一般知識3内閣の組織と権限

行政書士 一般知識 問3:内閣の組織と権限

内閣に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。正答
  • 内閣は、衆議院において不信任決議が可決されたときは、直ちに総辞職しなければならない。
  • 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されず、この同意がない限り、在任中に行われた訴追は無効となり、退任後も改めて訴追することはできない。
  • 内閣は法律の規定がなくても政令を制定することができ、政令には罰則を設けることができる。
  • 内閣総理大臣が欠けたときは、内閣は総辞職することなく、新たな内閣総理大臣を指名すればよい。
正答:内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

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正答はアです。憲法68条2項により、内閣総理大臣は「任意に国務大臣を罷免することができる」と明定されています。イは誤りで、不信任決議が可決されても内閣は直ちに総辞職する義務はなく、10日以内に衆議院を解散するか総辞職するかを選択できます(69条)。ウは誤りで、憲法75条は「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない」と定めます。この但書は、在任中の同意なき訴追を妨げるだけで(訴追は退任を待てばよい)、訴追の権利そのものを消滅させるものではありません。したがって「在任中の訴追が無効となり退任後も訴追できない」とするウは誤りです。エは誤りで、罰則を設ける政令は法律の委任が必要です(73条6号但書)。オは誤りで、内閣総理大臣が欠けたときは内閣は総辞職しなければなりません(70条)。

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アが正答です。憲法68条2項は「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる」と明示しており、理由は不要で罷免権は首相に専属します(行政権の統一的行使の確保)。イ(誤):不信任決議可決後の対応は、10日以内の衆議院解散か総辞職かの二択であり(69条)、「直ちに総辞職」という選択肢は誤りです。ウ(誤):憲法75条は「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。」と定めます。本文(前段)が在任中の同意なき訴追を制限する一方、但書は「訴追の権利は害されない」として、退任後の訴追を可能とし、在任中も訴追権そのものは消滅しない(通説では公訴時効も停止すると解する)ことを明らかにしています。ウは「在任中の訴追が無効となり、退任後も訴追できない」とする点で但書の趣旨に反し誤りです。エ(誤):政令への罰則規定には法律の委任が必要(73条6号但書)。オ(誤):首相の欠缺・総選挙後の内閣は総辞職義務あり(70条)。

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【内閣総理大臣の権限全体像】

内閣総理大臣の主要権限は憲法に明示されており、①国務大臣の任免権(68条)、②閣議主宰(66条・内閣法4条)、③内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務・外交関係を国会に報告する権限(72条)、④行政各部の指揮監督権(72条)などがあります。特に国務大臣の罷免は「任意に」(68条2項)と明記されており、理由も必要なく議会の同意も不要です。これは日本の議院内閣制において内閣の一体性を確保するための重要な仕組みです。

【各肢の精緻な分析】

ア(正):68条2項の文言通り。任意の罷免により、首相は内閣の一体性を維持でき、閣内不統一を防げます。実際に閣僚の「更迭」として頻繁に行使されています。イ(誤):69条は「不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職しなければならない」と定め、解散か総辞職かの選択肢があります。「直ちに」という断言が誤りの核心です。ウ(誤):75条は本文で「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない」とし、但書で「但し、これがため、訴追の権利は、害されない」と定めます。本文は在任中の訴追に首相の同意を要求して大臣の職務遂行を保護する趣旨ですが、但書はその反面として「訴追の権利自体は失われない=退任を待てば訴追でき、在任中も訴追権は消滅しない」ことを確認するものです。したがって「在任中の訴追が無効となり退任後も訴追できない」とするウは但書を誤って理解しており誤りです。なお在任中は訴追が制限されるため、公訴時効はその間進行を停止すると解するのが通説です。エ(誤):73条6号は「この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること」と規定し、但書で「但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない」と定めています。法律の委任なし罰則政令は違憲です。オ(誤):70条は「内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない」と定めています。

【議院内閣制の理論】

日本国憲法が採用する議院内閣制(parliamentary cabinet system)は、内閣が国会に対して連帯して責任を負う制度です(66条3項)。衆議院の不信任決議権(69条)と内閣の解散権(7条・69条)が政治的均衡を保つ仕組みとなっています。比較法的には、英国型の「首相の専権的解散権」モデルと、ドイツ型の「建設的不信任」モデルが対比されますが、日本は英国型に近い運用が続いています。なお7条解散(天皇の国事行為としての解散)の合憲性は学説上争いがあるものの、実際の解散はほぼ7条を根拠としており、判例(苫米地事件・最大判昭和35年6月8日)は統治行為として司法審査を及ぼしませんでした。

【試験対策:内閣まとめ数値】

不信任後の解散期限10日、内閣の連帯責任(66条3項)、国務大臣の過半数は国会議員から選ぶ義務(68条1項但書)、閣議は全会一致の慣行—これらを押さえると内閣関連の選択肢を素早く処理できます。

【根拠条文】

日本国憲法 第68条(国務大臣の任免)、第69条(不信任決議後の対応)、第70条(総辞職義務)、第73条第6号(政令・委任)、第75条(国務大臣の訴追)

【補足】

正答アの根拠は68条2項(任意の罷免権)。ウは憲法75条但書(「訴追の権利は害されない」)の理解を問う引っかけで、在任中の訴追制限は退任後の訴追まで封じるものではない点が誤りの核心。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第68条・第69条・第73条・第74条・第75条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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