ITパスポート 令和7年度 問86:aiに関する問題
動物が写っている大量の画像から犬や猫などの特徴を自動的に抽出して,動物の種類を識別できるようにするAIの技術はどれか。
- ae-ラーニング
- bアクティブラーニング
- cアダプティブラーニング
- dディープラーニング正答
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは d「ディープラーニング」 です。
たくさんの動物の画像をコンピュータに見せると、「耳の形」「ヒゲ」「顔つき」などの特徴を“自分で”見つけ出して、「これは犬」「これは猫」と見分けられるようになる技術です。
人が「ここが猫の特徴だよ」と一つひとつ教えなくても、大量の例を見て自分でコツをつかむのがすごいところ。
👉 覚え方:画像や音声を“自分で特徴を見つけて”見分ける=ディープラーニング(深い学習)。
ほかの選択肢:a e-ラーニング=パソコンで人が勉強すること/b・c アクティブ/アダプティブラーニング=どちらも“人の学び方”の工夫(参加型・一人ひとりに最適化)。
なぜこれが正解か
正解は d。ディープラーニング(深層学習)は、多層のニューラルネットワークを用い、大量データから識別に有効な特徴を自動的に抽出する機械学習の手法。画像認識(犬・猫の判別)、音声認識、自然言語処理で高い性能を発揮する。
各選択肢の解説
- a e-ラーニング:インターネット等を使った“人間の学習”形態。AI技術ではない。
- b アクティブラーニング:学習者が能動的に参加する“教育手法”。
- c アダプティブラーニング:学習者一人ひとりに合わせて内容を最適化する“教育手法/システム”。
覚え方・ひっかけ注意
語尾が「ラーニング」の選択肢が並ぶひっかけ。a〜cは人の学び方の話、dだけがAI(機械)の学習技術。「特徴を自動的に抽出」というキーワードが出たらディープラーニングと判断する。
理論的背景
ディープラーニング(Deep Learning:深層学習)は多層のニューラルネットワークを使った機械学習手法であり、「大量の画像から動物の特徴を自動的に抽出して種類を識別できるようにする」という本問の説明はディープラーニングの定義と完全に一致する。正解はdのディープラーニングである。
ディープラーニングの技術的特徴を詳述する。特徴表現の自動学習(Representation Learning):従来の機械学習では人間が手動でエッジ・テクスチャ・形状などの特徴量を定義(特徴エンジニアリング)してモデルに入力する必要があったが、ディープラーニングは大量のデータからモデルが自動的に最適な特徴表現を学習する。これが「自動的に抽出」という表現に対応する。画像認識の代表的アーキテクチャ:CNN(Convolutional Neural Network)が画像認識タスクで特に優れた性能を発揮し、2012年のImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge(ILSVRC)でAlexNetが従来手法を大幅に上回る精度を達成した(AlexNetモーメント)。現代では ResNet・EfficientNet・Vision Transformer(ViT)等が最先端の画像認識モデルとして使われる。転移学習(Transfer Learning):ImageNetで事前学習済みのモデルを他のドメイン(医療画像・製造ライン品質検査等)に適用する技術も普及している。
実務での使われ方
ディープラーニングを用いた画像認識は現在、多様な産業分野で実用化が進んでいる。
製造業:外観検査(製品の傷・欠陥を自動検出)・基板実装品質検査(半導体製造)。ディープラーニングベースの外観検査システム(Keyence・OMRON・Cognex等)は従来の画像処理(ルールベース)より圧倒的に高精度で、人手による目視検査を代替している。医療・ヘルスケア:皮膚がんの画像診断(デルマスコピー画像)・眼底画像からの緑内障・糖尿病性網膜症の早期検出。FDA(米国食品医薬品局)で承認された医療AIの件数は2024年時点で700件を超えており、その多くが画像診断系ディープラーニングモデルである。自動運転:Tesla Autopilot・Waymo・Mobileye等の自動運転システムのカメラベースの物体認識(歩行者・車両・標識・信号)にディープラーニングが中核技術として使われている。農業:ドローン撮影画像からの病害虫・雑草の自動識別・収穫適期の判定。
試験での位置づけ
ディープラーニングはITパスポートのAI・機械学習分野で最頻出の用語の一つであり、本問では「大量のデータから特徴を自動的に抽出して識別する」という定義が問われている。誤答選択肢のe-ラーニング・アクティブラーニング・アダプティブラーニングはいずれも「学習(Learning)」を含む教育分野の用語であり、AIの機械学習用語との混同を防ぐ理解が必要である。選択肢の「ラーニング」が教育・人間の学習を指すのか機械学習を指すのかを文脈で識別する力が問われる。
基本情報技術者試験では、ニューラルネットワークの構造(入力層・中間層・出力層・重み・活性化関数)・バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)の概念・CNN(畳み込み層・プーリング層)の構造・過学習と対策(ドロップアウト・バッチ正規化・データ拡張)・TransformerとAttention機構の基礎概念まで出題範囲が拡大している。
選択肢の発展補足
選択肢aのe-ラーニング(Electronic Learning)はインターネット・コンピュータを通じた学習形態であり、LMS(Learning Management System:Moodle・Google Classroom・Coursera等)を使ったオンライン教育のことを指す。AIとは無関係の教育技術である。選択肢bのアクティブラーニング(Active Learning)は教育分野では「学習者が能動的に学ぶ教育手法」(ディスカッション・PBL等)を指す。機械学習の文脈では「ラベルなしデータから最も情報量の高いサンプルを選択してラベル付けを依頼する手法(能動的学習)」も同じ名称で呼ばれるが、本問の文脈では教育用語として判断する。選択肢cのアダプティブラーニング(Adaptive Learning)は学習者の習熟度・理解度に応じて学習内容・難易度・ペースを自動調整するパーソナライズド教育システムを指す。Knewton・DreamBox・Khan Academyなどが採用しており、AIを活用した学習最適化という点でAIと接点があるが、動物の種類を識別するという本問の文脈ではディープラーニングが正解である。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和7年度 問86/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。