一般知識7選挙制度・比例代表と一票の格差

行政書士 一般知識 問7:選挙制度・比例代表と一票の格差

選挙制度に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 参議院比例代表選挙では、有権者は政党名または候補者名のいずれかを記載して投票することができる(非拘束名簿式)。
  • 選挙権は日本国籍を有する満18歳以上のすべての者に保障されており、公職選挙法による法律上の制限はない。正答
  • 比例代表制では、得票に比例した議席配分を行うため、大政党に有利な小選挙区制と比較して死票が少ないとされる。
  • 最高裁判所は、衆議院議員選挙における選挙区間の一票の格差について、違憲状態や違憲と判断した例がある。
  • 日本では、被拘禁者(刑事施設に収容されている受刑者)の選挙権について、法律で一定の制限を設けている。
正答:選挙権は日本国籍を有する満18歳以上のすべての者に保障されており、公職選挙法による法律上の制限はない。

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誤りはイです。「公職選挙法による制限はない」という点が誤りです。公職選挙法11条・252条などにより、禁錮以上の刑に処せられ執行中の者など、一定の場合に選挙権が制限されます。ア(正):参議院比例代表は非拘束名簿式で政党名・候補者名のどちらでも可です。ウ(正):比例代表制は死票が少ない特徴があります(小選挙区は死票が多い)。エ(正):最高裁は一票の格差について複数回の違憲・違憲状態判断を示しています。オ(正):受刑者など一定の被拘禁者の選挙権は公職選挙法により制限されています(ただし未決拘禁者は別途扱い)。

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イが誤りです。選挙権の保障(憲法15条)は絶対的ではなく、公職選挙法11条が「選挙権及び被選挙権を有しない者」として、①成年被後見人(ただし2013年改正で欠格事由から削除)、②拘禁刑以上の刑に処せられその執行を終わらない者、③拘禁刑以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中を除く)、④選挙に関する犯罪で選挙権停止の刑に処せられている者、⑤公民権停止中の者を挙げています(252条等)。なお「拘禁刑」は令和7年6月施行の刑法改正で「懲役・禁錮」を一本化したもので、改正前の条文は「禁錮以上」と規定していました。在外邦人選挙権訴訟(最大判平17.9.14)では選挙権制限には「やむを得ない事由」が必要と判示されており、立法不作為が違憲確認されました。ア(正):参議院比例代表(非拘束名簿式)では政党名・候補者名どちらでも可(衆議院比例は拘束名簿式で政党名のみ)。ウ(正):比例代表の特徴として死票の少なさが挙げられる一方、小党乱立や政権の不安定化が課題として指摘されます。エ(正):最高裁は衆参の選挙区画定について違憲・違憲状態を繰り返し判断しています(最大判平成25年11月20日等)。

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【選挙権の性質と制限論】

選挙権は、民主主義の根幹をなす権利として憲法15条が「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と定め、同条3項は「成年者による普通選挙を保障する」と規定しています。しかし「普通選挙」は財産・性別・教育等による差別的制限を禁ずる趣旨であり、法律による合理的な選挙権制限まで禁じるものではないと解されています。公職選挙法11条・252条による受刑者等への制限については、最高裁は今のところ合憲判断を維持しています(なお成年被後見人の選挙権制限は2013年東京地裁で違憲判決→同年法改正で削除)。在外邦人選挙権訴訟(最大判平17.9.14)では「選挙権を制限することは、原則として許されず、例外的にやむを得ない事由がある場合に限られる」と厳格な基準を示し、在外邦人の比例代表のみへの参加制限を違憲としました。

【在外邦人選挙権訴訟の意義】

在外邦人選挙権訴訟は、日本国外に居住する日本人の選挙権行使制限(当初は比例代表のみ投票可で小選挙区には投票できなかった)が問題となった事案です。最高裁は、①選挙権の制限は「やむを得ない事由」が必要、②その要件を満たさない立法不作為は違法・違憲、③国家賠償請求も認容可(立法不作為による賠償)という3点を判示しました。この判決は、選挙権制限の合憲性審査を厳格化し、立法不作為の国家賠償責任を認めた点で重要な先例であり、行政書士試験では「在外邦人の選挙権」「立法不作為の違憲」「損害賠償請求の可否」が出題ポイントになります。

【一票の格差と司法審査】

一票の格差(選挙区間の有権者数の不均衡)については、最高裁が複数回にわたり違憲・違憲状態の判断を下しています。衆議院については、2009年選挙(最大判平成23年3月23日・違憲状態)、2012年選挙(最大判平成25年11月20日・違憲状態)等があります。最高裁は違憲状態と判断しても「事情判決」的手法(選挙を無効とはしないが違憲を宣言)を用いており、事情判決の法理は行政事件訴訟法31条に類似した考え方です。アダムズ方式の導入(2022年改正)は格差是正の制度的対応の一例です。参議院については「都道府県単位の選挙区制の趣旨」を重視する判例の傾向があり衆議院と異なる扱いがされてきましたが、近年は参議院でも違憲状態判断が出ています。

【各論点の発展補足】

ア(非拘束名簿式):衆議院比例は全国ブロック拘束名簿式(政党が事前に順位をつける)、参議院比例は全国区非拘束名簿式(候補者名得票数が多い順に当選)という違いを押さえる。オ(受刑者の選挙権):受刑者(拘禁刑〔改正前は懲役・禁錮〕以上の刑の執行中)は公職選挙法11条により選挙権を停止されますが、未決拘禁者(裁判確定前の勾留中の者)は選挙権を有し、不在者投票等の方法で行使できます。

【根拠条文】

日本国憲法 第15条第3項(普通選挙)、第44条(選挙人の資格)

公職選挙法 第9条(選挙権年齢)、第11条(選挙権・被選挙権のない者)、第252条(公民権停止)

【参照判例】

在外邦人選挙権訴訟(最大判 平成17年9月14日)

【補足】

「選挙権に法律上の制限はない」という断言は誤り。公職選挙法11条の制限事由(受刑者・公民権停止)を知っていれば即答できる問題。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第15条・第44条、公職選挙法 第9条・第11条・第252条、在外邦人選挙権訴訟(最大判 平成17年9月14日) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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