労働衛生(有害業務以外)76清潔設備・休養設備

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問76:清潔設備・休養設備

事務所衛生基準規則(事務所則)または労働安全衛生規則(安衛則)に定める便所・洗面設備に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 男性用大便所の設置基準は、同時に就業する男性労働者50人以内ごとに1個以上とされている。
  • 安衛則では、事業場に設置する便所として、男女別に「独立した個室の便所」を設けることが義務付けられており、男女共用の便所は一切認められていない。
  • 安衛則では、坑内等の特殊な作業場所を除き、事業場に設ける便所は原則として男性用・女性用を別々に設けることとされているが、同時に就業する労働者が常時10人以内の場合は独立した男女別の便所でなくてもよいとする規定がある。正答
  • 男性専用大便所は、常時就業する男性労働者の人数にかかわらず、事業場1施設ごとに少なくとも2個以上設置することが義務付けられている。
  • 洗面設備(洗面台・手洗い場)の設置は、事業場の清潔保持のための努力義務であり、設置義務はない。
正答:安衛則では、坑内等の特殊な作業場所を除き、事業場に設ける便所は原則として男性用・女性用を別々に設けることとされているが、同時に就業する労働者が常時10人以内の場合は独立した男女別の便所でなくてもよいとする規定がある。

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正しいのはウです。安衛則第628条は便所を原則として男女別に設けることを義務付けていますが、令和3年改正で新設された第628条の2により、常時就業する労働者が10人以内の場合は、男女別便所に代えて「独立個室型の便所(単独で施錠でき内部からプライバシーが確保される便所)」1個を設ければ足りるとされています。したがって「独立した男女別便所でなくてもよい」とするウは正しい記述です。

ア→男性用大便所の設置基準は「男性60人以内ごとに1個以上」(50人は誤り)。イ→10人以内の特例があるため「一切認められない」は誤り。エ→「2個以上設置義務」は誤り(人数に応じた設置基準)。オ→洗面設備の設置義務は安衛則等に規定がある。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠(安衛則第628条等):

  • ア(誤): 男性用大便所の設置基準は「同時に就業する男性労働者60人以内ごとに1個以上」が安衛則の基準です(「50人以内ごとに1個」は誤った数値)。
  • イ(誤): 安衛則第628条の2に常時就業する労働者が10人以内の場合の特例(独立個室型の便所で足りる)があります。このため「独立個室の便所が義務で男女共用は一切認められない」という断定は誤りです。
  • ウ(正): 安衛則第628条の原則(男女別に設ける)に対し、第628条の2により「常時就業する労働者が10人以内の場合」は独立個室型の便所を設ければ独立した男女別の便所でなくてもよいとする特例が存在します。これは小規模事業場・テナント入居等への現実的な対応として令和3年改正で設けられた規定です。
  • エ(誤): 男性用大便所の設置数は「男性労働者の人数に応じた基準(60人以内ごとに1個等)」による計算で決まり、人数にかかわらず「2個以上義務」という絶対的な最低設置数の規定はありません。小規模事業場(10人未満等)では1個で基準を満たす場合があります。
  • オ(誤): 洗面設備(洗面所・手洗い設備)の設置は安衛則・事務所則に基づく義務規定があります。「努力義務のみ」は誤りです。食品取扱い施設等では特に手洗い設備の設置義務が明確に規定されています。
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【理論的背景】

職場の便所・洗面設備は、労働者の基本的な生活衛生を保障し、感染症予防・職場環境の清潔保持のために必須の設備です。労働安全衛生規則(安衛則)では、便所の設置基準・数・構造(汚水溜め・浄化槽等)について詳細な規定が設けられており、また洗面設備の義務設置も規定されています。

日本の職場衛生における便所設備の変遷:

戦後の高度経済成長期に急増した工場・事業場での集団労働者の衛生管理として、便所・給水・廃水処理の基準が整備されました。現在は下水道の普及・水洗トイレの普及によって設備の質が大幅に向上していますが、法令上の設置数・構造基準は今でも重要な確認事項です。

