行政書士 行政法 問126:個人情報保護法・保有個人情報の開示請求・訂正請求・利用停止請求
個人情報保護法(2022年改正現行規律)における保有個人情報の開示請求等に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。 行政機関等(国の行政機関・地方公共団体等)が保有する個人情報についての開示・訂正・利用停止請求に関する規定
- ア行政機関等の保有する保有個人情報の開示請求権者は、当該情報に係る本人のみであり、代理人による開示請求は認められていない。
- イ行政機関等は、開示請求を受けた保有個人情報が開示することにより第三者の権利利益を害するおそれがある情報を含む場合でも、原則として当該情報を開示しなければならない。
- ウ保有個人情報の開示を受けた請求者は、当該情報の内容が事実に反すると主張する場合には、行政機関等に対して当該情報の訂正(追加・削除を含む)を請求することができる。正答
- エ行政機関等が保有個人情報の開示を拒否した場合(不開示決定)、請求者は行政事件訴訟法に基づく取消訴訟を提起することはできず、行政不服審査法に基づく審査請求のみが認められている。
- オ保有個人情報の利用停止請求は、当該情報が個人情報保護法の規定に違反して取得・利用されていると主張する場合に認められ、利用停止が認められると行政機関等はその保有個人情報を即時に廃棄しなければならない。
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ウが正しいです。行政機関等の保有する保有個人情報の開示を受けた者は、当該情報の内容が事実に反すると認めるときは、当該行政機関等の長に対して訂正(内容の訂正・追加・削除)を請求することができます(個人情報保護法の行政機関等に関する特則)。アは「代理人による請求は認められない」としており誤りです(代理人による請求も認められる)。イは「第三者の権利利益を害する情報でも原則開示」としており誤りです(第三者の権利利益を害するおそれがある情報は不開示情報に該当する)。エは「取消訴訟不可・審査請求のみ」としており誤りです(取消訴訟も可能)。オは「即時廃棄しなければならない」としており過剰な記述で誤りです(利用停止の内容は廃棄のみではない)。
保有個人情報の開示・訂正・利用停止(ウが正しい根拠): 個人情報保護法の行政機関等に関する特則(第5章・2022年改正で一元化)では、行政機関等が保有する保有個人情報について、当該情報の本人(または代理人)が以下の請求権を持ちます。①開示請求(第76条・自己に関する保有個人情報の開示を求める権利)、②訂正請求(第90条・開示を受けた情報の内容が事実でないと認めるときに訂正・追加・削除を求める権利)、③利用停止請求(第98条・法に違反して取得・保有・利用されている場合に利用停止・消去・提供停止を求める権利)。ウは②の訂正請求を正確に説明しています。なお訂正請求・利用停止請求は、いずれも「開示を受けた日から90日以内」に行う必要があります(開示が前提)。
代理人による請求(アが誤りの根拠): 法定代理人や委任による代理人による開示等の請求も認められています。「本人のみ」は誤りです。
不開示情報と第三者の権利利益(イが誤りの根拠): 第三者の権利利益を害するおそれがある情報は不開示情報として開示しないことができます。「原則開示」は不正確です。
権利救済の方法(エが誤りの根拠): 不開示決定は行政処分であり、審査請求と取消訴訟の両方が可能です。「取消訴訟不可」は誤りです。
利用停止の内容(オが誤りの根拠): 利用停止が認められる場合の行政機関等の対応は「利用の停止・消去・提供の停止」であり、必ずしも「即時廃棄」に限られません。
【理論的背景】
個人情報保護法における行政機関等の保有個人情報に関する開示・訂正・利用停止の請求権制度は、いわゆる「自己情報コントロール権」(自己に関する情報を自分でコントロールする権利)の行政版として機能します。もともと旧行政機関個人情報保護法が設けていた制度ですが、2022年改正により個人情報保護法の第5章に統合・一元化されました。民間部門の個人情報保護(第4章)と行政機関等の保有個人情報(第5章)は同じ法律内に並存していますが、規律の内容には差異があります(例:行政機関等には個人情報ファイル簿の作成・公表義務がある等)。
【実務・条文構造】
2022年改正後の保有個人情報の開示等請求の手続:
開示請求(法第76条):
- 請求者: 本人(または代理人)
- 請求先: 行政機関の長等
- 原則: 保有個人情報は開示(本人に関するものが対象)
- 不開示情報: 第三者の権利利益を害するおそれ・業務の適正遂行に支障等
訂正請求(法第90条):
- 前提: 開示を受けた後に行う(開示を受けた日から90日以内)
- 内容: 訂正・追加・削除のいずれも可(ウが正しい)
- 行政機関の長の対応: 訂正の必要性を調査・訂正または訂正しない旨の決定
利用停止請求(法第98条):
- 前提: 開示を受けた日から90日以内
- 請求事由: ①法違反の取得、②保有の必要がなくなった場合、③法違反の利用・提供
- 行政機関の対応: 利用停止・消去・提供停止(「即時廃棄」のみではない・オが誤りの根拠)
- 例外: 利用停止等が事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがある場合等は不要措置を取れる
不服申立て・権利救済:
- 審査請求(行政不服審査法): 個人情報保護委員会への諮問を経る(情報公開と類似の制度)
- 取消訴訟(行政事件訴訟法): 開示等の決定は行政処分であり取消訴訟可能(エが誤りの根拠)
【試験での位置づけ】
行政書士試験では2022年改正後の現行規律(旧行政機関個人情報保護法は廃止)に基づく開示・訂正・利用停止の3類型、不開示情報の類型、権利救済手段(審査請求+取消訴訟の両方可)が出題されます。「開示請求後でないと訂正請求できない(訂正は開示後)」「利用停止=即時廃棄ではない」が典型的な引っかけポイントです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 誤り。代理人による開示等の請求も認められる(法定代理人・委任代理人)。「本人のみ」は過剰に限定。
- イ: 誤り。第三者の権利利益を害するおそれがある情報は不開示情報となりえる。「原則開示」とする記述は不正確(不開示情報に該当する場合は開示しないことができる)。
- ウ: 正しい(正答)。開示を受けた後、内容が事実に反すると認めるときは訂正(訂正・追加・削除を含む)を請求できる。行政機関等に対する訂正請求制度を正確に説明。
- エ: 誤り。不開示決定は行政処分であり、審査請求(行政不服審査法)のほか行政事件訴訟法に基づく取消訴訟も提起できる。「取消訴訟不可」は誤り。
- オ: 誤り。利用停止請求が認められた場合の行政機関等の対応は「利用の停止・消去・提供の停止」であり、「即時廃棄しなければならない」という絶対的義務ではない。また利用停止自体にも例外(業務の適正遂行への著しい支障)がある。
【根拠条文】
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)第5章(行政機関等の個人情報の取扱い等)
同法 第76条(開示請求権)、第90条(訂正請求権:開示を受けた日から90日以内)、第98条(利用停止請求権:開示を受けた日から90日以内)
【補足】
開示→訂正→利用停止の3段階。訂正は「開示を受けた後」が前提。利用停止は即時廃棄ではなく「停止・消去・提供停止」。不開示決定への救済は審査請求+取消訴訟の両方可。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)第5章(行政機関等の個人情報の取扱い等)第76条(開示請求権)・第90条(訂正請求権)・第98条(利用停止請求権)(2022年改正後の現行法による) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。