行政法74行政不服審査法・審査請求期間の起算点・正当な理由

行政書士 行政法 問74:行政不服審査法・審査請求期間の起算点・正当な理由

行政不服審査法が定める審査請求期間の起算点および「正当な理由」に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 処分についての審査請求期間(主観的期間)の「処分があったことを知った日」とは、処分の存在を現実に知った日を意味し、処分を知り得た客観的な状況があっても、現実に知っていなければ起算されない。
  • 審査請求期間(主観的期間・3か月)の起算点は「処分があったことを知った日の翌日」であり、処分を知った日当日は起算に算入されない(初日不算入)。
  • 「正当な理由」の典型例として、天災その他やむを得ない事情により審査請求期間内に審査請求をすることができなかった場合が挙げられる。
  • 行政庁が書面による処分をした場合、処分書面が相手方に到達した日に「処分があったことを知った日」として、翌日から3か月の審査請求期間が起算される。ただし、処分書面が相手方の住所に届いたが、実際には読んでいなかった場合は「知った日」にあたらない。正答
  • 処分の効力が発生する日(例:「本処分は通知の翌日から効力を生じる」等の条件付き処分)と審査請求期間の起算点(「処分があったことを知った日の翌日」)は必ずしも一致しない場合がある。
正答:行政庁が書面による処分をした場合、処分書面が相手方に到達した日に「処分があったことを知った日」として、翌日から3か月の審査請求期間が起算される。ただし、処分書面が相手方の住所に届いたが、実際には読んでいなかった場合は「知った日」にあたらない。

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エが誤りです。「処分があったことを知った日」は処分の存在を現実に知った日を指しますが(アが正しい根拠)、処分書面が相手方の住所に「到達」した場合は、実際に読んでいなかったとしても「知った」と評価されることが多いです(到達の客観的事実により知ったとみなされる)。エの「実際には読んでいなかった場合は知った日にあたらない」という部分が誤りです。通常、書面の到達(郵便の配達・受取等)により知ったものとして扱われ、読んでいなかったという主観的事情は原則として「知らなかった」の根拠にはなりません。ただし、到達が証明されない場合や正当な理由がある場合は別です。

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「処分があったことを知った」の意味(ア・エの関係):

審査請求期間(18条1項)の起算点「処分があったことを知った日」の解釈は重要です。「知った」とは、単に処分の可能性を予感したのではなく、処分の存在を具体的に認識したことを意味します。アが正しい(現実の認識が必要)一方、エが誤りとなる理由は「到達の客観的事実=知った」という推定です。

到達主義と「知った」の関係(エが誤りの核心):

書面で処分が通知される場合、通常は書面の「到達」(相手方の受取・ポスト投函・留置郵便の告知等)をもって「知った」と評価されます。書面を実際に「読んだ」かどうかは問わず、到達により知る機会が生じた時点で起算されると解されます(客観的可知性の時点)。ただし、書面が実際には到達していない(配達記録なし等)場合は「知った」とは言えません。

初日不算入(イが正しい根拠): 「知った日の翌日から起算する」(18条1項)という文言により、処分を知った当日は計算に入れず、翌日から3か月を数えます(民法140条・初日不算入の原則)。

正当な理由(ウが正しい根拠): 天災・事故・病気等でやむを得ず申立てできなかった場合が正当な理由の典型です。単なる「知らなかった」(期間の法的知識がなかった)だけでは正当な理由と認められません。

オが正しいの根拠: 処分の効力発生日(「通知の翌日から効力を生じる」等)と審査請求期間の起算(「処分を知った日の翌日」)は別の概念であり、一致しないこともあります。処分書面が到達した日に効力発生ではなく翌日から効力発生とされる場合、「知った日」は書面到達日ですが効力発生日は翌日となり、ズレが生じます。

