労働衛生(有害業務以外)40食中毒・感染症

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問40:食中毒・感染症

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)における感染症の分類と就業制限に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 感染症法の「2類感染症」には結核・ジフテリア・重症急性呼吸器症候群(SARS)・中東呼吸器症候群(MERS)・鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)などが分類されており、患者等には就業制限の措置がとられることがある。
  • 感染症法の「3類感染症」にはコレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症(O157等)が分類されており、飲食物を扱う業務等への就業制限の措置がとられることがある。
  • 3類感染症の患者に対しては、感染症の種類に関わらず、飲食物を取り扱う業務・保育業務・医療業務を含むすべての業種について就業制限の措置がとられる。正答
  • 感染症法の「5類感染症」は感染症の中で最も危険性が低い分類であり、インフルエンザ・感染性胃腸炎・風疹・麻疹などが含まれ、診断した医師は定期的な届出(週または月単位)が義務付けられている。
  • 感染症法は、感染症を1類〜5類・新型インフルエンザ等感染症・指定感染症等に分類し、危険性の程度に応じた対応措置(入院措置・就業制限・届出等)を定めている。
正答:3類感染症の患者に対しては、感染症の種類に関わらず、飲食物を取り扱う業務・保育業務・医療業務を含むすべての業種について就業制限の措置がとられる。

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誤りはウです。3類感染症の就業制限は「飲食物を扱う業務等、特定の業種」に限定されており、医療業務・保育業務を含むすべての業種に制限がかかるわけではありません。3類感染症は主に経口感染(糞口感染)する疾患(コレラ・腸チフス等)が中心であり、「飲食物を扱う業務に就くことにより感染症を蔓延させるおそれがある業務」に就業制限がかかります。全業種への就業禁止は誤りです。

2類感染症(結核等)では感染力・致死性の観点から入院勧告・就業制限が広範に適用されますが、3類では「特定業務への制限」という点が2類と異なります。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 2類感染症には感染力・致死性・社会的影響が大きい疾患が分類されます。結核(空気感染・肺結核が中心)・ジフテリア・SARS・MERS・鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)等が含まれ、就業制限措置の適用対象となります。
  • イ(正): 3類感染症には経口感染(糞口感染)による消化器系感染症が中心となります。コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症が3類感染症に分類されており、特に飲食物を扱う業務に就業することで感染が拡大するリスクがあるため、就業制限の対象となります。
  • ウ(誤): 3類感染症の就業制限は「飲食物を取り扱う業務等、特定の業務」への制限であり、全業種への就業禁止ではありません。感染症法第18条では、3類感染症患者・保菌者に対し「飲食物を製造し、販売し、調製し、若しくは処理し、又は飲食物を介して感染症を蔓延させるおそれがある業務に従事させてはならない」と規定しており、医療業務・保育業務は3類感染症の就業制限対象業務に含まれません(2類感染症では広範に適用される)。
  • エ(正): 5類感染症にはインフルエンザ・感染性胃腸炎・風疹・麻疹・百日咳・手足口病・水痘等が含まれます。診断した医師は「定期報告(週単位または月単位)」が義務付けられており、直ちに届出が必要な1〜3類とは異なります(ただし麻疹・風疹は全数即日報告が必要な場合あり)。
  • オ(正): 感染症法は感染症を1類〜5類・新型インフルエンザ等感染症・指定感染症・新感染症に分類し、危険性・感染力・社会的影響に応じた対応を規定しています。1類(エボラ出血熱等)が最も危険性が高く、数字が大きくなるほど危険性が低下する体系です。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

日本の感染症法(1999年制定・数次改正)は、戦前の「伝染病予防法」を全面的に改正したものです。患者の人権尊重と感染症対策の両立を基本理念とし、感染症の種類に応じた段階的な対応体系を構築しています。

感染症の分類体系(主要なもの):

