行政書士 一般知識 問16:男女雇用機会均等・労働関係法制
男女雇用機会均等法および労働関連制度に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア男女雇用機会均等法は、性別を理由とする採用・配置・昇進・教育訓練等における差別を禁止し、事業主に対してセクシュアルハラスメントの防止措置を義務づけている。
- イ育児・介護休業法は、男女を問わず育児休業を取得する権利を保障しており、男性労働者も育児休業を取得できる。
- ウ労働組合法は、正当な争議行為については、民事上・刑事上の免責が認められると定めている。
- エハローワーク(公共職業安定所)は、厚生労働大臣が設置する機関であり、求職者への職業紹介・就職支援を行うが、民間の職業紹介事業者への許可・監督は行わない。正答
- オ最低賃金法は、使用者が労働者に支払う賃金の最低額を定めており、最低賃金を下回る賃金を労使合意で定めても、その部分は無効となる。
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誤りはエです。ハローワーク(公共職業安定所)は職業紹介・就職支援を行う機関ですが、民間の職業紹介事業者への許可・監督も厚生労働大臣(都道府県労働局)が行います(職業安定法30条等)。「民間への許可・監督は行わない」という点が誤りです。ア(正):男女雇用機会均等法は性別差別の禁止(5条〜10条)とセクハラ防止措置義務(11条)を定めています。イ(正):育児・介護休業法は男性の育児休業を認めており(5条等)、近年「産後パパ育休」制度も導入されました。ウ(正):労働組合法1条2項・8条で正当な争議行為の刑事・民事免責が規定されています。オ(正):最低賃金法4条3項で最低賃金以下の定めは無効、最低賃金額が適用されます。
エが誤りです。ハローワーク(公共職業安定所)の根拠法は職業安定法です。職業安定法は公共職業安定所の業務(8条以下)を規定する一方、民間事業者が行う職業紹介事業については厚生労働大臣の許可(有料・一般:30条)または届出(無料:33条)を要件とし、厚生労働省・都道府県労働局が監督します。ハローワーク自身が民間事業者を許可するわけではありませんが、「民間職業紹介への許可・監督は行わない」という選択肢の表現は誤りです(行政として許可・監督は行われます)。ア(正):均等法11条はセクシュアルハラスメント防止のための雇用管理上の措置(相談窓口設置等)を事業主に義務付けています。同法11条の2はマタニティハラスメント(妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いの禁止)も規定します。ウ(正):労組法8条「使用者は、同盟罷業その他の争議行為であって正当なものによって損害を受けたことの故を以て、労働組合又はその組合員に対して賠償を請求することができない」(民事免責)。刑事免責は1条2項。オ(正):最低賃金法4条1項・3項。
【職業安定行政の体系】
日本の職業安定行政は職業安定法を根拠とし、国(厚生労働省・都道府県労働局)が統括します。公共職業安定所(ハローワーク)は8条以下の規定に基づき、求職者への職業紹介・雇用保険給付・職業訓練の案内等を無料で提供します。一方、民間の職業紹介事業については、有料職業紹介事業(30条:厚生労働大臣の許可制)・無料職業紹介事業(33条:届出制または許可制)という形で規制されており、労働者派遣事業は労働者派遣法(昭和60年制定)が別途規制します。2015年の職業安定法改正でインターネットを利用した求人メディア(求人広告業)への規制が強化され、虚偽求人広告の禁止等が明記されました。エの「民間への許可・監督は行わない」は、これらの規制の存在を否定する誤りです。
【男女雇用機会均等の法的構造】
男女雇用機会均等法(1985年制定・1999年・2006年・2016年等改正)は、①採用・配置・昇進・降格・教育訓練・福利厚生・定年・解雇等における性差別の禁止(5〜10条)、②セクシュアルハラスメント防止措置義務(11条)、③マタニティハラスメント(妊娠・出産・育休等に関する不利益取扱い禁止・11条の2)、④間接差別の禁止(7条)を主要内容とします。「間接差別」とは、性別以外の要件を設定しながら事実上一方の性に不均衡な影響を与える措置です(例:転居転勤を昇進の要件とすること等)。2022年の改正により、セクハラ・パワハラに関する相談対応等についての行為者への措置義務がさらに強化されています。
【争議行為の免責の理論】
労働組合法1条2項(刑事免責)・8条(民事免責)は、正当な争議行為に対する免責を定めています。争議行為の「正当性」判断については、目的の正当性(組合活動・経済的利益の向上)・手段・方法の正当性(暴力の行使を伴わないこと)・手続の適法性の観点から判断されます。争議権(ストライキ権)は憲法28条(労働基本権)によっても保障されており、私企業労働者については幅広く認められています。公務員については法律による制約があります(全農林事件・最大判昭和48年4月25日等)。組合活動の免責の範囲(使用者の施設内活動等の限界)は判例上の重要論点です。
【最低賃金の法的性格】
最低賃金法4条は、使用者は最低賃金法で定める最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないと定め、同条3項でこれを下回る定めは無効・最低賃金額が適用されると規定します。最低賃金には全都道府県に適用される「地域別最低賃金」(産業を問わず適用)と特定の産業に適用される「特定最低賃金」があります。最低賃金の水準は中央最低賃金審議会の答申をもとに都道府県ごとに厚生労働大臣・都道府県労働局長が決定します(毎年改定)。具体的な金額は変動するため試験では制度・根拠・法的効果を問います。
【根拠条文】
男女雇用機会均等法 第5条〜第11条の2(差別禁止・ハラスメント防止)
育児・介護休業法 第5条(育児休業の権利)
労働組合法 第1条第2項(刑事免責)、第8条(民事免責)
職業安定法 第8条(公共職業安定所)、第30条(有料職業紹介の許可)
最低賃金法 第4条(最低賃金の効力・無効)
【補足】
エは「ハローワーク自身が民間を許可する」かどうかではなく、「民間職業紹介への許可・監督が行われないか」という点が誤りの核心。行政(厚生労働省系統)による民間職業紹介規制の存在を知っていれば判別できる。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 男女雇用機会均等法 第5〜12条・第11条、育児・介護休業法 第5条、労働組合法 第1条・第8条、職業安定法 第8条・第30条、最低賃金法 第4条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。