行政法123情報公開法・行政文書の定義・存否応答拒否・文書管理

行政書士 行政法 問123:情報公開法・行政文書の定義・存否応答拒否・文書管理

情報公開法における行政文書の取扱いに関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、または取得した文書・図画・電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして保有しているものをいい、個人的なメモ等は含まれない。
  • 開示請求に係る行政文書が存在するかどうかを答えるだけで不開示情報を開示することになる場合には、行政機関の長は当該行政文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否することができる(グローマー拒否)。
  • 行政文書の開示請求があった場合、行政機関の長は、開示するかどうかにかかわらず、請求を受けた行政文書を新たに作成または取得して開示する義務を負う。正答
  • 情報公開法は電磁的記録(電子メール・データベース等)も「行政文書」の概念に含め、電磁的記録についても開示請求の対象としている。
  • 開示請求に係る行政文書を行政機関が作成していなかった場合、行政機関は「不保有」を理由として開示請求を拒否することができる。
正答:行政文書の開示請求があった場合、行政機関の長は、開示するかどうかにかかわらず、請求を受けた行政文書を新たに作成または取得して開示する義務を負う。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・判例も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

ウが誤っています。情報公開法の開示請求の対象は「行政機関が現に保有している行政文書」であり、行政機関は請求に応じて文書を新たに作成したり、他から取得したりして開示する義務を負いません。存在しない文書(不保有)については、不存在を理由に開示しない決定(不開示決定)をすれば足ります。ウの「新たに作成または取得して開示する義務を負う」は、現に保有する文書のみを対象とする制度の趣旨に明確に反します。ア(行政文書の定義・個人メモ除外)、イ(存否応答拒否・グローマー拒否)、エ(電磁的記録の包含)、オ(不保有による拒否)はいずれも正しい記述です。

標準試験対策の基準レベル

行政文書の定義(アとエが正しい根拠): 情報公開法2条2項は行政文書を「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有しているもの」と定義します。ポイントは①職務上の作成・取得であること、②組織的に用いるものとして保有していることです。個人的なメモ(組織的に用いない)は除外されます(ア)。また電磁的記録(電子メール・データベース等)も含みます(エ)。

グローマー拒否・存否応答拒否(イが正しい根拠): 情報公開法8条は「開示請求に係る行政文書の存否を答えるだけで不開示情報を開示することとなるとき」は、存否を明らかにしないで拒否できると規定しています(グローマー拒否)。例えば、特定個人に関する捜査情報・特定人物の個人情報等を開示請求された際に「そのような文書があるか・ないか」と答えるだけで機密情報が漏れてしまう場合が典型例です。

現に保有する文書のみが対象(ウが誤りの根拠): 情報公開法の開示請求の対象は、行政機関が「現に保有している」行政文書です(法2条2項・5条本文)。請求に応じて文書を新たに作成・編集したり、保有していない文書を他から取得したりして開示する義務はありません。請求対象の文書を保有していなければ、不存在(不保有)を理由とする不開示決定で対応します。ウの「新たに作成または取得して開示する義務を負う」は制度の根本に反する明確な誤りです。

不保有による拒否(オが正しい根拠): 行政機関が当該文書を作成しておらず保有していない場合、その旨を通知して請求を拒否(不存在による不開示決定)できます。なお、開示請求後に開示を免れる目的で文書を不当に廃棄する行為は、公文書管理法違反・国家賠償等の別個の問題を生じさせますが、これは「開示義務」の問題とは区別される論点です。

上級誤答論破・条文/判例まで深掘り

【理論的背景】

グローマー拒否( Glomar response)は、米国の情報公開法制における「グローマー・エクスプローラー号」事件(潜水艦引き揚げ作戦に関与した船舶の情報公開請求に対し、CIAがその存在自体を秘匿した事件)に由来する概念です。日本の情報公開法8条はこの概念を取り入れており、文書の存否自体が機密情報を構成する場合に対応しています。

開示請求の対象=現に保有する文書(ウが誤りの根拠の詳細):