  • 1類感染症: エボラ出血熱・クリミア・コンゴ出血熱・痘瘡・ペスト・ラッサ熱・マールブルグ病・南米出血熱。最も危険性・感染力が高く、直ちに保健所への届出・入院勧告・就業制限等の強力な対応が求められる。
  • 2類感染症: 結核・ジフテリア・SARS・MERS・H5N1鳥インフルエンザ・H7N9鳥インフルエンザ・急性灰白髄炎(ポリオ)。感染力・致死性が高く、就業制限・入院勧告の対象。
  • 3類感染症: コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症。経口感染が主で飲食業への就業制限が中心。
  • 4類感染症: E型肝炎・狂犬病・ウエストナイル熱・つつが虫病・日本脳炎・野兎病・ボツリヌス症等。動物・節足動物を介して人に感染する疾患が多く、動物への対策も含む。
  • 5類感染症: インフルエンザ・感染性胃腸炎・風疹・麻疹・水痘・手足口病・百日咳・流行性耳下腺炎等。比較的危険性が低い疾患で、医師の定期的な届出と発生動向調査が行われる。

【実務・条文構造】

就業制限の種類と根拠法令:

1. 3類感染症の就業制限 (感染症法第18条):

「飲食物を製造し、販売し、調製し、若しくは処理し、又は飲食物を介して感染症を蔓延させるおそれがある業務」への就業制限

- 対象業務: 食品製造・調理・販売・給食センター等の飲食物取扱い業務

- 非対象業務: 医療・保育・一般事務・製造業(食品以外)等

- 制限期間: 医師の意見に基づき、感染性が消失するまで

2. 2類感染症の就業制限 (感染症法第18条・結核については特則あり):

結核患者の場合、感染力のある時期には病院・学校・保育所・飲食店等、不特定多数が集まる施設での就業が制限される(より広範な対象業務に及ぶ)

3. 1類感染症の就業制限:

事実上すべての就業が制限され、入院・隔離措置が優先される

医師の届出義務の比較:

| 分類 | 届出時期 | 届出先 |

|---|---|---|

| 1〜4類感染症 | 直ちに | 最寄りの保健所 |

| 5類感染症(全数把握疾患: 麻疹・風疹等) | 直ちに(一部) | 最寄りの保健所 |

| 5類感染症(定点把握疾患: インフルエンザ等) | 週単位または月単位 | 指定定点医療機関を通じて |

【試験での位置づけ】

感染症法関連の問題では「3類感染症の具体的な疾患名(コレラ・赤痢・腸チフス・O157)」「3類の就業制限が飲食業務に限定される(全業種ではない)」「1〜4類の届出は直ちに、5類の定点把握は週/月単位」「2類と3類の就業制限範囲の違い」が出題されます。ウのように「すべての業種に就業制限」とする選択肢は、2類の広範な制限と3類の限定的な制限を混同させる典型的な引っかけです。「3類=飲食業のみ・2類=より広範」という対比を意識して記憶することが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 2類感染症に結核が含まれることは重要です。日本では結核は減少傾向にありますが、外国出生者・高齢者・免疫抑制者での発生が続いており、職場での集団感染(院内感染・学校感染等)のリスクは現在も存在します。空気感染(飛沫核感染)であることが結核の特徴であり、感染力の強さが2類分類の根拠です。
  • イ: コレラは日本では輸入感染症として年間数件〜数十件の報告があります。海外(南アジア・アフリカ等)への渡航者が帰国後に発症するパターンが多く、国内では上下水道の整備により自然発生はほぼありません。腸チフス・パラチフスも輸入例が主体です。
  • ウ: 3類感染症の就業制限が飲食業務に限定される理由は、これらの疾患が主に「糞口感染」(便→手→食品→口)という経路で感染するためです。飲食業務従事者が感染源になることで大規模な食中毒・集団感染が発生するリスクが高いため、この業務への就業が特に制限されます。
  • エ: 5類感染症の中でも麻疹(はしか)・風疹・侵襲性髄膜炎菌感染症等は「全数把握疾患」として診断した医師が直ちに(または7日以内に)届出義務を負います。一方、インフルエンザ・感染性胃腸炎・手足口病等は「定点把握疾患」として指定定点医療機関のみが週単位で報告します。
  • オ: 2020〜2023年のCOVID-19は当初「指定感染症」「新型インフルエンザ等感染症」として対応され、2023年5月以降「5類感染症」に移行しました。このように感染症法は感染症の流行状況に応じて分類を柔軟に変更できる仕組みを持っています。

【根拠】感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)第6条(感染症の定義・分類)・第18条(就業制限)・第19条(入院)等。

【補足】3類感染症の就業制限=飲食業務に限定(全業種ではない)。3類: コレラ・赤痢・腸チフス・パラチフス・O157。2類: 結核・SARS・MERS等。1〜4類の届出は直ちに。5類定点把握は週/月単位。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)第6条・第18条・第19条等。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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