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【「知った日」の法的解釈の精密化】

行審法18条1項の「処分があったことを知った日」の解釈は、判例・解釈上いくつかの問題点があります。

主観的解釈(現実に知った日・アの根拠):処分の存在を現実に認識した日。「知り得た」(知る状況にあった)だけでは不十分で、「知った」(現実の認識)が必要です。ただし「知った」の証明は外形的事実(書面の到達・口頭による告知・第三者への告知等)から推定されます。

客観的可知性(書面到達時の知った推定・エとの関係):書面による処分が到達した場合、到達の事実から「知った」ことが推定されます。「読んでいなかった」という反論は、書面が到達した状況では原則として認められません(合理的な注意を払えば知れたはずという評価)。ただし書面が封筒に封入されており内容が分からない状態での到達、または書面が長期間放置されて実質上閲読不能な状態等は例外的考慮の余地があります。

第三者への通知:処分の相手方でない第三者(隣接地の住民等)は、処分の存在を直接通知されないケースが多いです。第三者が処分を「知った日」は、①新聞・インターネット等で処分の存在を知った日、②隣接地の工事開始等の事実から処分の存在を推知できた日、③行政庁から通知を受けた日、のいずれかに応じて個別に判断されます。客観的期間(1年)が限界として機能することが多いです。

【到達主義と客観的可知性の整理】

書面処分における「知った日」の判断フロー:

1. 書面が相手方の支配領域に入った日(ポスト投函・受取等)→到達日

2. 到達日=「知った日」と推定(客観的可知性の発生)

3. 相手方が「実際には読んでいない」という主観的事情→原則として覆さない(到達=知った)

4. 例外:①到達の事実が証明されない(不着)、②やむを得ない事情(入院・海外滞在等)で到達書面を見ることが客観的に不可能だった→正当な理由として考慮

この判断フローにより、エの「実際には読んでいなかった場合は知った日にあたらない」という記述が誤りであることが明確です。

【正当な理由の判例的基準(ウの詳細)】

「正当な理由」として認められる典型例:

1. 天災(地震・洪水・台風等)による物理的障害で申立て不可能だった

2. 病気・入院等で期間内の対応が不可能だった

3. 行政庁の誤った教示(審査請求できないと告知された等)を信じた

4. 処分の内容が複雑で、専門家に相談するために相当な期間が必要だった(但し認められる範囲は限定的)

「正当な理由」として認められない例:

1. 単に忙しかった(多忙)

2. 法律の知識がなかった(行政法の無知)

3. 不服申立て制度の存在を知らなかった

4. 相手方が長期旅行中だったが書面を受け取れる状態にあった

【行訴法の出訴期間起算点との比較】

行審法18条(審査請求期間)と行訴法14条(出訴期間)の起算点を比較します:

| 比較項目 | 行審法18条 | 行訴法14条 |

|---|---|---|

| 起算点 | 処分があったことを「知った日の翌日」 | 処分があったことを「知った日から」(※条文表現の差異・実質は翌日起算と解される場合が多い) |

| 主観的期間 | 3か月 | 6か月 |

| 客観的期間 | 1年(処分の日の翌日から) | 1年(処分の日から) |

| 正当な理由 | 両期間とも「正当な理由があるときを除く」 | 同様 |

起算点の「翌日」vs「から」の差:行審法18条1項は「知った日の翌日から起算して」と明記(初日不算入)。行訴法14条1項は「知った日から起算して」と規定されていますが、民法140条(初日不算入)の準用があるため実質的に翌日起算となります。両制度とも初日不算入という点では同じです。

【根拠条文】

行政不服審査法 第18条第1項(主観的審査請求期間:知った日の翌日から3か月・正当な理由があるときを除く)

【補足】

書面の「到達」≠「読んだ」だが、到達時点で「知った」と推定(実際に読んでいないことは原則として正当な理由にならない)。「正当な理由」は天災・誤教示・客観的障害が典型(法律知識の欠如・多忙は不可)。起算は「翌日」(初日不算入)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政不服審査法 第18条第1項(審査請求期間) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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