行政法138行政法(行政不服審査法)

行政書士 行政法 問138:行政法(行政不服審査法)

行政不服審査法上の裁決の種類と効力に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 審査請求が不適法である場合、審査庁はこれを棄却する裁決をしなければならず、却下という形式の裁決は認められていない。
  • 処分についての審査請求が理由なしと認められる場合、審査庁は審査請求を棄却する裁決をする。審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない場合も同様である。正答
  • 処分についての審査請求が理由ありと認められ、かつ当該処分が審査庁の上位にある処分庁によるものである場合、審査庁は処分を取り消し、または変更することができる。
  • 事実行為についての審査請求が理由ありと認められる場合には、審査庁は当該事実行為が違法または不当である旨を宣言するだけでは足らず、必ず当該事実行為を撤廃しなければならない。
  • 不作為についての審査請求が理由ありと認められる場合、審査庁は当該不作為が違法または不当である旨を裁決で宣言するにとどまり、当該申請に対して何らかの処分をすべき旨を命じ、または自ら処分をすることはできない。
正答:処分についての審査請求が理由なしと認められる場合、審査庁は審査請求を棄却する裁決をする。審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない場合も同様である。

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イが正しい記述です。行審法45条2項は、処分についての審査請求が理由がないと認めるときは審査庁は審査請求を「棄却」する裁決をすると規定しており、審査庁の種別にかかわらず棄却となります(イ正しい)。アは「不適法な場合は棄却」としていますが、不適法な場合は「却下」です(45条1項)。棄却は本案審理の結果「理由なし」の場合、却下は適法性審査で「不適法」の場合に使われます(ア誤り)。ウは「上位の処分庁による処分」の場合ですが、行審法46条は「処分庁の上級行政庁または処分庁である審査庁」が取消・変更できるとしており、単に「上位にある」という表現は正確でありません(ウ誤り)。エは「違法または不当である旨の宣言だけでは足らず、必ず撤廃しなければならない」としていますが、47条は「違法または不当である旨を宣言し、かつ事実行為を撤廃しまたは変更すべき旨を命じまたは自ら撤廃し変更する」との規定であり、必ずしも宣言だけが禁止されているわけではありません(エ誤り)。オは「不作為の審査請求が理由ありの場合、宣言にとどまり処分を命じることも自ら処分することもできない」としていますが、49条3項は理由ありの場合に審査庁が当該不作為が違法・不当である旨を宣言したうえで、申請に対し一定の処分をすべきものと認めるときは、不作為庁の上級行政庁である審査庁は当該処分をすべき旨を命じ、不作為庁である審査庁は自ら当該処分をするとしており、オは誤りです。

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行政不服審査法における裁決の種類を体系的に整理します。

処分についての審査請求(45条・46条):

  • 不適法(却下事由あり)→ 却下(45条1項)
  • 適法・理由なし → 棄却(45条2項)
  • 理由あり(処分が違法・不当)だが、処分を取り消し・撤廃することが公共の福祉に適合しないと認める場合 → 事情裁決として棄却も可(45条3項。ただし主文で処分が違法・不当である旨を宣言)
  • 認容: 審査庁の種類により異なる

- 審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁 → 取消・変更(46条1項)

- 申請に対する拒否処分 → 申請の認容の処分をすべき旨を処分庁に命令(46条2項)

イが正しい理由: 45条2項は「審査請求が理由がないと認めるとき」は「棄却」とし、審査庁の種類による差異を設けていません。

事実行為についての審査請求(47条):

  • 理由あり → 違法または不当の宣言+撤廃命令または自ら撤廃・変更(エ誤り:宣言だけが許されないというのは法文の趣旨と異なる)

不作為についての審査請求(49条):

  • 不適法 → 却下(49条1項)
  • 理由なし(不作為が違法・不当でない)→ 棄却(49条2項)
  • 理由あり(不作為が違法・不当)→ 認容(49条3項)。審査庁は不作為が違法・不当である旨を宣言し、申請に対し一定の処分をすべきと認めるときは、上級行政庁である審査庁は処分を命じ、不作為庁である審査庁は自ら処分をする(オの誤りの根拠:宣言にとどまらず処分を命じ・自ら処分する)

ウの誤り: 46条1項は「処分庁の上級行政庁または処分庁である審査庁」が取消・変更することができると規定しています。「処分庁の上位にある」という表現は「上級行政庁」に対応しますが、条文の正確な表現と照合すると「上位」という漠然とした表現は正確ではありません。

