行政法13国家賠償法2条・営造物の設置管理の瑕疵・無過失責任

行政書士 行政法 問13:国家賠償法2条・営造物の設置管理の瑕疵・無過失責任

国家賠償法第2条が定める営造物の設置・管理の瑕疵に基づく損害賠償に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 国家賠償法第2条の「営造物」には、道路・河川等の公の土地のほか、公用に供された動産(公用車両等)も含まれる。
  • 国家賠償法第2条に基づく責任は、営造物の設置・管理に「瑕疵」があれば成立し、管理者の故意・過失は責任成立の要件とはならない(無過失責任)。
  • 「設置又は管理の瑕疵」とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態をいい、この要件は客観的に判断される。
  • 高知落石事件(最判昭和45年)において、最高裁は、管理者がその瑕疵の存在を知らなかった場合であっても、客観的に通常有すべき安全性を欠いていれば管理の瑕疵が認められると判示した。
  • 2条に基づく賠償責任の主体は、当該営造物を設置・管理している国又は公共団体であり、設置者と管理者が異なる場合は、設置者と管理者のいずれもが賠償責任を負うことはない。正答
正答:2条に基づく賠償責任の主体は、当該営造物を設置・管理している国又は公共団体であり、設置者と管理者が異なる場合は、設置者と管理者のいずれもが賠償責任を負うことはない。

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オが誤りです。国賠法3条は設置・管理の費用を負担する者も含め賠償責任を負う旨を定めており、「いずれもが責任を負うことはない」は誤りです。正しくは、費用を負担する者(設置者または管理者と異なる費用負担者)も含めて責任を負う場合があります(3条)。イは正しく(2条は無過失責任)、エは正しく(高知落石事件の判旨)。ウも正しい(「通常有すべき安全性を欠く」という客観的基準)。

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国賠法2条の特徴は、1条(故意過失責任)とは異なり無過失責任である点です(イが正しい)。「設置又は管理の瑕疵」(ウ)の意義について、最高裁は「営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態」と定義し、管理者の主観(知・不知)は問わず客観的に判断されます(エの高知落石事件がこれを明示)。高知落石事件(最判昭45.8.20)は、道路上への落石事故について、「道路管理者が落石の危険を知らなかったとしても、客観的に見て道路が通常有すべき安全性を欠いていれば管理の瑕疵が認められる」と判示しました(エが正しい)。国賠法3条(設置者と管理者の分離):設置費用を負担する者と実際の管理者が異なる場合について規定があり(3条1項・2項)、被害者は設置者・管理者・費用負担者のいずれに対しても損害賠償を請求できる場合があります(オが「いずれも責任を負うことはない」としている点が明確に誤り)。

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【理論的背景】

国賠法2条の無過失責任の根拠は、公の営造物を管理・運用することによって利益を受ける国・公共団体が、その「危険」に対しても責任を負うという危険責任の思想(または報償責任の思想)にあります。これは民法の工作物責任(717条)と類似の構造を持ちますが、民法717条が占有者に免責(注意義務を尽くした場合)を認めるのとは異なり、国賠法2条は設置・管理者に免責を認めない(完全な無過失責任)という点で異なります。

【実務・条文構造】

国賠法2条の瑕疵判断の客観的基準(ウ・エの根拠):瑕疵の有無は「当該営造物が通常有すべき安全性の水準と実際の状態のギャップ」で判断されます。この「通常有すべき安全性」の水準は、設置・管理の時点における技術水準・財政状況・管理の難易度等の諸事情を考慮して個別に判断されます(絶対的な安全を要求するものではない)。高知落石事件(最判昭45.8.20)では、「道路が通常有すべき安全性を欠いていれば管理の瑕疵があり」「管理者の故意・過失は不要」という2点が明確に示されました。

国賠法3条(設置者・管理者・費用負担者の責任):

  • 原則:設置・管理の費用を負担する者も賠償責任を負う(費用負担者の責任)
  • 設置者と管理者が異なる場合:被害者はいずれに対しても賠償請求できる(連帯責任的)
  • 最終的な負担は設置者・管理者・費用負担者の間で求償により調整

オが誤りである根拠:設置者と管理者が異なる場合でも「いずれも責任を負わない」というのは明確な誤り。3条によれば設置者・管理者・費用負担者がそれぞれ責任を負いうる。

【試験での位置づけ】

本論点の典型的な引っかけは「2条は過失責任(×・無過失責任)」「管理者が知っていた場合のみ瑕疵が認められる(×・客観的判断)」「設置者と管理者が異なる場合は一方のみ責任(×・双方が責任を負う場合あり)」の3パターンです。高知落石事件の判旨(客観的無過失責任の確立)は行政書士試験必須の判例です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。「営造物」は公の目的に供された有体物全般を含み、道路・河川等の公の土地工作物のほか、公用に供された動産(公用車両等)も含まれる。
  • イ: 正しい。2条は無過失責任。「故意・過失は要件とならない」という表現が正確。
  • ウ: 正しい。「通常有すべき安全性を欠いている状態」という客観的基準が正確に表現されている。
  • エ: 正しい。高知落石事件(最判昭45.8.20)の判旨。「管理者が知らなかったとしても客観的瑕疵があれば責任あり」という無過失責任の内容を表現。
  • オ: 誤り(正答)。3条により、設置者と管理者が異なる場合でも双方が責任を負いうる。「いずれもが責任を負うことはない」は国賠法3条と矛盾する明確な誤り。

【根拠条文】

国家賠償法 第2条第1項(営造物設置管理の瑕疵・無過失責任)、第3条(費用負担者の責任)

【参照判例】

高知落石事件(最判 昭和45年8月20日)

【補足】

2条は「無過失責任(管理者の故意過失不要)」「客観的瑕疵判断」「高知落石事件」の3点セットで押さえること。3条の設置者・管理者の分離責任も合わせて確認すること。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国家賠償法 第2条(営造物の設置管理の瑕疵)、第3条(費用負担者の責任) 判例: 高知落石事件(最判 昭和45年8月20日) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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