【実務・条文構造】

安衛則第628条(便所)の主要規定:

| 規定事項 | 基準・内容 |

|---|---|

| 男女別設置の原則 | 男性用と女性用を別々に設ける |

| 特例(10人以内・第628条の2) | 常時就業する労働者が10人以内の場合は、独立個室型の便所を設ければ男女別便所でなくてもよい |

| 男性用大便所(便房) | 同時就業する男性60人以内ごとに1個以上 |

| 男性用小便所(小便器) | 同時就業する男性30人以内ごとに1個以上 |

| 女性用便所(便房) | 同時就業する女性20人以内ごとに1個以上 |

| 独立個室型を設けた場合の算定 | 独立個室型の便所1個につき男女それぞれ10人ずつ減じて上記人数を算定できる |

事務所則等の便所・洗面設備に関する追加規定:

  • 便所の清掃・消毒: 定期的な清掃と消毒の実施
  • 洗面所(手洗い設備): 安衛則および事務所則による設置義務
  • 食品取扱い作業場の手洗い設備: 食品衛生法・安衛則による特別規定

洗面設備(手洗い設備)の意義(感染症予防の観点):

  • 手洗いは食中毒予防の三原則(つけない・増やさない・やっつける)の「つけない」の核心
  • 食堂・炊事場に隣接した手洗い設備の設置(事務所則第25条等)
  • 手術室・医療施設では特別な手洗い設備(肘操作式水栓・センサー式等)が必要

【試験での位置づけ】

便所設置基準の問題では「男性用大便所は60人以内ごとに1個(50人は誤り)」「女性用便所は20人以内ごとに1個」「男性用小便所は30人以内ごとに1個」「10人以内の小規模事業場では独立個室型の便所で足りる緩和規定(第628条の2・令和3年改正)がある(ウの正答)」が頻出事項です。アのような「50人・60人の混同」とエのような「絶対的最低設置数の誤り」が典型的な引っかけパターンです。数字の正確な記憶(60・30・20という数値)が求められます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 「60人以内ごとに1個」という男性用大便所の基準において、「大便所(便房)」と「小便所(小便器)」の区別が重要です。大便所は60人以内ごとに1個、小便所は30人以内ごとに1個と異なる基準が設けられています。
  • ウ: 第628条の2の特例規定は、オフィスの一角にある小さな事業場・テナント入居の会社等で男女完全独立の便所が設置困難な場合への現実的対応です。代わりに設ける「独立個室型の便所」は、便房と便器を1つの空間に設け内部から施錠できる(プライバシーが確保される)構造であることが要件です。
  • エ: 設置便房数の計算例として、「男性50名・女性30名の事務室」では、男性大便所=50÷60(端数切り上げ)=1個以上、男性小便所=50÷30(端数切り上げ)=2個以上、女性便所=30÷20(端数切り上げ)=2個以上、という計算になります(安衛則第628条)。なお独立個室型の便所を設けた場合は1個につき男女各10人を減じて算定できます(第628条の2)。
  • オ: 食品取扱い作業(給食調理・食品製造)における手洗い設備の義務化は食品衛生法・HACCPの観点からも強化されており、現代の職場における手洗い設備の重要性は以前にも増して高まっています。特にコロナ禍以降は全職種で手洗い設備の整備・アルコール手指消毒液の配備が進んでいます。

【根拠法令】労働安全衛生規則(安衛則)第628条(便所)。

【補足】便所の設置基準: 男性大便所=60人以内ごとに1個以上・女性便所=20人以内ごとに1個以上・男性小便所=30人以内ごとに1個以上。常時10人以内なら男女別設置緩和あり。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生規則(安衛則)第628条(便所)・第628条の2(令和3年12月1日施行の改正で新設)。常時就業する労働者が10人以内の場合は、男女別の便所に代えて、それ単独でプライバシーが確保される「独立個室型の便所」を設けることで足りる特例が規定されている。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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