行政法5行政手続法・行政指導

行政書士 行政法 問5:行政手続法・行政指導

行政手続法が定める行政指導に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 行政指導は、相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであり、行政指導に従わないことを理由として、行政庁は不利益な取扱いをしてはならない。
  • 申請の取下げや内容の変更を求める行政指導を行う場合は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したときには、直ちにその行政指導を終了しなければならない。
  • 行政指導を行う際には、その趣旨・内容・責任者を明確にしなければならず、相手方から書面の交付を求められた場合は、特別の支障がない限り書面を交付しなければならない。
  • 同一の行政目的を実現するために一定の条件に該当する多数の者に対してする行政指導(行政指導の共通内容)については、行政庁は指針を定めて公にするよう努めなければならない。
  • 行政機関が法令に違反する事実に関して処分または行政指導をするよう求める「処分等の求め」は、行政手続法の制定当初から設けられていた制度である。正答
正答:行政機関が法令に違反する事実に関して処分または行政指導をするよう求める「処分等の求め」は、行政手続法の制定当初から設けられていた制度である。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・判例も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

オが誤りです。「処分等の求め」(行手法36条の3)は、行政手続法の2014年(平成26年)改正により新設された規定であり、制定当初からある規定ではありません。行手法は1993年制定・1994年施行ですが、36条の3は2015年4月施行の2014年改正で追加されました。アは正しく(行政指導への不従に基づく不利益取扱禁止)、イは正しく(申請関連行政指導への従意なき場合の終了義務)、ウは正しく(趣旨・内容・責任者の明確化義務・書面交付義務)、エは正しい(複数者への行政指導の指針・公表の努力義務)。

標準試験対策の基準レベル

行政指導の各手続規定を整理します。32条(一般原則): 行政指導は任意の協力によって実現されるもので、相手方が従わないことを理由に不利益取扱い禁止(アが正しい)。33条(申請関連行政指導): 申請者が行政指導に従う意思がない旨を表明した場合に直ちに行政指導を終了すること(「申請の取下げ・内容の変更を求める行政指導」について)、また行政指導に従わないことを理由に申請の審査を遅延させてはならないことを規定(イが正しい根拠)。35条(方式): 趣旨・内容・責任者の明確化義務、書面交付義務(ウが正しい)。36条(共通内容の指針): 多数者への行政指導の共通内容は指針を定めて公にするよう努める(努力義務)(エが正しい)。36条の3(処分等の求め): 2014年改正で新設。任意の者が法令違反事実に関し処分・行政指導を求めることができる制度(オが「制定当初から」とする点で誤り)。

上級誤答論破・条文/判例まで深掘り

【理論的背景】

行政指導は法令に基づかない事実上の行為であり、相手方の任意の協力を前提とする行政の行為形式です。法的効果を持たない(行政行為と異なり取消訴訟の対象とはならない)ことから、行政指導を利用して実質的に相手方に義務を課す「指導の陰の強制」が問題視されてきました。行政手続法の行政指導規定(32条〜36条の3)は、この問題に対応するための規律であり、任意性の担保・透明性の確保・申請者保護の3点が立法趣旨です。

【実務・条文構造】

2014年(平成26年)行政手続法改正の意義:2014年改正では、①行政指導の中止等の求め(36条の2新設)と②処分等の求め(36条の3新設)が追加されました。

  • 36条の2(行政指導の中止等の求め): 行政指導が法令要件を充たさないと考える者は、その中止等を求めることができる。
  • 36条の3(処分等の求め): 法令違反事実があると思料する者は、処分権限を有する行政庁に処分または行政指導を行うよう求めることができる。

これらは2015年4月1日施行(行手法の制定は1993年・施行は1994年なので、36条の3は「制定当初からある」という記述は明確に誤り)。行政庁は処分等の求めに対して、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは処分・行政指導をしなければならない義務を負います。

行政指導と申請処理の関係(33条)の詳細:申請の取下げ・内容変更を求める行政指導は申請者が従う意思がなければ直ちに終了しなければならない。これは特に建築確認・開発許可等の分野で、行政が事実上長期間審査を保留する慣行(確認留保・行政指導による引き延ばし)を規制するために重要な規定です。

【試験での位置づけ】

行政書士試験では行政手続法の行政指導規定は毎年出題されるテーマです。典型的な引っかけは「行政指導に従わないことを理由に不利益取扱いが許される(誤り)」「処分等の求めは制定当初から(誤り)」「36条の3は2014年改正で新設(これが正しい)」です。改正年と施行年の混乱(2014年改正・2015年施行)も注意が必要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。32条1項・2項の趣旨。「任意の協力によってのみ実現」「不利益取扱い禁止」は行政指導の本質。
  • イ: 正しい。33条の趣旨(申請関連行政指導の終了義務)。「直ちに」という文言も重要。
  • ウ: 正しい。35条の趣旨。趣旨・内容・責任者の明確化と書面交付義務(特別の支障がない限り)。
  • エ: 正しい。36条の趣旨(多数者への行政指導の指針公表。努力義務)。
  • オ: 誤り(正答)。36条の3は2014年改正(2015年施行)で新設されたもの。「制定当初から設けられていた」は誤り。

【根拠条文】

行政手続法 第32条(行政指導の一般原則)、第33条(申請に関連する行政指導)、第35条(行政指導の方式)、第36条(多数者への指導の指針)、第36条の3(処分等の求め・2014年改正新設)

【補足】

「処分等の求め(36条の3)は2014年改正で新設」という事実は行政書士試験でよく問われる時系列知識。行手法の制定(1993年)・施行(1994年)と2014年改正・2015年施行の区別を押さえること。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政手続法 第32条(行政指導の一般原則)、第33条(申請に関連する行政指導)、第34条(許認可等に関連する行政指導)、第35条(行政指導の方式)、第36条(複数の者を対象とする行政指導)、第36条の3(処分等の求め) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

関連論点

行政手続法・行政指導頻出度A

行政法の他の問題

1
行政行為の分類・許可・認可・特許の区別
2
行政行為の効力・公定力・国家賠償との関係
3
行政手続法・申請に対する処分・審査基準・理由提示
4
不利益処分・聴聞・弁明の機会の付与
6
行政不服審査法・審査請求期間・現行法の審査請求中心主義
7
取消訴訟・訴訟要件・処分性

全365問・科目別に解いて、行政書士に最短合格

行政法・民法・憲法を科目別に攻略。各問に根拠条文・判例とAI解説(3レベル)付き。