ITパスポート 令和5年度 問87:networkに関する問題
IoTエリアネットワークでも用いられ,電気を供給する電力線に高周波の通信用信号を乗せて伝送させることによって,電力線を伝送路としても使用する技術はどれか。
- aPLC正答
- bPoE
- cエネルギーハーベスティング
- dテザリング
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは a「PLC」 です。
ふつう通信にはLANケーブルやWi-Fiを使いますよね。でもPLCは、家じゅうに通っている「電気のコンセントの線」を、通信の道としても使ってしまう技術です。
電気を流す線に、こっそり通信の信号を“相乗り”させるイメージ。だから新しく配線しなくても、コンセントに挿すだけでネットがつながります。
👉 覚え方:PLC=Power Line(電力線)Communication。「電線で通信」とそのまま。
ほかの選択肢:b PoE=LANケーブルで電気も一緒に送る(PLCと逆向き)/c エネルギーハーベスティング=光や振動から少しの電気を作る技術/d テザリング=スマホをWi-Fiの親機にして他の機器をつなぐこと。
なぜこれが正解か
正解は a「PLC(Power Line Communication)」。電力線に高周波の通信信号を重畳(乗せる)させ、電力線を通信の伝送路としても利用する技術。新たな通信配線が不要で、IoTエリアネットワークやスマートメーターの通信などに使われる。
各選択肢の解説
- b PoE(Power over Ethernet):LANケーブルでデータと電力を同時供給する技術。電力線ではなく通信線を使う点でPLCと逆。
- c エネルギーハーベスティング:光・熱・振動など環境中の微小エネルギーを電力に変換して回収する技術。通信技術ではない。
- d テザリング:スマートフォンをアクセスポイント代わりにして他端末をインターネット接続させる機能。
覚え方・ひっかけ注意
PLC=電力線で「通信」/PoE=通信線で「電力」と、文字をひっくり返して対で覚える。「電力線に信号を乗せる」というキーワードが出たらPLC。
理論的背景
PLC(Power Line Communication: 電力線通信)は、商用電力(50/60Hz交流)が流れる電力線に、それより遥かに高い周波数帯の通信用搬送波を重畳(スーパーインポーズ)して情報伝送を行う技術である。電源周波数と通信信号の周波数帯が大きく離れているため、LPF(ローパスフィルタ)・HPF(ハイパスフィルタ)でそれぞれを分離・抽出できる。低速PLC(スマートメーター向け)はkHz帯を使い数kbps〜数十kbpsの速度で数百mをカバーするNarrow-Band PLCが主流であり、GE(General Electric)提案のITU-T G.9955/G.9956(G3-PLC)やPRIME規格が国際標準として採用されている。高速PLC(家庭内ネットワーク向け)はMHz帯のOFDM変調を使い数十〜500Mbpsを実現するHD-PLC(松下)やHomePlug AV2(Alliance for Home Networking)等の規格がある。技術的課題として、電力線はもともと通信用に設計されていないため、家電機器がノイズ源となり信号品質が不安定になりやすく、インピーダンス変動・漏えい電波による短波帯への干渉問題が指摘されている。このため日本では電波法の規定に基づき使用可能周波数・漏えい電波強度が厳しく規制されている。
実務での使われ方
スマートグリッドにおいてPLCは電力インフラのラストワンマイル通信として不可欠な役割を担う。日本のスマートメーター(電力計)は「Bルート(低速PLC)」経由で供給事業者(電力会社)へ30分単位の使用量データを自動送信し、人手による検針を廃止した。「Aルート(高速PLC)」はサブステーション〜集合住宅幹線間の幹線通信に使われる。工場・ビルのIoTでは電源コンセントがあれば別途LAN工事不要でセンサーを接続できる点が評価され、照明制御や設備モニタリングに活用される。欧州ではEC指令に基づく2020年代のスマートメーター100%普及目標に向け、G3-PLCとPRIMEが各国で採用されており、国際的な電力・IoTインフラの共通通信基盤として確立しつつある。一方、SSD普及や5G/LPWAの成熟により家庭内高速PLCのユースケースは縮小傾向にある。
試験での位置づけ
PLCはIoTエリアネットワーク関連の用語識別問題として、PoE・エネルギーハーベスティング・テザリング・LPWA(LoRaWAN・NB-IoT等)・BLEといった他のIoT通信・電力関連技術と一緒に出題される頻度が高い。本問のように「電力線を伝送路として使う」という定義を一言で理解していれば即答できる問題だが、「PoEと混同する(通信線で電力を送る逆方向)」「エネルギーハーベスティングと混同する(エネルギーを収穫する発電技術)」という誤答パターンが典型的である。近年はスマートメーター・スマートグリッドとの関連でより実用的な文脈での出題が増加している。基本情報技術者ではPLCの標準規格名(G3-PLCやPRIME)よりも、LPWAの種類と特性(LoRaWAN・NB-IoT・SIGFOX等の通信距離・消費電力・速度のトレードオフ)、IoT通信プロトコルの選定基準(MQTT・AMQP・CoAP等)まで踏み込んで問われる。
選択肢の発展補足
選択肢bのPoE(Power over Ethernet)はIEEE 802.3af(15.4W)・802.3at(30W)・802.3bt(90W)で規格化されており、LAN(Ethernet)ケーブルの未使用ペアや信号ペアに直流電力を重畳させて送る技術である。無線APの天井設置(電源コンセントが届かない場所)、IPカメラ・IP電話・スマートロック等への給電に広く使われ、接続とともに自動的に給電される利便性が高く評価される。PLCが「電力線で通信信号を送る」のに対し、PoEは「通信線で電力を送る」という方向の逆転を混同させる引っかけ設計である。選択肢cのエネルギーハーベスティング(環境発電)は、光(太陽電池・室内光)・熱(温度差発電)・振動(圧電素子)・電波(RF給電)等の環境中に存在する微小エネルギーを電力に変換する技術であり、電池不要のバッテリーレスIoTセンサーの電源として注目されている。工場の機械振動からmWレベルの発電が可能であり、メンテナンスフリーな監視システムの実現を可能にする。選択肢dのテザリングはスマートフォンをモバイルルーターとして機能させ、Wi-Fi・USB・Bluetooth経由で他デバイスをインターネット接続させる機能で、MNO/MVNOのデータ契約に依存する点がPLC・PoEと本質的に異なる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度 問87/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。