関係法令(有害業務)9第一種石綿障害予防規則(石綿則)

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問9:石綿障害予防規則(石綿則)

石綿障害予防規則(石綿則)に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 事業者は、石綿等を取り扱い、または石綿等が使用されている建材を解体・除去する作業を行う場合、石綿作業主任者技能講習を修了した者のうちから石綿作業主任者を選任しなければならない。
  • 石綿等を製造または取り扱う作業場において特殊健康診断を実施した結果の記録(石綿健康診断個人票)は、当該業務に常時従事しないこととなった日から40年間保存しなければならない。
  • 石綿等を製造または取り扱う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、作業環境測定を実施し、その記録も40年間保存しなければならない。
  • 事業者は、石綿等を取り扱う業務に常時従事する労働者について、1か月を超えない期間ごとに従事した作業の概要等を記録し、当該労働者が当該業務に従事しないこととなった日から40年間保存しなければならない。
  • 石綿等の製造・使用は現在法令で全面的に禁止されており、使用されている建材の解体作業のみが現実的な曝露源となっている。そのため、石綿則の規制対象は建材の解体・除去作業のみに限られる。正答
正答:石綿等の製造・使用は現在法令で全面的に禁止されており、使用されている建材の解体作業のみが現実的な曝露源となっている。そのため、石綿則の規制対象は建材の解体・除去作業のみに限られる。

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誤りはオです。石綿則の規制対象は建材の解体・除去作業だけではありません。石綿等を含む製品の製造・取扱い作業(石綿含有製品の補修・封じ込め・囲い込み作業等)も対象に含まれます。「建材の解体作業のみに限られる」という記述が誤りです。

石綿等の製造・使用は基本的に全面禁止(安衛法第55条)されていますが、既存建材・設備に石綿が含まれているため、解体・除去・補修等の作業では今なお曝露リスクが存在します。石綿則はこれらすべての石綿関連作業(製造・取扱い・解体・除去・補修等)を規制対象としています。

標準試験対策の基準レベル

石綿則の主要規制の整理:

| 規制事項 | 内容 |

|---|---|

| 作業主任者の選任 | 石綿作業主任者技能講習修了者から選任(第19条) |

| 特殊健康診断 | 6か月以内ごとに1回・記録(個人票)40年保存 |

| 作業環境測定 | 6か月以内ごとに1回・記録40年保存 |

| 規制対象作業 | 製造・取扱い・解体・除去・補修等の石綿関連作業すべて |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 石綿等を取り扱う作業・建材の解体除去作業には石綿作業主任者の選任が義務付けられています(石綿則第19条・安衛令第6条)。
  • イ(正): 石綿等を取り扱う作業場の特殊健診記録(石綿健康診断個人票)の保存期間は、当該業務に常時従事しないこととなった日から40年間です(石綿則第41条)。これは石綿曝露から中皮腫・肺がんの発症まで20〜50年かかる場合があるためであり、特化則の特別管理物質(30年保存)よりさらに長い保存期間が定められています。
  • ウ(正): 石綿を取り扱う屋内作業場の作業環境測定は6か月以内ごとに1回実施し、記録は40年保存(石綿則第36条)が必要です。
  • エ(正): 石綿等を取り扱う業務に常時従事する労働者については、1か月を超えない期間ごとに作業の概要等を記録し、当該業務に従事しないこととなった日から40年間保存する義務があります(石綿則第35条)。
  • オ(誤): 石綿則の規制対象は「建材の解体作業のみ」ではありません。石綿等を含む製品の補修・封じ込め・囲い込み、石綿含有設備の保全作業等も含まれます。また「石綿等の製造・取扱い」自体も(禁止物質以外の特定用途を除き)対象となり得ます。
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【理論的背景】

石綿(アスベスト)は耐火性・耐熱性・絶縁性に優れた天然繊維状鉱物として、1970〜1980年代に建材(ボード・断熱材・配管の保温材等)として大量使用されました。石綿の危険性(石綿肺・中皮腫・肺がん・良性胸膜疾患)が確認されるにつれて規制が強化され、日本では2006年に石綿・石綿含有製品の製造・輸入・使用が原則全面禁止されました(安衛法第55条)。しかし既存建築物・設備には依然として石綿含有建材が残存しており、老朽化建物の解体工事・改修工事等での曝露リスクは現在も続いています。中皮腫の潜伏期間は15〜50年に及ぶことがあり、2006年以前に曝露した労働者の発症が今後も続くと予測されています。

石綿の特別な危険性:

  • 繊維状の細い形状(アスペクト比が高い)が肺組織に刺さり、長期間残留して慢性炎症を引き起こす
  • 発がん性の確認(IARC グループ1:ヒトに対して発がん性がある)
  • 良性胸膜疾患(胸膜プラーク等)の高い罹患率
  • 中皮腫:非常に悪性で予後不良、曝露後30年以上後に発症することも多い

