行政書士 一般知識 問26:行政書士の業務範囲
行政書士法に定める行政書士の業務に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類の作成を行うことができるが、官公署への提出代理(申請代理)は認められていない。
- イ行政書士は、定款・各種規程・議事録等の権利義務・事実証明に関する書類の作成も業務とすることができる。正答
- ウ行政書士が作成できる「書類」は紙文書に限られ、電磁的記録(電子文書)の作成は業務の範囲外とされる。
- エ行政書士は、すべての法律相談・コンサルティングを業務として行うことができ、これは弁護士との競合業務として法律上認められている。
- オ行政書士は、刑事事件における書類の作成・提出代理を業務として行うことができる。
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正答はイです。行政書士法1条の2第1項は、行政書士の業務として①官公署提出書類の作成、②権利義務に関する書類の作成、③事実証明に関する書類の作成を挙げており、定款・議事録・各種規程等はこの②③に含まれます。ア(誤):行政書士は1条の3により、一定の申請代理(官公署への提出代理)も業務として行えます(特定行政書士はそれ以外の聴聞・弁明手続への関与も可)。ウ(誤):行政書士法1条の2第1項は「書類(電磁的記録を含む。)」としており、電磁的記録(電子文書)の作成も業務範囲に含まれます。エ(誤):法律相談・コンサルティングは弁護士の業務範囲と重複するものがあり、行政書士が行えるのは行政書士の業務に関する相談に限られます(法律判断・法廷活動は弁護士独占)。オ(誤):刑事事件は裁判に関わる業務であり、行政書士の業務範囲外です(弁護士独占)。
イが正答です(行政書士法1条の2第1項)。行政書士の業務範囲を整理します。行政書士法1条の2は「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、①官公署に提出する書類、②権利義務に関する書類、③事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)の作成を業務とする」と定めています。定款・議事録・各種規程(①)・遺言書・示談書(②)・内容証明郵便(③の要素あり)等が含まれます。ア(誤):1条の3は「前条に規定する書類の官公署への提出等の手続について代理することができる」と申請代理を認めています。特定行政書士(法定研修を修了した行政書士)は審査請求への関与も可能です(1条の3第1号・2号)。ウ(誤):1条の2第1項は「書類(電磁的記録を含む。)」と明記しており電子文書も含まれます(2014年改正で明記)。エ(誤):行政書士の相談業務は「行政書士の業務に関連する相談」(1条の3第7号)に限定されており、訴訟・刑事・法律全般の相談は弁護士・他の士業の専権と重なります。オ(誤):刑事事件は弁護士・弁護士法人の独占業務(弁護士法3条)であり行政書士の業務外です。
【行政書士法の制度趣旨と業務体系】
行政書士法(1951年制定)は、令和7年改正(令和8年〔2026年〕1月1日施行)により第1条が「目的」規定から「使命」規定へ改められ、行政書士は「行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に資することを使命とする」と位置づけられました(弁護士・税理士等と同様の使命規定化)。同改正では、情報通信技術の活用等を通じた国民の利便向上・業務改善の努力義務(士業法で初のデジタル化対応義務)も新設されています。行政書士は国民と行政の間の「パイプ役」として、複雑な行政手続の補助を担う役割があります。業務の核心は1条の2の書類作成代行であり、これは弁護士・司法書士・社会保険労務士等との業務分担の中で位置づけられます。行政書士は弁護士・弁護士法人が行える業務(訴訟・刑事弁護・法廷代理等)はできませんが、広汎な「書類作成」と「行政手続への関与」が業務の中心です。
【官公署提出書類・権利義務書類・事実証明書類の区分】
行政書士法1条の2が挙げる三種類の書類の区分を整理します。①官公署に提出する書類:各種許認可申請書(建設業許可・飲食店営業許可・車庫証明・外国人在留資格等)。行政書士の業務の中核であり、その数は10,000種以上ともいわれます。②権利義務に関する書類:契約書・遺言書(公正証書遺言以外の自筆証書遺言・秘密証書遺言の作成補助)・示談書・念書・内容証明郵便・定款(法人設立時)・議事録・各種規程(就業規則・役員規程等)(イの正答根拠)。③事実証明に関する書類:調査報告書・実地調査に基づく図面・各種証明書類作成の補助等。「事実証明」は認証・公証的な機能を持つ書類であり、公証人との業務分担も存在します。
【申請代理と特定行政書士】
行政書士法1条の3は書類作成に加えて「提出等の手続について代理する」ことを認め、申請代理(代理申請)を業務化しました。これにより、行政書士は単に書類を作成するだけでなく、顧客に代わって許認可申請を行政機関に提出・折衝することが可能です(アの誤りの根拠)。さらに「特定行政書士」制度(2014年改正)では、日本行政書士会連合会が実施する法定研修を修了した行政書士は、行政庁に対する審査請求・再調査の請求等(不服申立て)の代理人となる権限が付与されます(1条の3第1号・2号の特定業務)。これは従来弁護士が担っていた行政不服申立て代理への行政書士の参入を認めるものです。
【他士業との業務分担】
行政書士と他士業の業務分担の主要な境界線は以下の通りです。弁護士との境界:訴訟代理・刑事弁護・法律全般の相談(弁護士独占)、司法書士との境界:登記申請・裁判所提出書類(司法書士の専権)、社会保険労務士との境界:労働・社会保険に関する申請書類の作成・提出代行(社労士の専権)、税理士との境界:税務申告書の作成・税務代理(税理士の専権)。行政書士と他士業との無資格業務規制(弁護士法72条・社労士法27条・司法書士法73条等)の理解が重要です。行政書士が越権行為を行った場合は刑事罰の対象となります(行政書士法21条等)。
【根拠条文】
行政書士法 第1条(使命。令和8年1月1日施行の改正で「目的」から「使命」へ)、第1条の2(業務:書類作成)、第1条の3(業務:申請代理・特定業務・相談)
【補足】
行政書士の業務は書類作成+申請代理(1条の2・3)であり申請代理も含む(ア誤り)。電磁的記録も業務範囲(ウ誤り)。定款・議事録・各種規程は権利義務書類として業務範囲内(イ正答)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政書士法 第1条の2・第1条の3 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。