労働衛生(有害業務)25第一種局所排気装置・保護具

衛生管理者 労働衛生(有害業務) 問25:局所排気装置・保護具

局所排気装置のフードの種類と特性に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 囲い式フードは発生源を完全または部分的に囲う構造であり、外付け式フードに比べて大きな排風量と高い制御風速を必要とするが、捕捉効率は外付け式より常に高い。
  • 外付け式フードは発生源から離れた位置に設置するタイプであり、囲い式フードに比べて少ない排風量・低い制御風速で有害物質を捕捉できるため、省エネの観点から優れた設計とされる。
  • レシーバー式フードは、発生源から一定の方向に気流(熱気流・上昇気流等)が生じる場合に、その気流の方向の先に設置してその流れを受けるフードであり、スプレー塗装や溶接等で使用される。
  • 囲い式フードのうち完全に発生源を囲うグローブボックス型は、外付け式フードよりも少ない排風量で、かつより高い捕捉効率が得られるため、毒性の高い物質・放射性物質等の取り扱いに適している。正答
  • プッシュプル型換気装置は、一方向から空気を吹き出し(プッシュ)、他方向から空気を吸い込む(プル)ことで、大きな面積の発生源(めっき槽・脱脂槽等)からの有害物質を効率的に管理できる装置であり、局所排気装置とは全く別のカテゴリーに属する。
正答:囲い式フードのうち完全に発生源を囲うグローブボックス型は、外付け式フードよりも少ない排風量で、かつより高い捕捉効率が得られるため、毒性の高い物質・放射性物質等の取り扱いに適している。

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正しいのはエです。グローブボックス型(完全囲い式)は発生源を完全に密閉するため、外付け式より少ない排風量で・かつ高い捕捉効率が得られます。この特性から、毒性が極めて高い物質や放射性物質の取り扱いに最も適したフード形式として使用されます。

各誤りの要点: ア→囲い式は外付け式より少ない排風量・制御風速で高い捕捉効率(「大きな排風量・高い制御風速が必要」は逆)。イ→「外付け式が少ない排風量で済む」は逆(外付けの方が多い排風量・高い制御風速が必要)。ウ→レシーバー式はスプレー塗装や溶接ではなく、熱気流・研削砥石からの飛散等が主な適用(スプレー塗装は囲い式・外付け式が多い)。オ→プッシュプル型は「局所排気装置とは別」ではなく、局所排気装置の一形態として安衛法上も位置付けられている。

標準試験対策の基準レベル

フードの種類と特性の比較:

| フード種類 | 発生源との関係 | 必要排風量 | 必要制御風速 | 捕捉効率 | 主な適用例 |

|---|---|---|---|---|---|

| 囲い式(グローブボックス等) | 完全囲い | 最も少ない | 低い | 最も高い | 高毒性物質・放射性物質 |

| 囲い式(ブース型等) | 部分的囲い | 少ない | 低い | 高い | 塗装ブース・溶接ブース |

| 外付け式(スロット型等) | 離れた位置 | 多い | 高い | 中程度 | 一般的な化学薬品取扱い |

| レシーバー式 | 気流の受け取り | 中程度 | 中程度 | 高い(方向性があれば) | 研削・高温物体からの熱気流 |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 囲い式が「大きな排風量・高い制御風速を必要とする」は逆。囲い式は少ない排風量・低い制御風速でも外付け式より高い捕捉効率が得られる点が最大の利点。
  • イ(誤): 「外付け式が少ない排風量で省エネ」は逆。外付け式は発生源から離れた位置での吸引のため、同等の捕捉効率を得るためには囲い式よりも大きな排風量・高い制御風速が必要。
  • ウ(誤): レシーバー式フードは熱気流・研削砥石からの粒子飛散等、「一定方向に気流が発生する」発生源に適用。スプレー塗装は気流が多方向に飛散するため囲い式(塗装ブース)が適切。溶接も囲い式・外付け式が一般的。
  • エ(正): グローブボックスは完全密閉型の囲い式フードの代表例。内部が外気から遮断されており、操作はゴム手袋(グローブ)を通して行う。毒性が極めて高い物質(実験室での有毒薬品・放射性物質)の取り扱いに最適。
  • オ(誤): プッシュプル型換気装置は安衛法・特化則・有機則において「局所排気装置の代替として認められる換気装置」として規定されており、「全く別のカテゴリー」ではありません(局所的換気手段の一形態として同等の法的地位を持つ)。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

フードの設計は局所排気装置のシステム全体の性能を決定する最も重要な要素です。「フードの設計が悪ければ、どれほど強力な排風機・清浄装置を配置しても有害物質を捕捉できない」という原則は工業衛生工学の基本です。フードの種類の選択(囲い式・外付け式・レシーバー式)は「発生源の特性(発散の方向・速度・範囲)」「作業の必要性(広い作業スペースが必要か)」「有害物質の毒性レベル」を総合的に考慮して行います。

囲い式フードの捕捉効率が高い理由(工学的解釈):

  • 発生源を囲むことで「有害物質が拡散する前に閉じ込める」→フードへの開口部からのみ空気が流入
  • 外乱気流(横風・人の動き等)の影響を最小化
  • 必要な「制御風速」は発生源からフードへの流入速度であり、囲いの中では0.4〜1.0m/s程度で十分
  • 対して外付け式は「フード面から離れた発生源位置での速度」が制御風速になるため、距離の2乗に反比例して速度が低下→大きな吸引力(排風量)が必要

