ITパスポート 令和3年度 問61:セキュリティに関する問題
クレジットカードの会員データを安全に取り扱うことを目的として策定された,クレジットカード情報の保護に関するセキュリティ基準はどれか。
- aNFC
- bPCI DSS正答
- cPCI Express
- dRFID
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答えは b「PCI DSS」 です。
お店でカードを使うとき、カード番号という超大事な情報が流れます。これが漏れたら大変。そこで「カードの情報は、こんなふうに厳重に守ってね」という世界共通のお約束を作りました。それが PCI DSS です。カード会社みんなで決めた“カード情報を守るためのルールブック”だと思えばOK。
👉 覚え方:PCI=カード(Payment Card)のルール。
ほかの選択肢:a NFC=スマホをかざして払うときの近距離通信/c PCI Express=パソコン内部で部品をつなぐ通り道/d RFID=電波でピッと読み取るタグ(Suicaの仲間)。どれも「守るルール」ではありません。
なぜこれが正解か
正解は b。PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)は、クレジットカード会員データを安全に取り扱うために、国際カードブランド5社が共同で策定したセキュリティ基準。カード情報を保存・処理・送信する事業者が守るべき要件を定める。
各選択肢の解説
- a NFC:近距離無線通信。タッチ決済などに使う通信規格で、セキュリティ基準ではない。
- c PCI Express:PC内部で拡張カードとCPUを高速接続するインタフェース規格。名前が似ているだけで無関係。
- d RFID:電波でICタグを非接触読み取りする技術。在庫管理や交通系ICで使う。
覚え方・ひっかけ注意
c PCI Express が最大のひっかけ。同じ「PCI」でも Express は内部バス、DSS は「Data Security Standard=データ保安基準」。DSS が付いたらセキュリティ基準と即断する。
理論的背景
PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)は、VISA・Mastercard・JCB・American Express・Discover の国際カードブランド5社が設立した PCI SSC(PCI Security Standards Council) が管理する業界主導のセキュリティ基準だ。2004年に統一バージョンが公開されて以来、定期的に改訂されており、最新版は v4.0(2022年公開)。
PCI DSS の構造は「6つの目標」と「12の要件」で構成される:
| 目標 | 主な要件 |
|---|---|
| 安全なネットワークの構築と維持 | ①ファイアウォールの設置 ②デフォルトパスワードの変更 |
| カード会員データの保護 | ③保存データの保護(PAN の暗号化・マスキング)④転送データの暗号化 |
| 脆弱性管理プログラムの維持 | ⑤マルウェア対策 ⑥安全なシステム開発 |
| 強固なアクセス制御策の導入 | ⑦アクセスの業務上の必要性による制限 ⑧個人認証の徹底 ⑨物理的アクセス制限 |
| ネットワークの定期的な監視とテスト | ⑩ログの監視と保存 ⑪定期的な脆弱性スキャン・ペネトレーションテスト |
| 情報セキュリティポリシーの維持 | ⑫情報セキュリティポリシーの策定と維持 |
カード番号(PAN: Primary Account Number)は原則として保存を最小化し、保存する場合はマスキングまたは強固な暗号化(AES-256等)が必須。
実務での使われ方と法的位置づけ
カード情報を扱う加盟店・決済代行業者は取引量に応じて4段階のコンプライアンスレベルに分類され、自己問診票(SAQ: Self-Assessment Questionnaire)または認定セキュリティ評価機関(QSA: Qualified Security Assessor)による外部監査が課される。
日本での法的強化: 2018年施行の割賦販売法改正により、クレジットカード加盟店は「カード情報の非保持化」または「PCI DSS 準拠」が法的義務となった。カード情報を自社に持たない「トークナイゼーション(実際のカード番号を無意味な代替値に置き換える)」や、決済代行業者への完全外部委託により PCI DSS 準拠範囲を大幅に縮小する戦略が実務の主流となっている。
試験での位置づけ
ITパスポートのセキュリティ分野で PCI DSS は頻出語で、「クレジットカード情報保護の基準=PCI DSS」という一問一答型が定番。本問の最大のひっかけは 選択肢 c「PCI Express」 で、同じ「PCI」という頭字語が使われているため混同しやすい。PCI Express は PC 内部の拡張カード接続インタフェース(PCIe)であり、セキュリティと全く無関係。「DSS(Data Security Standard)が付いたらセキュリティ基準」と覚えれば即断できる。基本情報技術者・情報セキュリティ系資格では、PCI DSS の準拠義務対象・コンプライアンスレベル・QSA監査プロセスまで踏み込む。
選択肢の発展補足
選択肢 a「NFC(Near Field Communication)」 は ISO/IEC 18092 で標準化された近距離無線通信技術(通信距離10cm以内)。スマートフォンのタッチ決済(Apple Pay・Google Pay等)に使われるが、これは決済の通信方式であってセキュリティ基準ではない。カード情報のセキュリティはその上位レイヤ(暗号化・トークナイゼーション)で担保され、NFC はデータ伝送の物理層に過ぎない。
選択肢 c「PCI Express(PCIe)」 は CPU・GPU・SSD・NIC などの周辺機器を高速接続するシリアルバスインタフェース。PCIe 4.0・5.0とバージョンアップするたびに帯域が倍増する。PCIe のPCIはもともと「Peripheral Component Interconnect」の略で、PCI DSS(Payment Card Industry)とは由来が全く異なる。両者の混同を防ぐには「DSS はソフトウェア・セキュリティ基準、Express はハードウェア・バス規格」と軸で分けて記憶するとよい。
選択肢 d「RFID(Radio Frequency Identification)」 は電波を使ってICタグを非接触で読み取る自動識別技術。在庫管理・物流・交通系IC(Suica等)・パスポートの IC チップなどに使われる。電磁誘導型と電波型があり、通信距離はタイプによって数cm〜数十m。セキュリティ対策としては「スキミング」リスクがあり、RFID 対応パスポートや IC カードへのシールド手帳が販売されている。NFC は RFID の一種(短距離特化版)という関係にある。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問61/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。