危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問67:重油(第三石油類)
重油の性状に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア重油は第三石油類・非水溶性に分類され、引火点が60℃以上で常温(20℃)では引火しない。正答
- イ重油の液比重は1を大幅に超え(約1.5〜2.0)、水に大きく沈む。
- ウ重油の引火点は種別(1種・2種・3種)によらず一律に60℃以上120℃未満である。
- エ重油は粘性が低く、常温でさらさら流れる液体である。
- オ重油の火災には棒状注水が最も有効で、大量の水で直接冷却することが推奨される。
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正しいのはアです。重油は第三石油類・非水溶性で、引火点は60℃以上で常温では引火しないです。
- ア(正): 第三石油類・非水溶性・引火点60℃以上。常温(20℃)では通常引火しない。
- イ(誤): 液比重は0.9〜1.0前後(1程度)。1.5〜2.0は誤り。
- ウ(誤): 種別(1種/2種/3種)によって引火点に幅がある(一律120℃未満ではない)。
- エ(誤): 重油は粘性が高い(さらさらではない)。
- オ(誤): 重油の火災に棒状注水は不適(液面拡大・ボイルオーバー危険)。
「重油=第三石油類・引火点60℃以上・粘性高い・泡等で消火」を押さえます。
重油(第三石油類・非水溶性)の性状:
- ア(正): 重油は第三石油類・非水溶性(液比重0.9〜1.0程度・非水溶性炭化水素混合物)。引火点は最低でも60℃以上で、常温(20℃)では液面から燃焼範囲に達する蒸気が出にくく通常引火しません。ただし加熱(100℃超の熱面・火炎接触等)すると引火点を超えて危険になります。正しい。
- イ(誤): 重油の液比重は0.9〜1.0程度(水より軽い〜ほぼ同等)。1.5〜2.0は誤りです(そのような液比重を持つ一般的な炭化水素油は存在しない)。水より少し軽く、流出すると水面に広がります。
- ウ(誤): 重油の引火点は種別によって幅があります(JIS規格等で区分)。1種(C重油)はより軽質で引火点が低め(60〜90℃程度)、2種・3種は重質で引火点が高め(60〜150℃程度)。「一律60〜120℃未満」という限定は誤りです(種別で幅)。
- エ(誤): 重油は粘性(粘度)が高いのが特徴で、常温でほとんど流れないものもあります(3種重油は特に高粘度)。重質燃料油として暖めて流動化させてから使用します。
- オ(誤): 重油の火災に棒状注水は原則不適(液面を広げ延焼拡大)。また高温の重油に水が触れると急激に水蒸気になり油を飛散させるボイルオーバー・スロップオーバーの危険があります。泡・粉末・CO2が適切。
引っかけパターット: 液比重を大幅に大きくする(イ)、引火点を一律値とする(ウ)、粘性低いとする(エ)、棒状注水有効とする(オ)。
【理論的背景】
重油(Heavy Fuel Oil / C重油等)は原油を蒸留した後の残渣成分を主体とする炭化水素混合物です。ガソリン・軽油より炭素数が多く(C₂₀以上を多く含む)、沸点が高く、粘性が高く、引火点も高い(60℃以上)という特性があります。第三石油類(引火点70〜200℃未満)に分類されますが、多くの重油は引火点が70℃を超えて第三石油類の範囲に入ります。
【重油の詳細性状(設計書確定値)】
- 区分: 第三石油類・非水溶性
- 引火点: 60℃以上(1種は60〜90℃程度・2種/3種は60〜150℃程度。種別で幅あり)
- 発火点: 約250〜400℃(種別・組成で幅)
- 液比重: 0.9〜1.0前後(水より軽い〜同程度。水より大幅に重くはない)
- 蒸気比重: 記載なし(高分子混合物のため概算困難)
- 粘性: 高い(特に3種は常温でほとんど流れない。暖機・加熱で流動化)
- 燃焼範囲: 記載なし(引火点が高いため常温での蒸気量が少ない)
- 水溶性: 非水溶性(炭化水素系)
【種別(グレード)の概要】
重油はJIS規格等で種別が区分されます(試験では詳細は問われないが、「種別によって引火点に幅がある」という事実は知っておく)。
- 1種重油(軽質重油): 粘度・比重が低め・引火点が低め(60〜90℃程度)。ボイラー・発電等に使用。
- 2種・3種重油(重質重油): 粘度・比重が高め・引火点が高め(60〜150℃以上程度)。大型ボイラー・船舶燃料等に使用。
【火災・消火の特有危険(ボイルオーバー)】
重油の火災には特有の危険としてボイルオーバーがあります。
- ボイルオーバーの機序: 大型タンクで重油が長時間燃焼すると、油層の下部に水分(底部水)がたまる。高温の油層(ホットゾーン)が下方に伝わり底部水に接すると、急激に水蒸気化(フラッシュ)し、燃焼中の油を大量に外へ飛散させる現象。
- 結果: 大量の燃焼油が周囲に散乱し、消火困難な大規模火災が発生する。
- 対策: タンクの底部水を事前除去、消火時に水を使わない(棒状注水は特に危険)。
【試験での位置づけ】
重油の性状は性質科目で出題頻度B程度です。核心は、(1)第三石油類・非水溶性、(2)引火点60℃以上(常温では通常引火しない)、(3)種別で引火点に幅(一律値ではない)、(4)液比重0.9〜1.0程度(水より大幅に重くはない)、(5)粘性が高い、(6)消火は泡・粉末・CO2(棒状注水は不適・ボイルオーバー危険)です。引っかけは液比重を大きくする(イ)、引火点を一律値とする(ウ)、粘性低いとする(エ)、棒状注水有効とする(オ)です。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 第三石油類・非水溶性・引火点60℃以上・常温では通常引火しない。確定値と一致。
- イ(誤): 液比重0.9〜1.0程度(水とほぼ同じ・1.5〜2.0は誤り)。
- ウ(誤): 種別によって引火点に幅がある(一律120℃未満は不正確)。
- エ(誤): 粘性が高い(さらさらではない)。
- オ(誤): 棒状注水は不適(液面拡大・ボイルオーバー)。泡・粉末・CO2が適切。
【根拠】確立した教科書値・設計書§1-2。
【補足】重油:第三石油類・非水溶性・引火点60℃以上(種別で幅)・液比重0.9〜1.0前後・粘性高い。消火:泡・粉末・CO2(棒状注水は不適・ボイルオーバー危険)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 重油=第三石油類・非水溶性・引火点60℃以上(種別で幅)・液比重0.9〜1.0前後・粘性高い(§1-2)一致。イ(液比重1.5〜2.0)は明確な誤り。ボイルオーバーは確立事実。正答ア一意。OK -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した教科書値・設計書§1-2。重油は第三石油類・非水溶性。引火点60℃以上(1種:60〜90℃、2種:60〜150℃、3種:60〜150℃以上、教科書値は60〜150℃と幅を持つ)。液比重0.9〜1.0前後(<1が一般・水より軽い〜同程度)。粘性が高い。消火は泡・粉末・CO2が有効(棒状注水は不適)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。