【実務・条文構造】

石綿則の主要規制体系:

作業の届出(石綿則第5条):

  • 石綿等が使用されている建築物・工作物を解体・改修等する場合、工事開始の14日前までに労働基準監督署長に届出が必要(一定規模以上の工事)

作業計画の作成(石綿則第4条):

  • 石綿等の除去・封じ込め・囲い込みを行う前に作業計画を作成し、関係労働者に周知する

作業主任者の選任(石綿則第19条・安衛令第6条):

  • 石綿作業主任者技能講習修了者から選任
  • 選任が必要な作業: 石綿等の取扱い・試験研究のための製造・解体等・封じ込め・囲い込み

特殊健康診断(石綿則第40条・第41条):

  • 対象: 石綿等を取り扱い、または取り扱ったことのある労働者
  • 頻度: 雇入れ時・配置替え時・6か月以内ごとに1回
  • 記録保存: 石綿健康診断個人票を当該業務に常時従事しないこととなった日から40年間(石綿則第41条)

作業環境測定(石綿則第36条):

  • 対象: 石綿等を取り扱う屋内作業場
  • 頻度: 6か月以内ごとに1回
  • 記録保存: 40年間

健康管理手帳(安衛法第67条・安衛則別表第4):

  • 対象: 石綿等の粉じんにさらされる業務に一定期間(じん肺管理区分等の要件)従事した者
  • 申請: 離職の際または離職後に本人が都道府県労働局長へ申請
  • 効果: 無料の定期健康診断(胸部エックス線等)を受けられる

【試験での位置づけ】

石綿則問題の頻出は「作業主任者の選任義務(技能講習修了者)」「特殊健診・作業環境測定は6か月ごとに1回・記録は40年保存(通常の5年・3年、さらに特化則特別管理物質の30年とも異なる)」「石綿則の規制対象は解体のみでなく製造・取扱い・補修等を含む」の3点です。オのような「規制対象を解体作業のみとする」誤りは石綿則の適用範囲を狭く解釈させる典型的な引っかけです。また40年という保存期間の長さ(他の有害業務の記録が原則3年・5年、電離放射線・特化則特別管理物質が30年なのと比べて石綿だけが特別に長い)は数値確認問題で必ず出題されます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 石綿作業主任者技能講習の内容には、石綿の種類・健康影響・作業環境測定の方法・保護具(防じんマスクの種類と正しい使用)・作業方法・緊急時対応等が含まれます。作業主任者は選任された後、作業の直接指揮・保護具の使用状況監視・設備点検等の職務を果たします。
  • イ: 石綿の特殊健康診断では、胸部エックス線撮影(直接撮影)・肺機能検査(スパイロメトリー)・喀痰検査等が実施されます。石綿肺・中皮腫・肺がんの早期発見が目的ですが、これらの疾患は潜伏期間が長く早期発見が困難なため、個人票を40年にわたって保存し継続的な追跡を可能にすることが求められます。
  • ウ: 作業環境測定の対象となる「石綿等を取り扱う屋内作業場」の範囲は、石綿含有建材の解体工事の作業場も含まれます。測定は繊維数計数装置(位相差顕微鏡法等)によって実施されます。
  • エ: 健康管理手帳の対象となる石綿業務の要件は「じん肺管理区分が管理2以上と決定された者」または「石綿等の製造・取扱い業務に一定期間以上従事した者」です。離職後に申請できることで、発がんリスクのある元労働者が国費で継続的に健康診断を受けられる制度として機能しています。
  • オ: 石綿含有建材の解体工事規制は近年強化されており(2020年の大気汚染防止法改正・2022年の石綿則改正による届出義務強化)、解体工事業者・元請業者・事前調査実施者の責任が拡大しています。また石綿含有建材の調査(事前調査)を適切に実施しなかった場合の罰則も強化されています。

【根拠法令】石綿障害予防規則 第4条(作業計画)・第19条(石綿作業主任者の選任)・第35条(作業の記録:従事しなくなった日から40年保存)・第36条(作業環境測定6か月ごと・記録40年保存)・第40条(特殊健康診断)・第41条(石綿健康診断個人票:40年保存)、労働安全衛生法 第55条(石綿等の製造・使用禁止)・第67条(健康管理手帳)

【補足】石綿則の規制対象は解体作業のみでなく製造・取扱い・補修等も含む。特殊健診(個人票)・作業環境測定・作業の記録はいずれも40年保存(特化則特別管理物質の30年・電離放射線の30年より長い)。作業主任者選任は石綿作業主任者技能講習修了者から。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 石綿障害予防規則(石綿則)第4条・第19条(作業主任者)・第35条(作業の記録:40年保存)・第36条(作業環境測定・記録40年保存)・第41条(石綿健康診断個人票:40年保存)、安衛法第55条(製造・使用の禁止)・第67条(健康管理手帳)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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