憲法11幸福追求権・プライバシー・肖像権

行政書士 憲法 問11:幸福追求権・プライバシー・肖像権

憲法第13条が保障する幸福追求権・プライバシーの権利に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らして**正しいもの**はどれか。

  • 肖像権は、日本国憲法第13条の明文に直接規定されており、他人に無断で容貌・姿態を写真撮影される自由からの保護が憲法上の権利として認められている。
  • 警察が、犯罪の捜査として被疑者の容貌・姿態を本人の同意なく写真撮影することは、被疑者が何らかの刑事犯罪と関係する限り常に適法とされる。
  • 京都府学連事件において、最高裁は「何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有する」と判示し、これを憲法13条に由来する権利として認めた。正答
  • 憲法13条は個人の自律・尊厳に関わる権利の一般的な根拠条文にはなり得ず、個別の人権規定(18条〜40条)で保護されない権利は司法上保護されない。
  • プライバシーの権利は「私生活をみだりに公開されない権利」として認められているが、プライバシー侵害を理由とした損害賠償請求は認められていない。
正答:京都府学連事件において、最高裁は「何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有する」と判示し、これを憲法13条に由来する権利として認めた。

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ウが正しいです。京都府学連事件(最大判昭44.12.24)は「何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有する」として、不法な写真撮影からの自由を憲法13条後段に由来する権利として保護しました。アは「明文に直接規定されている」が誤りです(憲法13条には「肖像権」という文言はなく、13条の解釈として認められている)。エは「個別規定で保護されない権利は保護されない」とする点で誤りで、13条は包括的基本権として機能します。オはプライバシー侵害による損害賠償は判例・実務上認められているため誤りです。

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憲法13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定めます。この規定は、個別の人権規定では捕捉できない「新しい人権」の根拠として機能します(エが誤りの理由)。京都府学連事件(最大判昭44.12.24)は、捜査目的であっても「現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であって、しかも証拠保全の必要性及び緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもって行なわれる場合」には適法としており、「何らかの犯罪と関係する限り常に適法」(イ)とはしていません。プライバシー権は「宴のあと事件(東京地判昭39.9.28・※未確認)」で確立された先例として引用されており、損害賠償請求も認められています(オが誤り)。

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【理論的背景】

「新しい人権」とは、日本国憲法制定時には想定されていなかった社会変化に伴い保護の必要性が生じた権利群であり、憲法13条を根拠として認められます。プライバシー権・肖像権・自己情報コントロール権・環境権・日照権・眺望権・嫌煙権などが議論されています。このうち最高裁が明確に認めているのはプライバシー・肖像権(撮影されない自由)等で、環境権などは判例上未確立の状態です。

【実務・条文構造】

肖像権・撮影の自由の制約について、京都府学連事件の判旨を精確に分析します。最高裁が示した写真撮影適法の要件は以下の3点です。

1. 現に犯罪が行われ、または行われた直後と認められる場合

2. 証拠保全の必要性および緊急性がある

3. 撮影方法が一般的に許容される限度を超えない相当な方法

この3要件を全て充たした場合のみ、被撮影者の承諾なく捜査目的での写真撮影が許容されます。「犯罪に関係する限り常に可」「何らかの嫌疑があれば常に可」ではなく、厳格な要件の下での例外的許容です(イが誤りの理由)。

自己情報コントロール権(プライバシーの現代的解釈):「私生活をみだりに公開されない権利(消極的プライバシー)」から「自己の情報を積極的にコントロールする権利(積極的プライバシー)」へと概念が発展しています。個人情報保護法はこの積極的プライバシー権を立法化した側面を持ちます。

【試験での位置づけ】

行政書士試験では13条関連として(1)包括的基本権としての機能(新しい人権の根拠)、(2)京都府学連事件の判旨(撮影が許容される3要件)、(3)「肖像権は13条の明文規定ではなく解釈上の権利」という論点が出されます。アのように「憲法13条の明文に直接規定されている」と断定するのは典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。「明文に直接規定」は不正確。13条には「肖像権」「プライバシー」という文言は存在せず、13条の「幸福追求権」の解釈から導かれる権利として認められている。
  • イ: 誤り。京都府学連事件の判旨は3要件を充たす場合のみ適法としており、「何らかの犯罪と関係する限り常に適法」ではない。
  • ウ: 正しい。京都府学連事件(最大判昭44.12.24)の判旨そのもの。「みだりに」「承諾なし」という限定が正確に表現されている。
  • エ: 誤り。13条は包括的基本権として機能し、個別条文に規定のない権利(プライバシー・自己情報コントロール等)の根拠となる。
  • オ: 誤り。「宴のあと事件」(東京地判昭39.9.28・※未確認)以来、プライバシー侵害に基づく損害賠償は民事上認められており、不法行為(民法709条)として損害賠償請求が可能。

【根拠条文】

日本国憲法 第13条(個人の尊重・生命自由幸福追求権)

【参照判例】

京都府学連事件(最大判 昭和44年12月24日)

【補足】

「肖像権は憲法13条の明文規定か、それとも解釈上の権利か」という問いに答えられるようにすること。正解は「解釈上の権利(13条の条文には肖像権という語はない)」。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第13条(幸福追求権・個人の尊重) 判例: 京都府学連事件(最大判 昭和44年12月24日) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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