憲法42居住移転の自由・国籍離脱の自由・外国移住の自由

行政書士 憲法 問42:居住移転の自由・国籍離脱の自由・外国移住の自由

居住・移転の自由及び外国移住・国籍離脱の自由(憲法22条)に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 憲法22条1項の「居住、移転の自由」には、経済的自由としての側面と、精神的自由(移動の自由・旅行の自由)としての側面の両方が含まれており、規制目的によって違憲審査の厳格さが変わる。
  • 憲法22条2項の「外国に移住する自由」は日本国民のみに保障されるため、外国人が日本から出国(帰国)することを国が妨げることは、憲法22条2項に違反しない。
  • 憲法22条2項は「外国に移住する自由」を保障しているが、「外国に旅行する自由(海外渡航の自由)」は22条2項の保障を受けず、13条(幸福追求権)の問題にとどまる。
  • 憲法22条2項は「国籍を離脱する自由」を保障しているが、日本国籍を離脱するためには法律の規定に従うことが必要であり(国籍法11条以下)、法律の要件を満たさない国籍離脱は許されない。正答
  • 旅券(パスポート)の発行を拒否することは、「外国に移住する自由」(憲法22条2項)の制限に当たり、いかなる場合においても許されない。
正答:憲法22条2項は「国籍を離脱する自由」を保障しているが、日本国籍を離脱するためには法律の規定に従うことが必要であり(国籍法11条以下)、法律の要件を満たさない国籍離脱は許されない。

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憲法22条2項は「外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵してはならない」と規定しています。国籍離脱の自由については、法律(国籍法11条以下)に従って国籍を離脱することが保障されており、法律の要件(自発的な外国国籍の取得・届出等)を満たす必要があります(エが正答)。アについて、居住・移転の自由は経済的自由の側面と精神的側面を持つという見解がありますが、規制目的で審査基準が変わるかについては争いがあり、「変わる」と断定するのは過剰です。ウは「海外渡航の自由は22条2項の問題でなく13条の問題」としている点が誤りです(判例は22条2項の問題として扱っています)。オは「いかなる場合においても許されない」としている点が誤りです(外交関係の保護等を理由とした旅券発行拒否が問題となった事例があります)。

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居住・移転・外国移住・国籍離脱の自由に関する憲法22条の内容を整理します。①22条1項(居住・移転の自由):「公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」。居住・移転の自由は「経済的自由」の一種として位置づけられますが、身体の自由・精神的自由としての側面もあり、その二重の性格から違憲審査基準の設定が問題になります(アは「規制目的によって審査基準が変わる」としているが、通説・判例が明確にその立場を採っているとは言えない)。②22条2項(外国移住・国籍離脱の自由):「外国に移住し、又は国籍を離脱する自由」。「外国に移住する自由」には「海外渡航の自由(旅行の自由)」も含まれると解されており(ウが「13条の問題にとどまる」としている点が誤り)、旅券の発行制限はこの権利の問題として捉えられています(最高裁昭和33年の外国旅行の自由を22条2項の問題として扱った判例がある)。「国籍離脱の自由」については、法律(国籍法)の定める要件・手続に従って行使されるものであり、法律の規定なしに単独で国籍を離脱することはできません(エが正答)。イは「外国人が出国する自由」を22条2項の問題としていますが、外国人の出国については別途論じる問題です(外国人には22条2項の直接適用はないが、国際人権条約等の観点からの議論がある)。

上級誤答論破・条文/判例まで深掘り

【理論的背景】

憲法22条は「職業選択の自由」(1項)と「居住・移転の自由・外国移住・国籍離脱の自由」(1項・2項)を規定しています。これら経済的自由の規定は、社会主義的な計画経済・統制経済からの自由を保障するという歴史的文脈を持ちます。「居住・移転の自由」は経済活動の前提となる移動の自由として経済的自由に分類されますが、身体の自由・人格の自由の側面も持つことから「二元的性格」を有するとされています。この二元的性格は違憲審査基準論(経済的自由か精神的自由かで審査基準が変わる場合)との関係で重要ですが、判例・通説は明確な立場を示していません(アの断定が過剰である根拠)。