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【裁決の種類の体系的理解】

行政不服審査法上の裁決は、処分に対する審査請求・事実行為に対する審査請求・不作為に対する審査請求の3類型ごとに異なる裁決形式があります。これを整理することが行政書士試験の頻出事項です。

処分についての審査請求(45条・46条)の詳細:

45条1項(却下): 審査請求が不適法である場合。不適法の例:①審査請求期間経過(18条)、②審査請求適格のない者による申立て、③審査請求の対象とならない行為に対する申立て、④必要的記載事項の欠如かつ補正不能、等。却下は本案(実体)審理に入らずに手続的に排斥するものです。

45条2項(棄却): 審査請求が理由がないと認めるとき(本案審理の結果、処分が適法かつ妥当と認めた場合)。審査庁の種類を問わず棄却の形式をとります(イの根拠)。

45条3項(事情裁決): 審査請求が理由がある(処分は違法または不当)と認めるが、処分を取り消し・変更することが公の利益に著しく反する場合、審査庁は審査請求を棄却することができます(ただし、当該処分が違法または不当である旨を裁決主文で宣言しなければならない)。取消訴訟の事情判決(行訴法31条)に相当する制度です。

46条1項(認容・取消・変更): 審査請求が理由があると認める場合で、審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁であるとき。取消・変更ができます(処分を自ら変更する裁決をする場合、不利益変更禁止原則・48条が適用)。

ウの誤りの精緻な分析: ウは「処分庁の上位にある処分庁による処分」という表現をしていますが、この前提が不明確です。行審法46条1項は「審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁であるとき」に取消・変更ができると規定します。「処分庁の上位にある」は「処分庁の上級行政庁である審査庁」に対応すると読めますが、条文上は「上級行政庁」という明確な概念を使っており、「上位」という表現では正確さを欠きます。また「上位にある処分庁」という表現自体が矛盾しています(処分庁は処分をした庁であり、処分庁の上位に別の処分庁があるという構成は通常ありません)。

事実行為についての審査請求(47条)の詳細:

事実行為については、取消や変更(法律効果の消滅)という概念が当てはまらないため、独自の裁決形式があります。47条は「審査請求が理由があると認めるときは、当該事実行為が違法または不当である旨を宣言するとともに、当該事実行為の撤廃(審査庁が処分庁の上級行政庁等)または変更を命じ(処分庁)、または自ら撤廃・変更する」と規定しています。エは「宣言するだけでは足らず、必ず撤廃しなければならない」としていますが、47条は宣言と撤廃・変更命令または自ら撤廃・変更をセットで規定しており、「宣言のみで撤廃なし」という裁決形式は法定されていません(この意味でエは半分正しいとも言えますが、「必ず…しなければならない」という表現が問題で、実際には命令または自ら行う選択肢があります)。

不作為についての審査請求(49条)の詳細:

49条1項: 不作為に係る審査請求が不適法であるときは、審査庁は却下裁決。49条2項: 不作為が違法または不当でないと認めるとき(理由なし)は、棄却裁決。49条3項: 理由があると認めるときは、審査庁は当該不作為が違法または不当である旨を裁決の主文で宣言する。そのうえで、申請に対し一定の処分をすべきものと認めるときは、①不作為庁の上級行政庁である審査庁は当該不作為庁に対し当該処分をすべき旨を命じ、②不作為庁である審査庁は自ら当該処分をする。したがって、オの「宣言にとどまり、処分を命じることも自ら処分することもできない」は49条3項に反する誤りです。

【試験頻出の対比表】

却下vs棄却の区別、認容裁決の形式(処分vs事実行為vs不作為)、事情裁決(公益上やむを得ない場合)の3点は行政書士試験の最重要事項です。特に「不適法→却下、理由なし→棄却」の区別は基本中の基本として必ず押さえてください。

【根拠条文】

行政不服審査法 第45条(処分についての審査請求の却下又は棄却)、第46条(処分についての審査請求の認容)、第47条(事実行為についての審査請求の認容)、第48条(不利益変更の禁止)、第49条(不作為についての審査請求の裁決)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政不服審査法 第45条(処分についての審査請求の却下又は棄却)、第46条(処分についての審査請求の認容の裁決)、第49条(不作為についての審査請求の裁決) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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行政不服審査法・審査請求の却下と棄却・認容裁決の効力頻出度A

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