名費用増加率 A 4 B 6 C 3 D 2 E 2.5 F 2.5 G 5
- aB
- bC
- cD
- dE正答
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答えは d「E」 です。
この問題は「Aが1日遅れたから、別の作業を1日短くして埋め合わせよう。費用が一番安いのはどれ?」というもの。
ポイントは2つ:
1. クリティカルパス(プロジェクト全体の所要日数を決める最長経路)上の作業でないと、いくら短くしても全体は早くならない。
2. その中で費用増加率(1日短縮あたりの追加コスト)が最も安い作業を選ぶ。
クリティカルパス上の作業はB(6)・E(2.5)・G(5)などで、その中でE=2.5が最安。
👉 覚え方:“クリティカルパス上で最安”。
他の選択肢:BやGも経路上だが費用が高い/CやDはクリティカルパス外なので短縮しても無意味。
なぜこれが正解か
正解は d。アローダイアグラム(PERT図)の問題では、まずクリティカルパス(CP:所要日数が最大の経路)を特定する。本問の経路所要日数を計算するとA-C-E-Gが最長でこれがCP。Aが1日遅延した場合、CP上の作業を短縮しないと全体工期は回復しない。
CP上の作業のうち費用増加率は A=4, C=3, E=2.5, G=5 で、E=2.5が最小。よって作業Eを1日短縮すれば、追加費用2.5(最小)で当初予定日数に戻せる。
各選択肢の解説
- a B(6):CP上にあれば候補だが費用増加率が高い/CP外なら無意味。
- b C(3):CP上だがEの2.5の方が安い。
- c D(2):費用は最安だがCP上にないため短縮しても全体工期に影響しない。
- d E(2.5):CP上 & CP上では最安 ✓
覚え方・ひっかけ注意
CPでない作業を短縮しても工期は短縮されない——これがPERT問題の最重要トラップ。Dの費用増加率2が最も安いが、CP外なら答えにならない。「最安」だけで飛びつかず、必ずCP判定→CP上で最安の2段階で判断する。「クラッシング(crashing)」と呼ばれる工期短縮手法の基本問題。
理論的背景:PERT/CPMとクラッシング
PERT(Program Evaluation and Review Technique)/CPM(Critical Path Method)は1950年代に米海軍ポラリスミサイル計画とDuPont社で並行開発されたプロジェクトスケジューリング技法。CPMは決定的時間、PERTは3点見積(楽観値o・最頻値m・悲観値p)から期待値 (o+4m+p)/6 と分散 ((p-o)/6)^2 を求める確率的手法だが、現在は両者を区別せず統合して用いられることが多い。
クラッシング(crashing)は追加資源(残業・人員追加)で工期を短縮する手法で、本問はその基本問題。費用増加率(cost slope)が最小かつCP上の作業から順に短縮するのが定石で、最終的に総費用と総工期のトレードオフ曲線(time-cost trade-off)を描いて最適点を選ぶ。
実務での適用とツール
- MS Project・Primavera P6等のPMツールでCP・余裕日数(フロート/スラック)が自動計算される。
- トータルフロート(TF):作業をどれだけ遅らせてもプロジェクト工期に影響しないか。CP上の作業はTF=0。
- フリーフロート(FF):後続作業の最早開始時刻に影響しない遅延許容量。
- 複数CPの場合:CPが2本以上ある時は、両方のCP上の作業を同時に短縮する必要があり、組合せ最適化が必要。
試験での位置づけ
プロジェクトマネジメント分野の超頻出。基本情報技術者試験ではPMBOKガイドのスケジュールマネジメント(順序設定・期間見積・スケジュール作成・コントロール)と紐づけて出題。EVM(Earned Value Management)のSPI(Schedule Performance Index)・CPI(Cost Performance Index)と組み合わせた進捗管理問題も定番。
選択肢の発展補足
- クラッシングと混同されるファストトラッキングは、順次実行作業を並行化する手法で追加費用は発生しないがリスクが増す。
- リソースレベリング(resource leveling)は資源制約を考慮した再スケジューリングで、CPが変わる可能性がある。
- 近年はモンテカルロシミュレーションで完了日確率分布を求める手法(@RISK等)も普及。アジャイル開発では固定スプリント長のため、CPMよりベロシティベースの予測(バーンダウン/バーンアップチャート)が主流。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 令和5年度 科目A 問13/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。