行政書士 行政法 問1:行政行為の分類・許可・認可・特許の区別
行政行為の類型に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア許可とは、法令により一般に禁止されている行為について、特定の者に対しその禁止を解除し適法に行為することを認める行政行為であり、営業免許の付与がその典型例である。正答
- イ認可とは、行政庁が自ら公権力を行使して新たな法律関係(権利・義務)を設定する行政行為であり、河川の流水占用許可がその典型例とされる。
- ウ特許とは、第三者の法律行為を補充してその法律的効力を完成させる行政行為であり、農地の売買に対する農地委員会の許可がその典型例である。
- エ下命とは、相手方に一定の法的地位・権利を与える行政行為であり、公務員の採用がその典型例とされる。
- オ認定とは、特定の事実や法律関係が存在することを公的に確認・証明する行政行為であり、当事者間に争いがある場合の確認がその典型とされる。
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行政行為の3類型(許可・認可・特許)の区別が問われています。①許可: 一般的禁止の解除(例:運転免許・営業許可)。②認可: 第三者(私人)間の法律行為の効力補充(例:農地売買の農業委員会許可・銀行設立認可)。③特許: 行政が新たに権利・法律関係を設定(例:公有水面埋立て免許・河川占用許可・電気事業許可)。アは「一般的禁止の解除」として許可を正確に説明しており、営業免許も典型例として正しい。イは認可の説明ではなく特許の説明です(新たな法律関係の設定=特許)。ウは特許の説明ではなく認可の説明です(法律行為の効力補充=認可)。
行政行為の3類型の対応表を整理します。許可(ア正答の根拠): 本来は誰でもできる行為を、安全・衛生等の政策的理由で一時的に禁止し、要件を充たす者にその禁止を解除する行政行為。営業許可・運転免許・建築確認(性質上は特殊だが許可型と整理する場合もある)が典型。許可を受けた者は禁止前と同じ自由権を回復するにすぎない。認可(ウで誤って説明されていた内容): 私人間の法律行為(売買・設立行為等)に行政庁が関与し、その効力を完成させる行政行為。農地売買の農業委員会許可・銀行設立認可・会社の合併認可等。私人の意思表示が前提にあり、認可がなければ効力が生じない。特許(イで誤って説明されていた内容): 行政庁が主体となって相手方に権利・法律関係・法的地位を新たに設定する行政行為。公有水面埋立免許・電気・ガス事業の許可・外国人の帰化許可・公務員の採用(授益的特許)等。特許により相手方は法律上新たに権利・地位を得る点が許可と異なります。
【理論的背景】
行政行為の類型論は、19世紀ドイツ公法学(エルンスト・フォルストホフ等)に遡る学説的分類です。法律行為的行政行為(意思表示の効果として法律関係の変動を生ずる)と準法律行為的行政行為(意思表示ではなく認識・判断・事実確認等の表示)の大区分があり、前者が命令的行為(許可・下命・禁止・免除)と形成的行為(特許・認可・代理)に分かれます。日本の通説は大略これを受け継いでいますが、個別法令の「許可」「認可」「特許」という名称が必ずしも学問上の分類と一致しない点が試験での引っかけポイントとなります。
【実務・条文構造】
法令用語と学問的分類の不一致(最重要):
- 農地法3条・5条の「許可」→学問上は認可(私人間の農地売買・賃貸借の効力補充)
- 食品衛生法の「営業許可」→学問上も許可(衛生管理上の一般的禁止の解除)
- 公有水面埋立法の「免許」→学問上は特許(新たな法律関係の設定)
- 漁業法の「漁業許可」→学問上は特許(排他的漁業権の設定に近い)
試験においては「法令の名称(許可・認可・特許・免許等)に惑わされず、その実質的性格(禁止解除か・効力補充か・新たな設定か)で判断する」という姿勢が重要です。
選択肢分析(詳細):
- エ(下命の説明として「相手方に法的地位・権利を与える」は誤り):下命とは相手方に作為義務・不作為義務・受忍義務を課す行政行為(納税告知・是正命令等)。「権利を与える」のは特許的行為。
- オ(認定の説明):「確認」は行政行為の一類型で、法律的事実・法律関係を公権的に確認するもの(発明の確認・当選人の決定等)。「認定」とは学問上さらに事実の確定に近い概念で、選択肢の内容は概ね確認の説明に近い。
【試験での位置づけ】
行政書士試験では行政行為の類型は毎年問われる最頻出論点です。学問上の分類(許可・認可・特許)と、実際の法令名称(農地法の「許可」が学問上認可に当たる等)のズレを問う問題が典型的な引っかけです。また「行政行為の効力(公定力・不可争力・自力執行力)」との接続も頻出です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 正しい。許可の定義(一般的禁止の解除)と典型例(営業免許・運転免許等)が正確。
- イ: 誤り。「新たな法律関係の設定」は特許の説明。認可は「私人間の法律行為の効力補充」。河川の流水占用許可は学問上特許(行政が新たに占用権という権利を設定)に近い。
- ウ: 誤り。「第三者の法律行為を補充してその効力を完成させる」は認可の説明。農地売買の許可(農地法3条)は学問上認可に当たる。
- エ: 誤り。下命は義務を課す行政行為(作為・不作為・受忍の義務)。「権利を与える」のは特許的行為。公務員の採用は特許的行為の例(新たに公務員という法的地位を設定)。
- オ: 概ね正しいが、「認定」と「確認」は学説上区別される場合があり、「確認」の方が「法律的事実・法律関係の公権的確認」の典型的用語。選択肢の内容(当事者間に争いがある場合の確認)は確認行為の典型例。
【根拠条文】
行政行為の類型論は実定法の特定条文ではなく学説上の分類に基づく。個別法令の具体例:農地法第3条(許可の必要な権利移動)、食品衛生法(営業許可)等。
【補足】
「許可=禁止解除・認可=効力補充・特許=新権利設定」の対応を3語で覚える。農地法の「許可」が学問上は「認可」であることは最頻出の引っかけポイント。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政行為の類型論(通説・学説)。個別根拠:道路交通法(運転免許)・食品衛生法(営業許可)等。 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。