憲法24労働基本権・全農林警職法事件・公務員の団結権

行政書士 憲法 問24:労働基本権・全農林警職法事件・公務員の団結権

労働基本権(憲法28条)に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 憲法28条の労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)は、すべての勤労者(公務員を含む)に対して等しく保障されており、公務員の争議権を法律で禁止することは憲法28条に違反する。
  • 国家公務員の争議行為を禁止する国家公務員法の規定について、最高裁判所は合憲と判示しており、公務員の職種(現業・非現業)を問わず争議権の禁止は正当化されると解している。
  • 私企業の労働者は憲法28条による保護を受けるが、民間企業であっても公益性の高い事業(電力・ガス等)に従事する者については争議行為が完全に禁止されており、ストライキは許容されない。
  • 労働基本権は経済的弱者である労働者の保護を目的とし、憲法上保障される社会権の一つであることから、法律によって剥奪することが許容されるほか、労働組合を廃止することも法律で許容される。
  • 地方公務員のうち、警察職員・消防職員については、その職務の特殊性から団結権(労働組合を結成する権利)を含む労働三権すべてが法律で禁止されており、最高裁判所もこれを合憲と解している。正答
正答:地方公務員のうち、警察職員・消防職員については、その職務の特殊性から団結権(労働組合を結成する権利)を含む労働三権すべてが法律で禁止されており、最高裁判所もこれを合憲と解している。

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警察職員・消防職員については、地方公務員法・消防組合法等により団結権を含む労働三権がすべて禁止されており、これは職務の特殊性(法と秩序の維持・生命安全の確保)を根拠として合憲と解されています(オが正答)。アは「公務員の争議権禁止は憲法28条に違反する」とする点が誤りです(全農林警職法事件で合憲とされました)。イは「職種を問わず争議禁止が正当化される」とする点が過度な断定です(非現業公務員の争議禁止は合憲ですが、理由付けは職種ごとに検討が必要)。ウは「公益性の高い民間企業の争議行為が完全に禁止」とする点が誤りです(電力・ガス等も民間企業であれば完全禁止ではない)。エは「法律によって(労働基本権を)剥奪することが許容される・労働組合を廃止できる」とする点が誤りです(必要最小限度の制限のみ許容)。

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憲法28条の「勤労者の団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)」(労働三権)は、原則としてすべての勤労者に保障されますが、公務員については職務の公共性を理由とした制限が許容されています。最高裁(全農林警職法事件・最大判昭48.4.25)は、非現業の国家公務員の争議行為禁止と刑事制裁を合憲と判示し、以降この立場が定着しています(アが誤りであり、イの前半は正しい)。ただしイの「職種を問わず」という表現は過度であり、現業(郵便・林野等の「現業公務員」)については団体交渉権が認められていた歴史的経緯があります。警察職員・消防職員については、地方公務員法第52条3項(警察職員)・消防組合法第5条1項(消防職員)等により団結権を含む労働三権すべてが禁止されており、通説・判例はこれを合憲と解しています(オが正答)。ウについて、電力・ガス等の民間企業の労働者は原則として憲法28条の保護を受け、スト権も保障されます(電気事業法・ガス事業法に基づく安全確保義務は別の問題)。エについて、労働基本権の「剥奪」や「労働組合の廃止」を法律で行うことは憲法28条に違反します。

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【理論的背景】

憲法28条は、経済的弱者である労働者が使用者と対等に交渉できるよう、団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)を保障する社会権規定です。ただし「勤労者」(労働者)は公務員も含みますが、公務員の場合は①職務の公共性(全体の奉仕者・15条)、②代替的不服申立手段の存在(公務員法上の紛争解決手続)、③財政民主主義(予算議決権は国会にある・国民を代表する国会が処遇を決定)を根拠として、一定の制限が許容されると解されています。

【実務・条文構造】

公務員の労働基本権の制限を整理します。①非現業の国家公務員(国家公務員法):争議権禁止・団体交渉権の一部制限・団結権は認める(ただし「職員団体」として組合とは別規律)。争議行為禁止を合憲とした先例=全農林警職法事件(最大判昭48.4.25)。②現業の国家公務員(旧公共企業体等労働関係法→現在の国営企業労働関係法等):争議権禁止、一定の団体交渉権は認める。③非現業の地方公務員(地方公務員法):争議権禁止・団体交渉権の一部制限・団結権は認める(「職員団体」規律)。④警察職員・消防職員(地公法52条3項・消防法の特例):団結権を含む労働三権すべてを禁止(オが正答の根拠)。これらの制限の合憲性の根拠は「職務の特殊性」と「代替的救済手段の存在」に求められており、必要最小限度の制限であれば憲法28条に反しないという判断です。電力・ガス等の民間企業(ウの問題)については、業務の性質から争議調整の手続(労働関係調整法)が特別に設けられることはありますが、争議権そのものが「完全禁止」とはなっていません。

【試験での位置づけ】

行政書士試験における28条の出題ポイントは次の3つです。①公務員の争議権禁止は合憲(全農林警職法事件)。②警察・消防職員は労働三権すべて禁止。③民間労働者は原則として労働三権が保障される(公益性の高い業種も「完全禁止」ではなく、ストライキには特別規制が加わるにとどまる)。イについて補足すると、全農林警職法事件が対象としたのは非現業の国家公務員であり、「職種(現業・非現業)を問わず」という一般命題は過剰です。現業公務員については争議禁止の根拠・範囲について別途検討が必要です(ただし現在は現業公務員の大半が民営化されており、この区分の実務上の意義は低下しています)。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。全農林警職法事件(最大判昭48.4.25)は国家公務員の争議権禁止を合憲と判示した。「禁止は28条違反」という主張は判例と正反対。
  • イ: 誤り(過度な断定)。非現業公務員の争議禁止は合憲だが、「職種を問わず」という断定は現業・非現業の区別を無視している。また、禁止の根拠は職種ごとの検討を要する。
  • ウ: 誤り。民間企業の電力・ガス労働者も原則として争議権が保障される。安全確保のための特別規制(電気事業法等)はあるが「完全禁止」ではない。
  • エ: 誤り。労働基本権は憲法28条が保障する権利であり、法律によって「剥奪」したり「労働組合を廃止」したりすることは許されない(必要最小限度の制限のみが許容される)。
  • オ: 正答。警察職員・消防職員は職務の特殊性(法秩序・生命安全の維持に不可欠)から、団結権を含む労働三権すべてが禁止されており(地公法52条3項等)、これは合憲と解されている。

【根拠条文】

日本国憲法 第28条(勤労者の団結権、団体交渉権その他の団体行動をする権利)

地方公務員法 第52条第3項(警察職員の職員団体への参加禁止)

国家公務員法 第98条(争議行為の禁止)

【参照判例】

全農林警職法事件(最大判 昭和48年4月25日)

【補足】

「警察・消防職員=労働三権すべて禁止」vs「一般公務員=争議権禁止・団結権は一部認める」vs「民間労働者=原則三権保障」という3段階の整理が試験対策の核心。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第28条(勤労者の団結権等) 参照判例: 全農林警職法事件(最大判 昭和48年4月25日) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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