外付け式フードの吸引速度の距離依存性:

  • スロット型(長方形開口)外付け式: 開口から距離xでの速度 V(x) ∝ 1/(x² + A)^(1/2)
  • 距離が2倍になると速度は約1/4程度まで低下(急激な減衰)
  • このため発生源がフードから離れるほど、同等の制御風速を維持するために必要な排風量が指数関数的に増大

【実務・条文構造】

フード制御風速の法令規定(特化則・有機則等):

有機則別表第1(有機溶剤業務)のフード制御風速規定:

  • 囲い式フード: 0.4m/s
  • 外付け式(側方・下方吸引): 0.5m/s
  • 外付け式(上方吸引): 1.0m/s(上方吸引は有害蒸気が上昇気流に乗るため高い速度が必要)

特化則のフード制御風速(物質ごとに異なる・有機則より規制が厳しい場合も)

グローブボックスの設計と管理:

  • 完全密閉構造: ガラス板・ステンレス筐体・ゴム手袋ポート
  • 内部圧力: 通常は外部より陰圧(外気が侵入しない設計)
  • 空気清浄装置: HEPAフィルター・活性炭フィルター等を装備(排気の清浄化)
  • 使用例: 放射性物質研究・超高毒性薬品(クラスBSL-2〜BSL-4相当の物質)・無水環境実験等

プッシュプル型換気装置の法令上の位置付け:

  • 安衛法第65条・特化則第13条等に規定
  • 局所排気装置の代替として認められる換気装置(同等の法的地位)
  • 大型めっき槽・脱脂槽・洗浄槽等、幅が広くて囲い式フードを設置できない発生源に適用
  • 設計: 吹き出し側(プッシュ)で均一な層流を形成し、吸込み側(プル)に向けて有害物質を流す

【試験での位置づけ】

フード種類問題の最頻出は「囲い式は外付け式より少ない排風量・低い制御風速で高い捕捉効率(逆ではない)」「グローブボックス(完全囲い式)の毒性物質・放射性物質への適用」「プッシュプル型は局所排気装置の一形態(別カテゴリーではない)」「外付け式フードは距離が増すと捕捉能が急激に低下」の4点です。アとイのような「囲い式と外付け式の必要排風量・制御風速の逆転」は最頻出の引っかけパターンです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 囲い式フードに「排風量が少なくて済む」という利点があるにもかかわらず、実際には囲い式フードを設置するためのスペース・構造上の制約から外付け式が選択される場面も多くあります。「可能な限り囲い式を選ぶ」という設計の優先順位と「現実の制約」のバランスが実務的課題です。
  • イ: 外付け式フードの「上方吸引型(キャノピーフード)」は、高温物体・溶接等の熱上昇気流がある場合に有効です(熱気流がフードに向かう)。しかし通常の蒸気・ガス発生源に上方吸引型を使うと、労働者が発生源とフードの間に位置することになり(労働者が有害物質の通り道に立つ)、曝露が増大するリスクがあります。このため上方吸引は熱気流がある場合に限定することが推奨されます。
  • ウ: レシーバー式フードの適用例: ①研削盤・切断機での切削片・粉じんの飛散(砥石の回転方向に沿って飛散する粒子を受ける)・②高温鋳造物からの熱気流(上昇気流を受けるキャノピー型)・③アーク炉等の強制気流がある場合。スプレー塗装は発散方向が不定・広範囲のためブース型(囲い式)が標準です。
  • エ: グローブボックスの実例として最も典型的なのは、核燃料・放射性物質・Pu等を取り扱う核施設での使用です。日本では原子力施設・大学の放射性物質実験室・一部の製薬会社(高活性医薬品)等での使用があります。内部雰囲気は不活性ガス(窒素・アルゴン等)で満たして使用する場合もあります(空気中の水分・酸素に反応する物質の取り扱い)。
  • オ: プッシュプル型の大きな槽(めっき槽・脱脂槽)への適用理由: 幅1〜2mを超えるような大型槽では、囲い式フード(槽を完全に覆う蓋)は作業性を著しく損ない、外付け式フードでは槽の中央部まで十分な制御風速を及ぼすことができません。プッシュプル型は吹き出し流れが槽表面の蒸気を「横に押し流す」ことで均一な制御が可能です。

【根拠】工業衛生工学(確立した局所排気装置設計知識)・特化則・有機則のフード制御風速規定。囲い式フードの排風量・捕捉効率優位性・グローブボックスの適用・プッシュプル型の法令上の位置付けは確立した知識。

【補足】エ(正): グローブボックス(完全囲い式)は少ない排風量で高い捕捉効率→毒性物質・放射性物質に最適。囲い式は外付け式より少ない排風量・低い制御風速で高い捕捉効率(ア・イは逆)。プッシュプル型は局所排気装置の一形態(別カテゴリーではない)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 工業衛生工学(確立した局所排気装置設計の知識)。囲い式フードの排風量・捕捉効率特性・グローブボックスの適用は工業衛生工学の確立した知識。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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