【実務・条文構造】

「海外渡航の自由」の22条2項への包摂について、判例(最判昭33.9.10・外国旅行の自由)は「外国へ一時旅行する自由」も「外国に移住する自由」(22条2項)の問題として扱いました(ウが誤りである根拠)。この判例では旅券法の規定による旅券発行の拒否が問題となり、「旅行の自由を保障するとしつつも、公共の福祉のための合理的制限は許容される」という結論が示されています(オが「いかなる場合においても許されない」としている点が誤りである根拠)。「国籍離脱の自由」(22条2項後段)については、エが正答の根拠となる内容を整理します。日本の国籍法11条は「日本国民が自己の志望により外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」と規定しており、外国籍取得が自動的に日本国籍喪失につながります。国籍離脱を積極的に行う場合(国籍法13条以下)は届出等の手続が必要です。法律の要件なしに単独で国籍を放棄することはできません(「自分で勝手に無国籍になれる」わけではありません)。イについて、外国人が日本から出国する自由(帰国の自由)については、国際人権規約(B規約12条)等の観点から保障が及ぶ可能性がありますが、憲法22条2項(「外国に移住する自由」)は日本国民の権利として規定されており、外国人への直接適用については別途議論があります。単純に「憲法22条2項に違反しない」と断定するイの記述も不正確で誤りです。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での22条の出題ポイントは次の3つです。①「外国移住・海外渡航の自由」は22条2項の問題(13条のみの問題ではない)。②「国籍離脱の自由」は法律の定める要件・手続に従って行使(単独では不可)。③旅券発行の拒否は22条2項の制限問題であり「一切許されない」ではなく合理的制限は許容。これらは22条を読んだだけでは判断しにくく、判例・実務知識が必要な論点です。条文と判例をセットで整理することが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り(精度の問題)。「規制目的によって審査基準が変わる」という命題については、居住移転の自由の「二元的性格」から理論的に導けますが、これを明確に採用した通説・判例があるとは言えない。断定的記述が過剰。
  • イ: 誤り。外国人の出国の自由については22条2項の直接適用問題とは別に、国際人権規約等から保護が及ぶ可能性がある。「憲法22条2項に違反しない」という単純断定は誤り。
  • ウ: 誤り。「海外渡航の自由(外国に旅行する自由)」は22条2項の「外国に移住する自由」に含まれると判例(最判昭33.9.10)が解している。「13条のみの問題」という限定は誤り。
  • エ: 正答。国籍離脱の自由は、法律(国籍法)の定める要件・手続に従って行使されるものであり、法律の要件を満たさない単独の国籍放棄は許されない。22条2項は「法律に反してでも国籍を離脱できる」という絶対的権利を保障するものではない。
  • オ: 誤り。旅券発行の拒否は22条2項の「海外渡航の自由」への制限にあたりますが、外交的理由・刑事手続上の理由等による合理的制限は許容されます。「いかなる場合においても許されない」という絶対的保障は誤り。

【根拠条文】

日本国憲法 第22条第1項(居住・移転の自由)、第22条第2項(外国移住・国籍離脱の自由)

国籍法 第11条(自発的外国籍取得による日本国籍喪失)、第13条以下(国籍離脱の手続)

旅券法(旅券の発行・拒否事由)

【補足】

「海外渡航の自由=22条2項の問題(13条のみではない)」「国籍離脱=法律の要件に従って行使(単独不可)」「旅券発行拒否=合理的制限なら許容(絶対禁止ではない)」の3点が試験対策の核心。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第22条第1項(居住・移転の自由)、第22条第2項(外国移住・国籍離脱の自由) 参照: 国籍法 第11条以下(国籍の離脱) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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