令和8年度82テクノロジ系

ITパスポート 令和8年度 問82:aiに関する問題

ニューラルネットワークの学習に用いられるバックプロパゲーションで行われていることはどれか。

  • a各ノードの重みを調整して,誤差を小さくする。正答
  • b各ノードの重みを調整して,最適な活性化関数を選択する。
  • cノードの数を変更して,誤差を小さくする。
  • dノードの数を変更して,処理速度を高める。
正答:A各ノードの重みを調整して,誤差を小さくする。

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初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

答えは a です。

ニューラルネットワーク(脳のしくみをマネしたAI)の学習では、最初は答えをよく間違えます。バックプロパゲーションは、その“間違い具合(誤差)”を後ろから前へ伝えて、つながりの「重み(つよさ)」を少しずつ直していく方法です。

たとえば、ダーツが的から外れたら「もう少し右、もう少し下」と微調整して命中させていくのと同じで、間違いを見て少しずつ正解に近づけます。

👉 覚え方:「バックプロパゲーション=間違いを後ろに伝えて、重みを直す」。

ほかの選択肢:b 活性化関数を選ぶ/c・d ノード(部品)の数を変える——どれも違います。直すのは「重み」で、目的は「誤差を小さくする」ことです。

標準試験対策の基準レベル

なぜこれが正解か

正解は a。バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)は、ニューラルネットワークの出力と正解との「誤差」を、出力層から入力層へ逆向きに伝播させ、各ノード間の「重み」を調整して誤差が小さくなるようにする学習アルゴリズム。学習で更新するのは“重み”であり、ノードの数や構造ではない。

各選択肢の解説

  • b:重みを調整するのは正しいが、目的は「活性化関数の選択」ではなく「誤差を小さくする」こと。活性化関数は設計時に選ぶもの。
  • c:ノードの数を変更するのではない(重みを変える)。
  • d:処理速度向上が目的ではない(誤差最小化が目的)。

覚え方・ひっかけ注意

「バックプロパゲーション=誤差を後ろ向きに伝えて“重み”を更新し、誤差を小さくする」と一文で覚える。ひっかけは「ノードの数を変える(c・d)」と「活性化関数を選ぶ(b)」。学習で動かすのはあくまで重み(とバイアス)であり、層数やノード数・活性化関数はモデル設計(ハイパーパラメータ)として人が決める点を区別する。

上級誤答論破・背景理論まで深掘り

理論的背景

バックプロパゲーション(誤差逆伝播法:Backpropagation)はニューラルネットワークの学習アルゴリズムの核心であり、正解aの「各ノードの重みを調整して誤差を小さくする」が正確な定義。1986年にRumelhart・Hinton・Williamsが発表した論文「Learning representations by back-propagating errors」が現代の深層学習の起点となった画期的なアルゴリズムである。

バックプロパゲーションの数学的原理:順伝播(Forward Pass)で入力から出力層まで予測値を計算→損失関数(MSE・クロスエントロピー等)で誤差を計算→逆伝播(Backward Pass)で連鎖律(Chain Rule)を使って各層の重みに対する損失の勾配(偏微分)を計算→勾配降下法(SGD・Adam・RMSprop等のオプティマイザ)で重みをΔw = -η∇L(η:学習率)の式で更新。この反復により損失関数の最小値(局所最小値・大規模ネットワークでは鞍点近傍)に収束する。

重みとノード数の違い(選択肢との区別):選択肢cとdの「ノード数を変更する」という操作はニューラルネットワークのアーキテクチャ設計(ハイパーパラメータ調整:NAS:Neural Architecture Search等)の話であり、バックプロパゲーションによる学習(パラメータ最適化)とは異なるレイヤーの操作。学習中のバックプロパゲーションはノード数は変えず重みのみを更新する。

実務での使われ方

現代のディープラーニングフレームワーク(PyTorch・TensorFlow・JAX)では自動微分(Autograd)エンジンがバックプロパゲーションを完全自動化しており、モデル実装者が明示的に勾配計算を書く必要はない。GPUによる並列計算でバックプロパゲーションを高速化(行列演算のGPU最適化)することが大規模モデル学習の基盤。

大規模言語モデル(LLM:GPT・Llama・Gemini等)の事前学習は数兆のトークンデータを使ったバックプロパゲーションの大規模反復であり、数千GPU・数週間〜数ヶ月の計算時間・数百〜数千億ドルの計算コストを要する。ファインチューニング(Fine-tuning)・LoRA(Low-Rank Adaptation)もバックプロパゲーションの応用として位置づけられる。勾配爆発(Gradient Explosion)・勾配消失(Vanishing Gradient)問題は深層ネットワークのバックプロパゲーションにおける代表的な学習困難であり、残差接続(Residual Connection)・バッチ正規化(Batch Normalization)・適切な活性化関数選択(ReLU)がこれを解決する手法として開発された。

試験での位置づけ

バックプロパゲーションはITパスポートのテクノロジー系「AI分野」で出題頻度が増加しているトピック。生成AI・LLMの普及を背景に、ニューラルネットワークの学習メカニズムの理解が社会的に重要度を増している。本問の識別ポイントは「重みを調整する(学習パラメータの更新)」vs「ノード数を変更する(アーキテクチャ変更)」vs「活性化関数を選択する(ハイパーパラメータ選択)」の区別。近年のITパスポート試験ではLLM・画像生成AI・強化学習等の応用事例を絡めたAI問題が増加しており、2025〜2026年のシラバス改訂でAI分野の出題比率がさらに増加することが予想される。基本情報技術者試験では損失関数の種類・勾配降下法の変形(Mini-Batch SGD・Adam等)・過学習対策(ドロップアウト・正則化・データ拡張)・転移学習・ファインチューニングの仕組みまで問われることがある。

選択肢の発展補足

選択肢bの「最適な活性化関数を選択する」というプロセスは実際にはハイパーパラメータ探索(Hyperparameter Optimization:HPO)またはNeural Architecture Search(NAS)の領域であり、バックプロパゲーションとは異なる。代表的な活性化関数:シグモイド関数(0〜1の出力・勾配消失問題あり)・ReLU(Rectified Linear Unit:x>0でそのまま出力・x≤0で0・現代の主流)・GELU(Gaussian Error Linear Unit:BERT等のTransformerで使用)・Swish(Google Brain提案・EfficientNetで使用)。選択肢cとdの「ノード数変更」が処理速度改善に使われるという主張について補足すると、実際にはモデル圧縮(Pruning:不要なニューロンの削除・Quantization:精度を下げてメモリ削減)という手法でノード数相当の削減を行うことがある。これはNASやモデル圧縮の技術であり、学習時のバックプロパゲーションとは別のアプローチ。バックプロパゲーション=学習時の重み更新、という関係を明確にしておくことが試験での正確な識別に繋がる。

出典・引用について

出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度82/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

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