行政法36行政手続法

行政書士 行政法 問36:行政手続法

行政手続法が定める申請の取扱いに関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 行政庁は、申請が事務所に到達した後も、当該申請に係る許認可等をするかどうかについて諾否の応答をすべき法令上の義務を負わず、応答をしないまま申請を放置することも行政手続法上許容される。正答
  • 行政庁は、申請書の記載事項に不備がある場合であっても、申請が事務所に到達した時から相当の期間内に、申請に対する処分をしなければならず、申請を留め置いて放置することは許されない。
  • 申請者は、申請に対する処分がなされないまま、その申請に係る処分の相当の期間が経過した場合において、当該処分を申請する法律上の権利がある場合には、義務付け訴訟(申請型)を提起することができる。
  • 行政庁は、申請を適法に受理した後、審査の結果として申請を認容する処分をした場合でも、その後新たな事情が生じた場合には、当該処分を職権で撤回することができる。
  • 行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況や処分の時期の見通しを示すよう努めなければならないとされている。
正答:行政庁は、申請が事務所に到達した後も、当該申請に係る許認可等をするかどうかについて諾否の応答をすべき法令上の義務を負わず、応答をしないまま申請を放置することも行政手続法上許容される。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・判例も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

申請の取扱いの核心は行手法7条にあります。「行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がない場合、申請書に必要な書類が添付されている場合(略)には、速やかに、当該申請に対する処分をしなければならない」。

アが誤りです。 行手法7条は、行政庁が申請に対し諾否の応答をすべき義務(審査・応答義務)を課しています。申請が到達したら遅滞なく審査を開始し、形式上の要件に適合する申請には速やかに処分をしなければなりません。「諾否の応答をすべき義務を負わず、放置も許される」というアは、この審査・応答義務を否定するものであり誤りです。

イ・ウ・エ・オは適切な説明です。

標準試験対策の基準レベル

行手法7条の構造:

  • 「遅滞なく審査を開始」: 申請到達後の審査開始義務。留め置き・放置禁止。
  • 「形式上の要件に適合している場合は速やかに処分」: 要件充足時の迅速応答義務。
  • 「形式上の要件に適合しない申請について」: 補正を求めるか、拒否する処分をしなければならない(二者択一)。

アの問題点: 行手法7条は「遅滞なく審査を開始」「形式上の要件に適合する申請には速やかに処分」という審査・応答義務を行政庁に課しています。申請を放置して諾否の応答をしないことは、この義務に反します。相当期間を超える不応答は不作為違法確認訴訟・申請型義務付け訴訟の対象にもなります(行訴法3条5項・37条の3)。したがって「応答義務を負わず放置も許される」とするアは明確に誤りです。

審査の進捗状況の提示(行手法9条・オが正しい根拠):

行手法9条1項「行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない」(努力義務)。

申請型義務付け訴訟(行訴法37条の3・ウが正しい根拠):

不作為(相当の期間内に処分しない場合)については義務付け訴訟(申請型)を提起できます(行訴法37条の3)。不作為違法確認訴訟(行訴法3条5項)との選択的利用も可能です。

上級誤答論破・条文/判例まで深掘り

【理論的背景】

申請に対する処分の手続は「申請者の権利利益を保護する」という行政手続法の基本目的の実現の場です。申請が形式的要件を充足していれば実体審査に移行し、実体要件を充足していれば処分をするという「二段階審査」が基本構造です。

審査・応答義務(行手法7条): 行手法7条は、申請が到達したら遅滞なく審査を開始する義務と、形式上の要件に適合する申請には速やかに処分をする義務(諾否の応答義務)を行政庁に課しています。形式不備の申請については補正を求めるか拒否処分をするものとされ、いずれにせよ「放置」は許されません。申請者への補正機会の付与は適正手続の観点からも重要です。

【実務・条文構造】

行手法7条の構造: 申請が到達したら遅滞なく審査を開始し、形式上の要件に適合しない申請については相当の期間を定めて補正を求めるか、申請を拒否する処分をしなければなりません。いずれの場合も行政庁は「諾否の応答」をすべき義務を負い、申請を放置することは許されません。これが申請と届出(届出は到達のみで義務履行完了)の重要な違いです。

申請型義務付け訴訟の要件(行訴法37条の3):

1. 法令に基づく申請または審査請求がなされていること

2. 相当の期間内に何らの処分または裁決もなされないとき(不作為の場合)

3. または申請・審査請求を棄却する処分・裁決がなされた場合であって、当該処分・裁決が取り消されるべきこと・無効であることを要するとき(申請拒否の義務付け)

4. 原告に「重大な損害を生ずるおそれ」がある場合に仮の義務付けも可能(37条の5)

【試験での位置づけ】

行政書士試験では「申請の取扱い(7条・9条・11条)」「申請型義務付け訴訟(行訴法37条の3)」「不作為違法確認訴訟(3条5項)」が関連して出題されます。申請書の不備時の手続(補正→拒否の流れ)、審査の進捗提示義務(努力義務・9条)、申請型義務付けの要件を整理してください。

【各選択肢の発展補足】

  • ア(誤): 行手法7条は行政庁に審査・応答義務を課しており、申請を放置して諾否の応答をしないことは許されません。「応答義務を負わず放置も許される」は誤り。相当期間を超える不応答は不作為違法確認訴訟・申請型義務付け訴訟の対象になります。
  • イ(正): 行手法7条の「遅滞なく審査を開始」「申請を留め置いて放置することは許されない」の原則を正確に示しています。
  • ウ(正): 相当期間内の不作為に対する申請型義務付け訴訟(行訴法37条の3)の説明として正確。
  • エ(正): 認容処分後の職権撤回は新たな事情(条件違反・公益上の必要等)を理由に可能ですが、相手方の信頼保護との利益衡量が必要です。
  • オ(正): 行手法9条1項(審査の進捗・見通しの提示:努力義務)のとおり。

【根拠条文】行政手続法 第7条(申請に対する審査・応答)、第9条(審査の進行状況等の教示:努力義務)、行政事件訴訟法 第37条の3(申請型義務付け訴訟)

【補足】申請の取扱い: 到達→遅滞なく審査開始→形式不備なら補正求める→実体審査→処分(速やかに)。留め置き・放置禁止。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政手続法 第7条(申請に対する審査・応答)、第11条(複数の行政庁が関与する場合の審査)。 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

関連論点

行政手続法・申請に対する処分・申請の取扱い・補正頻出度A

行政法の他の問題

1
行政行為の分類・許可・認可・特許の区別
2
行政行為の効力・公定力・国家賠償との関係
3
行政手続法・申請に対する処分・審査基準・理由提示
4
不利益処分・聴聞・弁明の機会の付与
5
行政手続法・行政指導
6
行政不服審査法・審査請求期間・現行法の審査請求中心主義

全365問・科目別に解いて、行政書士に最短合格

行政法・民法・憲法を科目別に攻略。各問に根拠条文・判例とAI解説(3レベル)付き。