情報公開法は、行政機関が「現に保有している」行政文書のみを開示請求の対象とします。請求者が求める情報を含む文書を行政機関が持っていない場合、行政機関にはその情報を新たに調査・作成したり、外部から取得したりして開示する義務はありません。これは情報公開法が「文書の開示」制度であって「情報の作成・提供」制度ではないことの帰結です。なお、2011年施行の公文書管理法(公文書等の管理に関する法律)は行政文書の作成・整理・保存・廃棄の一元的ルールを定めており、開示を免れる目的の不当廃棄は公文書管理法違反・国家賠償の問題となりますが、これは「開示義務」とは別個の論点です。

【実務・条文構造】

情報公開法2条2項(行政文書の定義)のポイント:

  • 「職務上」: 職員が職務として作成・取得した文書(職務外のプライベートなメモは除外)
  • 「組織的に用いるものとして」: 個人的にファイルしているだけのメモは除外(組織として共有・使用するものが対象)
  • 「保有しているもの」: 当該行政機関が現に保有していること(廃棄済みは原則対象外)
  • 「電磁的記録を含む」: 電子メール・データベース・デジタルファイル等も対象

行政文書から除外されるもの(法2条2項ただし書):

  • 官報・白書・新聞・雑誌・書籍(市販のもの)
  • 博物館・図書館等において一般の閲覧に供することを目的として保管されているもの

存否応答拒否(グローマー拒否・8条)の適用場面:

  • 特定個人(捜査対象者・患者等)に関する情報の存否
  • 諜報・情報活動に関する情報の存否
  • 公安・警察の捜査活動に関する情報の存否

【試験での位置づけ】

行政書士試験では情報公開法の行政文書の定義(個人メモ除外・電磁的記録含む)とグローマー拒否(存否応答拒否)が重要論点です。「行政機関は文書を新たに作成・取得してでも開示しなければならない」(ウのような誤り)は、現に保有する文書のみが対象という制度の根本を問う典型的引っかけです。開示請求は「保有文書の開示」であって「情報の作成・提供」ではない点を確実に押さえる必要があります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。行政文書の定義(職務上の作成・取得・組織的保有)と個人的メモの除外は情報公開法2条2項の正確な説明。
  • イ: 正しい。グローマー拒否(存否応答拒否)は情報公開法8条の制度。「存否を答えるだけで不開示情報を開示することとなる」場合に存否を明らかにしないで拒否できる。
  • ウ: 誤り(正答)。情報公開法の対象は行政機関が「現に保有している」行政文書であり、請求に応じて文書を新たに作成・取得して開示する義務はない。保有していなければ不存在(不保有)を理由に不開示決定をすれば足りる。「新たに作成または取得して開示する義務を負う」は明確な誤り。
  • エ: 正しい。情報公開法2条2項は行政文書に「電磁的記録」(電子メール・データベース等)を明示的に含めている。
  • オ: 正しい。行政機関が当該文書を作成しておらず保有していない(不存在)場合は、不存在の通知をして請求を拒否できる。

【根拠条文】

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第2条第2項(行政文書の定義:職務上・組織的保有・電磁的記録含む。「現に保有しているもの」が対象)

同法 第5条(開示義務:現に保有する行政文書につき不開示情報を除き開示)

同法 第8条(存否応答拒否:グローマー拒否)

公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)(行政文書の作成・保存・廃棄のルール。開示義務とは別個の論点)

【補足】

グローマー拒否(8条):存否を答えるだけで不開示情報が漏れる場合に存否を明らかにせずに拒否可。行政文書=職務上作成・組織的保有・電磁的記録含む・個人メモ除外。開示請求の対象は「現に保有する」文書のみ=新たに作成・取得して開示する義務はない。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第2条第2項(行政文書の定義)、第8条(存否応答拒否) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

関連論点

情報公開法・行政文書の定義・存否応答拒否・文書管理頻出度B

行政法の他の問題

1
行政行為の分類・許可・認可・特許の区別
2
行政行為の効力・公定力・国家賠償との関係
3
行政手続法・申請に対する処分・審査基準・理由提示
4
不利益処分・聴聞・弁明の機会の付与
5
行政手続法・行政指導
6
行政不服審査法・審査請求期間・現行法の審査請求中心主義

全365問・科目別に解いて、行政書士に最短合格

行政法・民法・憲法を科目別に攻略。各問に根拠条文・判例とAI解説(3レベル)付き。