ITパスポート 令和4年度 問25:業務分析・改善に関する問題
a〜dのうち,業務プロセスの改善に当たり,業務プロセスを表記するために用いられる図表だけを全て挙げたものはどれか。 a DFD b アクティビティ図 c パレート図 d レーダチャート
- aa, b正答
- ba, c
- cb, d
- dc, d
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答えは a「a, b」 です。
「業務の流れ(仕事の進み方)」を絵にする道具を選ぶ問題です。
・DFD=データ(情報)がどこからどこへ流れるかを描く図
・アクティビティ図=作業の順番・分岐を描く図
この2つが「流れ」を表す図です。
👉 覚え方:DFDの「F」はFlow(流れ)、アクティビティ=活動(作業)の流れ。
ほかの選択肢:c パレート図=多い順に並べる棒グラフ(分析用)/d レーダチャート=項目をクモの巣みたいに広げて比べる図。cもdも「流れ」じゃなく「数値の比較・分析」の図なので外れます。
なぜこれが正解か
正解は a(a, b)。業務プロセス=処理の流れや手順を表記する図は、DFDとアクティビティ図。
- DFD(データフローダイアグラム):データの流れと処理・データストア・外部実体を表す。
- アクティビティ図:UMLの一つで、作業の順序・分岐・並行をフローチャート的に表す。
各選択肢の解説
- a DFD:○ データと処理の流れを表記。
- b アクティビティ図:○ 業務・処理の流れを表記。
- c パレート図:✕ 項目を件数の多い順に棒グラフ+累積百分率で示す分析図(QC七つ道具)。流れは表さない。
- d レーダチャート:✕ 複数項目のバランスを多角形で比較する図。流れは表さない。
覚え方・ひっかけ注意
「流れ(プロセス)を描く図」=矢印で順序がつながるもの(DFD・アクティビティ図・フローチャート)。「分析・比較の図」=パレート図・レーダチャート・ヒストグラム。矢印で順序を表すか否かで切り分ける。
理論的背景
業務プロセスのモデリングで使われる図表は「業務の流れを表現するもの」と「データを分析・可視化するもの」に大別される。本問ではa〜dの4つの図表を分類して、「業務プロセスを表記する(フローを描く)ために使われるもの」を選ぶ。
DFD(Data Flow Diagram:データフロー図)[選択肢a]:データの流れと変換処理を表すダイアグラム。DeMarcoやYourdanが1970年代に構造化分析の手法として提唱。「プロセス(円)・データストア(□)・外部エンティティ(長方形)・データフロー(矢印)」の4要素で業務における情報の流れを表現する。業務プロセスの「データの移動と変換の流れ」を表記するために使われる図表であり、正解に含まれる。
アクティビティ図(Activity Diagram)[選択肢b]:UMLのダイアグラムで、処理の流れ(制御フロー・条件分岐・並行処理)とスイムレーン(担当役割の区分)を使って業務プロセスを表現する。前問(batch_08のアクティビティ図問題)で詳述。業務プロセスの「処理の流れ・担当者の役割」を表記するために使われ、正解に含まれる。
パレート図(Pareto Chart)[選択肢c]:品質管理の「QC七つ道具」の一つで、問題・原因を件数の多い順に並べた棒グラフと累積百分率の折れ線グラフを組み合わせた図。「20%の原因が80%の結果を生む(パレートの法則)」に基づいて重要問題を特定する分析ツール。業務プロセスの「フローの表記」ではなく「不具合や問題の頻度分析」に使う。正解に含まれない。
レーダーチャート(Radar Chart)[選択肢d]:複数の評価項目を多角形の軸として放射状に配置し、各軸の評価値を結んで多角形を描くことで全体的なバランスを視覚化する図。強み・弱みの分析、競合比較、スキルマップ等に使われる評価・分析ツール。業務プロセスのフロー表記には使われない。正解に含まれない。
実務での使われ方
DFDはシステム分析の初期段階で「業務システムのデータがどこから来てどこへ行くか」を構造的に整理する際に使われる。Webシステムの場合、ユーザー→フォーム入力→DBへのデータフローをDFDで表現してシステム要件を定義する手法は現在も活用される。ただし現代のシステム設計では、UMLのクラス図・シーケンス図・アクティビティ図の方が広く使われており、DFDは構造化分析の文脈では依然重要。
実務のBPM(Business Process Management)ツールではBPMN2.0(Business Process Model and Notation)が標準で、アクティビティ図やDFDより詳細な業務プロセス定義・実行エンジン連携が可能。CamundaなどのオープンソースBPMエンジンはBPMNで定義した業務フローを直接実行できる。
試験での位置づけ
ITパスポートのマネジメント系・業務分析分野で頻出。DFDとアクティビティ図が「業務プロセス表記のための図表」であり、パレート図(品質管理の分析ツール)・レーダーチャート(評価バランスの可視化ツール)とは目的が異なることを理解することが正答の核心。
上位資格では、各図表の詳細な記法(DFDのレベル分解・コンテキスト図・レベル0/1/2図)、UML各ダイアグラムとDFDの使い分け・共存方法、BPMN2.0との比較まで踏み込んだ問題が出る。
選択肢の発展補足
選択肢a(DFD):DFDのレベル分解は「コンテキスト図(最上位・システム全体を1プロセスで表現)→レベル0図(主要プロセスを展開)→レベル1図(さらに詳細展開)」という階層構造を持ち、段階的詳細化(ステップワイズリファインメント)で複雑な業務システムを整理できる。Ganeとサーソンによる「構造化システム分析・設計手法(SSADM)」の基盤手法の一つ。
選択肢b(アクティビティ図):UML 2.0での発展として「オブジェクトフロー(データの流れもアクティビティ図内で表現可能)」「ストリーミングパラメーター」などの機能が追加され、DFDの機能の一部をカバーできるようになった。BPMNへの移行前の過渡期では、アクティビティ図でビジネスプロセスを記述する手法が標準的だった。
選択肢c(パレート図):イタリアの経済学者Vilfredo Pareto(1848〜1923)が発見した「80対20の法則」に由来し、品質管理の統計的プロセス制御(SPC)で標準的に使われる。コールセンターの苦情分析(本問の出典問題のような場面)では、苦情の種類を頻度順に並べてパレート図を作成し、優先的に対処すべき上位2〜3項目に集中する(パレート改善)のが定石。
選択肢d(レーダーチャート):企業の経営分析(財務健全性・技術力・マーケティング力等)、スポーツ選手の能力評価(走力・守備・打力等)、IT製品評価(機能・コスト・サポート等)の多次元評価に有効。全評価項目を同一スケールで並べる必要があり、単位が異なる指標を比較する際の課題もある。業務プロセス(誰が何をするかのフロー)の表記には全く使われない。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度 問25/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。