ITパスポート 令和4年度 問73:ネットワーク・プロトコルに関する問題
膨大な数のIoTデバイスをインターネットに接続するために大量のIPアドレスが必要となり、IPアドレスの長さが128ビットで構成されているインターネットプロトコルを使用することにした。このプロトコルはどれか。
- aIPv4
- bIPv5
- cIPv6正答
- dIPv8
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは c(IPv6) です。
IPアドレスは、ネットにつながる機器ごとの“住所”です。昔から使われているIPv4は住所の数に限りがあり、スマホやIoT機器が爆発的に増えて足りなくなってきました。
そこで住所をうんと長く(128ビット)して、ほぼ無限に作れるようにしたのがIPv6です。
👉 覚え方:「住所が足りない→もっと長い新型=IPv6」。数字の6を覚えればOK。
ほかの選択肢:a IPv4は今までの短い方(数が足りない)/b IPv5・d IPv8は実際には普及している規格として存在しません(ひっかけ)。
なぜこれが正解か
正解は c。IPv6はIPアドレスの長さが128ビットで構成される次世代のインターネットプロトコル。従来のIPv4は32ビットで約43億個しか表せずアドレス枯渇が問題化したため、約340澗(3.4×10の38乗)個という事実上無尽蔵のアドレスを持つIPv6が導入された。膨大なIoT機器の接続に適する。
各選択肢の解説
- a IPv4:32ビット。現在も広く使われるがアドレスが枯渇。
- b IPv5:実用化された一般プロトコルとしては存在しない(番号は別用途に予約)。
- d IPv8:そのような標準規格は存在しない。
覚え方・ひっかけ注意
「IPv4=32ビット、IPv6=128ビット」をセット暗記。ビット数が4倍。b・dのような“それっぽい番号”のダミーに注意。
理論的背景
IPv6(Internet Protocol version 6)はIETF RFC 2460(1998年)で標準化された第6世代のインターネットプロトコルであり、正解cの通り「128ビットのIPアドレス空間」を持つ。これは2の128乗≒3.4×10の38乗個というほぼ無限に近いアドレス数を提供し、IPv4(32ビット・約43億アドレス)の枯渇問題(2011年にIANAの中央プールが枯渇)を根本的に解決する。
IPv6アドレスの表記形式はコロン区切りの16進数8ブロック(例:2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334)で、連続するゼロブロックは「::」に省略できる。アドレス構造は「グローバルルーティングプレフィックス(64ビット)+インターフェイスID(64ビット)」が基本で、インターフェイスIDはMACアドレス(48ビット)から「EUI-64形式」で自動生成するSLAAC(Stateless Address Autoconfiguration)が利用できる。
IoTデバイスの普及(2024年時点で世界のIoTデバイス数は170億台超)によって従来のNAT(Network Address Translation:IPv4アドレスを共有する技術)でも限界に近づいており、各デバイスにグローバルIPv6アドレスを直接付与するIPv6 nativeの展開が急務となっている。選択肢aのIPv4は32ビット・約43億アドレスしかなく、IPv5は実験的プロトコル(Internet Stream Protocol:ST/ST2)で商用展開されることなく廃止された。IPv8という規格は標準化されたIETF規格としては存在しない。
実務での使われ方
IPv6の普及状況として、2024年時点でのグローバルIPv6採用率はGoogle統計によれば約45〜50%に達しており、モバイルネットワーク(日本ではDocomo・SoftBank・au)ではIPv6 Onlyまたはデュアルスタック(IPv4/IPv6並行)が標準となっている。Googleへのアクセスにおいても日本からのIPv6接続比率は70%を超えている。
移行技術として「デュアルスタック(Dual Stack)」「トンネリング(6to4・6in4・Teredo)」「NAT64/DNS64(IPv6 OnlyネットワークからIPv4サーバにアクセスする変換技術)」が使われる。企業ネットワークではHGW(ホームゲートウェイ)・インターネット回線のIPv6 PPPoE(フレッツ光ネクスト)またはIPoE(IPv6 over Ethernet:ゲートウェイ不要の直接接続)への移行が進んでいる。
IPv6のセキュリティ上の注意点として、IPv4のNATがなくなることで各IoTデバイスにグローバルアドレスが直接付与されるため、ファイアウォール・ACL設定の管理が複雑になる点がある。また「IPv6へのトンネルがIPv4のセキュリティ機器をバイパスする」リスクも実務上の重要な課題である。
試験での位置づけ
ITパスポートのネットワーク・プロトコル分野でIPv4とIPv6の違いは頻出テーマであり、本問のポイントは「IPv6のアドレス長が128ビット」という数値の正確な記憶である。IoTの文脈でIPv6の必要性(大量のデバイスに固有のIPアドレスを付与できる)を理解しておくことが、本問のような問題文から自然に正解を選ぶ力につながる。選択肢aのIPv4が32ビット・選択肢bのIPv5・選択肢dのIPv8が存在しない(または標準化されていない)という知識も合わせて持つことで確実な正答が可能となる。
基本情報技術者(FE)ではIPv6の詳細な技術仕様(アドレス種別:ユニキャスト・マルチキャスト・エニーキャスト、ヘッダ構造の変化、ICMPv6の機能、近隣探索プロトコル(NDP)等)・IPv4/IPv6移行技術の比較・ルーティングプロトコル(BGP・OSPF)のIPv6対応(OSPFv3・MP-BGP)が問われる。ネットワークスペシャリスト試験(NW)ではIPv6アドレス設計・SLAAC・DHCPv6の使い分け・セキュリティ考慮点(RA Guard・DHCPv6 Snooping)まで詳細に問われる。
選択肢の発展補足
IPv4アドレス枯渇の経緯について補足すると、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)の中央プールは2011年2月に完全枯渇し、APNICがアジア太平洋地域向けに2011年4月に最後のIPv4ブロックを分配した。JPNIC(日本)への最終ブロック分配も2011年に完了しており、それ以降は既存アドレスの返却・再割り当てや移転(アドレス売買市場)で需要を満たしている状況である。
IPv6の128ビットという巨大なアドレス空間の直感的理解として「地球上の全ての砂粒一つ一つに約10億個のIPアドレスを付与できる量」と表現されることがある。これにより現実世界のすべての物体(靴・ボルト・医療機器・農作物の一粒)にIPアドレスを付与するSmart Worldの実現が技術的に可能となり、デジタルツイン(物理世界とデジタル世界の完全対応)・Industry 4.0・スマートシティの基盤インフラとしてIPv6の戦略的重要性が高まっている。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度 問73/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。