行政書士 憲法 問26:国会・二院制・各議院の権限・会期
国会の構成・権限及び会期に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア衆議院は参議院に対して優越した地位を持つことから、法律案の議決について衆議院で可決した法律案を参議院で否決した場合、直ちに衆議院の議決が国会の議決となる。
- イ予算案については衆議院の優越が認められており、参議院が衆議院と異なった議決をした場合または参議院が受領後30日以内に議決しない場合は、衆議院の議決が国会の議決となる。正答
- ウ国会の常会(通常国会)の会期は法律で150日と定められているが、参議院の緊急集会は常会の会期中においてのみ開催することができる。
- エ臨時会(臨時国会)は内閣が召集するが、衆参いずれかの議院の総議員の3分の1以上の要求があった場合にも内閣は臨時会を召集しなければならない。
- オ衆議院と参議院が設置する委員会のうち、両議院の合意を必要とする両院協議会は、法律案・予算案・内閣総理大臣の指名のいずれの議決についても必ず開催しなければならない。
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予算案の議決については、憲法60条により衆議院の強い優越が定められています。参議院が衆議院と異なった議決をした場合、または参議院が受領後30日以内に議決しない場合は、衆議院の議決が国会の議決となります(イが正答)。アは法律案についての説明ですが、法律案の場合は参議院否決後に直ちに衆議院の議決が国会の議決になるわけではなく、衆議院で出席議員の3分の2以上の再可決が必要です(59条2項)。エは臨時会の召集要求の要件を「3分の1以上」としている点が誤りです。正しくは「総議員の4分の1以上」の要求があれば内閣は臨時会の召集を決定しなければなりません(53条後段)。オは両院協議会が「必ず開催」ではない場合があります(法律案の場合は衆議院が再可決を選択でき、両院協議会は任意)。
国会の権限・手続に関する主要な条文を整理します。①法律案の議決(59条):衆議院で可決後参議院で否決された場合、衆議院で出席議員の3分の2以上で再可決すれば成立。または両院協議会を開いても不一致の場合に衆議院が再可決(アが「直ちに衆議院の議決が国会の議決」としている点が誤り。再可決(3分の2以上)が必要)。②予算案の議決(60条):参議院が衆議院の議決後30日以内に議決しない場合または両院協議会でも不一致の場合、衆議院の議決が国会の議決となる(イが正答。法律案の60日・予算の30日は重要区別点)。③臨時会の召集(53条):内閣が召集するほか、いずれかの議院の総議員の「4分の1以上」の要求があれば内閣は臨時会を「召集しなければならない」とされています(エは要件を「3分の1以上」としている点が誤り。正しくは4分の1以上)。本問ではイが正答。④常会の会期延長(国会法):常会は150日(延長可)。参議院の緊急集会は衆議院解散中のみ(ウが「常会会期中のみ」としている点が誤り)。
【理論的背景】
日本国憲法は両院制(二院制)を採用し(42条)、衆議院と参議院という二つの議院を設けています。衆議院は任期4年・解散あり・小選挙区比例代表並立制、参議院は任期6年・解散なし・選挙区(都道府県単位)と比例代表の混合制という特色があります。衆議院の優越(59条・60条・67条等)は、民主的正統性が高い(頻繁に民意を反映する選挙を行う)衆議院の意思を優先させる趣旨です。ただし優越の内容・効果は事項ごとに異なり、一律に「参議院の意思は無視される」わけではありません。
【実務・条文構造】
各事項について衆議院優越の内容を整理します(重要な試験知識)。
| 事項 | 根拠条文 | 両院協議会 | 優越の効果(参議院が異なる議決or期間内に未議決) |
|---|---|---|---|
| 法律案 | 59条 | 任意(衆が再可決を選択可) | 衆議院で出席議員3分の2以上の再可決で成立 |
| 予算案 | 60条 | 必要的(30日経過で不要) | 衆議院の議決が国会の議決(30日経過or両院協議会でも不一致) |
| 条約承認 | 61条(60条準用) | 必要的(30日経過で不要) | 衆議院の議決が国会の議決 |
| 内閣総理大臣の指名 | 67条 | 必要的(10日経過で不要) | 衆議院の議決が国会の議決 |
イ(予算案・30日)は上表のとおり正しい。アは法律案で「再可決」が必要な点を省略しており誤り。ウについて、参議院の緊急集会(54条2項)は「衆議院が解散されたとき」に緊急の必要がある場合に開催されるものであり、常会会期中に開催されるものではありません(ウが誤りである根拠)。エについて、53条後段は「いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と規定しています。エは要件を「3分の1以上」としており、条文の「4分の1以上」と異なるため誤りです。本問の正答はイです。
【試験での位置づけ】
行政書士試験での国会・二院制の出題ポイントは次の3つです。①法律案(59条)vs 予算案(60条)の優越の違い:法律案は3分の2再可決が必要・予算は30日で衆議院議決が成立。②臨時会(53条):内閣が召集、4分の1以上の要求で召集義務(ただし「義務の強さ」に解釈上の議論あり)。③参議院の緊急集会(54条):衆議院の解散中のみ(常会中ではない)。数字の混同(3分の2・3分の1・4分の1、60日・30日・10日)が頻出の引っかけです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 誤り。法律案の場合、参議院が否決しても直ちに衆議院の議決が国会の議決にはならない。衆議院で出席議員の3分の2以上による再可決が必要(59条2項)。
- イ: 正答。予算案(60条)の説明として正確。参議院が衆議院と異なった議決をした場合または30日以内に議決しない場合、衆議院の議決が国会の議決となる(両院協議会開催後でも不一致なら同様)。
- ウ: 誤り。参議院の緊急集会(54条2項)は衆議院が解散されたときに開催されるものであり、常会会期中とは全く無関係。
- エ: 誤り。53条後段の臨時会召集要求の要件は「総議員の4分の1以上」であり、「3分の1以上」とするエは要件数を誤っている。
- オ: 誤り。両院協議会は法律案については「任意的」(衆議院が再可決を選択した場合は開催せずに法律が成立)。必要的両院協議会は予算・条約・内閣総理大臣の指名(衆の優越の事項)のみ。
【根拠条文】
日本国憲法 第59条(法律案の議決・衆議院の再可決)、第60条(予算案の議決・衆議院優越)、第53条(臨時会の召集・4分の1以上の要求)、第54条(参議院の緊急集会)
【補足】
法律案(59条・3分の2再可決)と予算案(60条・30日で優越確定)の違いは最頻出の混同ポイント。参議院の緊急集会は「解散中のみ」という条件も必ず押さえること。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第60条(予算案の議決・衆議院優越)、第59条(法律案の議決)、第53条(臨時会の召集) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。