ITパスポート 令和6年度 問68:technology_elementに関する問題
情報デザインで用いられる概念であり、部屋のドアノブの形で開閉の仕方を示唆するというような、人間の適切な行動を誘発する知覚可能な手掛かりのことを何と呼ぶか。
- aNUI (Natural User Interface)
- bウィザード
- cシグニファイア正答
- dマルチタッチ
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは c「シグニファイア」 です。
ドアノブの形を見ると、何も書いていなくても「ここを回す(押す・引く)んだな」と自然に分かりますよね。このように、見ただけで「こうすればいいんだ」と正しい使い方のヒントを伝えてくれる手掛かりをシグニファイアといいます。
👉 覚え方:シグニファイア=「見ただけで使い方が分かる“合図”」。
ほかの選択肢:a NUI=指でさわる・声で話すなど自然な操作の画面/b ウィザード=設定を一歩ずつ案内してくれる画面/d マルチタッチ=指2本でピンチ操作する技術。どれも“形で行動を誘う手掛かり”ではありません。
なぜこれが正解か
正解は c。シグニファイア(signifier)は情報デザインの概念で、対象の見た目や形状によって「どう操作すべきか」を利用者に知覚させる手掛かりのこと。ドアノブの形が回す/押すを示唆する、ボタンの凹凸が「押せる」を示す、などが典型例。
各選択肢の解説
- a NUI(Natural User Interface):タッチ・音声・ジェスチャーなど自然な動作で操作できるUI。
- b ウィザード:複雑な設定や入力を段階的に対話形式で案内する仕組み。
- d マルチタッチ:複数の指の接触を同時に認識し、ピンチ等の操作を可能にする入力技術。
覚え方・ひっかけ注意
「ドアノブ・形・手掛かり」と来たらシグニファイア。アフォーダンスと混同しやすいが、シグニファイアは“行動を示すサイン”側の語。a・b・dは操作方式や案内機能であり、知覚的な手掛かりそのものではない。
理論的背景
シグニファイア(Signifier)はデザイン理論家のドナルド・ノーマン(Donald Norman)が著書「The Design of Everyday Things」(2013年改訂版)で提唱した概念であり、当初使われた「アフォーダンス(Affordance)」という用語を実用的に再定義したものである。アフォーダンスはジェームズ・ギブソンが提唱した知覚心理学の概念(環境が動物に提供する行為の可能性)をノーマンがデザインに応用したものだが、本来のアフォーダンスは「知覚可能かどうかに関わらず存在する行為の可能性」であるため、ユーザーが実際に気づける「手がかり」を説明するには不十分だった。シグニファイアはそれを補う「知覚可能な行動の手がかり」として明確に定義され、ドアのプッシュプレートとプルハンドルのように形状・素材・色・配置によって操作方法を直感的に伝えるデザイン要素を指す。
実務での使われ方
UIUXデザイン・IA(情報アーキテクチャ)・プロダクトデザインの領域でシグニファイアは日常的に活用される。Webデザインでは下線テキスト・ボタン状の矩形・カーソルのポインタ変化がクリック可能であることを示すシグニファイア。モバイルアプリでは「スワイプで次へ」を示すページインジケーター(ドット)や端のコンテンツのちら見せ(peek)がシグニファイア。物理プロダクトでは電源ボタンの出っ張り・ノブの溝・スイッチの向きがシグニファイア。ISO 9241-110(インタラクティブシステムの人間工学)の「自己記述性(Self-Descriptiveness)」原則はシグニファイアの概念と深く関連する。ゼロUIや音声インターフェース時代にはシグニファイアが不可視になる課題(ディスカバラビリティの低下)があり、オンボーディング設計が重要になっている。
試験での位置づけ
ITパスポートの「テクノロジ系/技術要素(ヒューマンインターフェース)」で出題される発展的用語。シグニファイアは近年のUI/UX重視のシラバス改訂(2022年改訂)で重要度が上昇した新出傾向語であり、従来頻出だったNUI(自然なユーザーインターフェース)・GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)・マルチタッチという選択肢との識別が問われる。正答するためには「ユーザーの適切な行動を誘発する知覚可能な手がかり」という定義の精確な理解が必要。基本情報技術者(FE)ではHCD(Human-Centered Design)プロセス(ISO 9241-210)・ユーザビリティ評価手法(ヒューリスティック評価・ユーザテスト)との関連で出題される。
選択肢の発展補足
選択肢aのNUI(Natural User Interface)は音声・ジェスチャー・視線など人間の自然な動きでコンピュータを操作するインターフェース概念であり、シグニファイアとは「インターフェースの種類」と「手がかりの仕組み」という異なる抽象レベルの概念。選択肢bのウィザード(Wizard)はソフトウェアのセットアップや複雑な処理を複数ステップに分割して誘導するUI設計パターンであり、これ自体がシグニファイアを活用する一形態(「次へ」ボタンや進捗バーがシグニファイアとして機能)ともいえる。選択肢dのマルチタッチはタッチパネルで2点以上の接触を同時検出する技術であり、ピンチ・スワイプ等の操作を実現する入力技術に分類される。「シグニファイア=行動を誘発する手がかり(How)」と「インターフェース技術・パターン(What)」を分けて整理することで混同を避けられる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和6年度 問68/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。