民法2制限行為能力者・被保佐人・被補助人

行政書士 民法 問2:制限行為能力者・被保佐人・被補助人

制限行為能力者に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 成年被後見人が行った法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消すことができる。
  • 被保佐人が不動産を売却するには保佐人の同意が必要であり、同意なく行われた売却契約は取り消すことができる。
  • 被補助人については、補助人に代理権を付与する旨の審判と、特定の法律行為について補助人の同意を要する旨の審判は、必ずいずれか一方のみ行われる。正答
  • 制限行為能力者の相手方は、制限行為能力者側に対して、1か月以上の期間を定めて当該行為を追認するかどうかを確答するよう催告することができる。
  • 後見開始の審判は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について行われる。
正答:被補助人については、補助人に代理権を付与する旨の審判と、特定の法律行為について補助人の同意を要する旨の審判は、必ずいずれか一方のみ行われる。

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ウが誤りです。被補助人について、補助人への代理権付与の審判と同意権付与の審判は「いずれかを行えばよい」ものではなく、補助開始の審判と同時に代理権付与審判が単独でも、同意権付与審判が単独でも行うことができ、両方を同時に付与することも可能です(民17条・876条の9)。「必ずいずれか一方のみ」という記述が誤りです。アは正しく(民9条但書)、イは正しく(民13条1項3号・4号参照)、エは正しく(民20条)、オは正しく(民7条)です。

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ウが誤りです。被補助人は、制限行為能力者の中で最も能力への制限が軽度な類型です。補助開始の審判においては、①補助人に同意権を付与する審判(民17条1項)と②補助人に代理権を付与する審判(民876条の9)のいずれか一方、または両方を行うことができます。「必ずいずれか一方のみ」というウの記述は根拠のない限定であり、誤りです。

アは正しいです。成年被後見人の行為は原則として取り消しうる行為ですが(民9条本文)、日用品の購入その他日常生活に関する行為は取消しの対象外とされています(同条ただし書)。

イは正しいです。被保佐人は民法13条1項各号に定める重要な財産上の行為を行う場合には保佐人の同意が必要です。不動産の売却は同項3号・4号に含まれる類型にあたり、同意なき売却は取り消すことができます(民13条4項)。

エは正しいです。制限行為能力者の相手方は、1か月以上の期間を定めて確答を催告することができます(民20条1項)。法定代理人・保佐人等が催告された場合に期間内に確答がなければ追認とみなされます。

オは正しいです。「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」が後見開始の要件です(民7条)。

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【理論的背景】

制限行為能力制度は、成年被後見人・被保佐人・被補助人の3類型で、能力制限の程度が段階的に異なります。最も重い制限が成年後見(事理弁識能力を「欠く常況」→原則全行為取消可)、次が保佐(事理弁識能力が「著しく不十分」→民13条1項各号の行為に同意要)、最も軽いのが補助(事理弁識能力が「不十分」→本人申立てまたは同意が要件・個別に同意権/代理権を付与)です。この段階的設計の趣旨は、精神的能力の程度に応じて必要最低限の保護にとどめ、本人の自己決定権を最大限尊重することにあります。

【条文構造】

被補助人の核心条文を整理します。

  • 民法15条:補助開始の審判(本人の同意が必要・家裁が行う)
  • 民法17条:補助人の同意権付与審判と同意を要する行為の範囲(民13条1項各号の一部)。同意なき行為の取消し(17条4項)。
  • 民法876条の9:補助人への代理権付与審判(特定の法律行為について可)。

これらはいずれか一方のみでも、両方でも付与可能であり、「必ずいずれか一方のみ」という制約はありません。なお、補助人への同意権付与には本人の同意が必要(民17条1項但書)であり、本人が望まない保護は原則として課されない設計となっています。

相手方の催告権(民20条)については以下の点に注意が必要です。

  • 被保佐人・被補助人への催告:期間内に確答がなければ「取消し」とみなされる(民20条4項)
  • 法定代理人・保佐人・補助人等への催告:期間内に確答がなければ「追認」とみなされる(民20条2項)
  • 特別の方式が必要な場合(民20条3項)は「その方式によらなければ取り消しうる」との通知

【試験での位置づけ】

行政書士試験では制限行為能力の三類型(後見・保佐・補助)の比較問題が頻出です。特に「補助」は最も軽い制限であり、①本人の同意が審判の必要条件(民15条1項但書・17条1項但書)、②代理権と同意権は同時付与が可能、③同意を要する行為の範囲が民13条1項各号の「一部」に限定される、という3点が出題されます。「補助は必ずいずれか一方のみ」「補助開始に本人の同意不要」「補助では不動産売却が全て同意不要」などの誤りパターンを識別できるようにすることが得点の鍵です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 成年被後見人の「日常生活に関する行為」除外(民9条ただし書)は、スーパーでの食料品購入などの軽微な行為まで取消しを認めると相手方・市場取引が著しく混乱するという実際的配慮による。
  • イ: 民13条1項各号の具体例:1号(元本の領収・利用)、2号(借財・保証)、3号(不動産等の財産の得喪を目的とする行為)、4号(訴訟行為)など。不動産売却は3号に該当。
  • ウ: 正解(誤り)。代理権付与審判(876条の9)と同意権付与審判(17条)は独立した審判であり、いずれか一方でも、両方でも可。
  • エ: 相手方保護の制度。制限行為能力者側が取消権を持ち相手方は不確定な状態に置かれるため、相手方に催告権を与えてこの不確定状態を解消させる趣旨。
  • オ: 後見(民7条)「欠く常況」、保佐(民11条)「著しく不十分」、補助(民15条)「不十分」という三段階の文言の差異を正確に覚える。

【根拠条文】

民法 第7条(後見開始の審判)、第9条(成年被後見人の行為能力)、第13条(被保佐人の行為能力)、第15条(補助開始の審判)、第17条(被補助人の行為能力)、第20条(制限行為能力者の相手方の催告権)、第876条の9(補助人への代理権付与)

【補足】

補助開始の審判(民15条1項但書)と同意権付与の審判(民17条1項但書)のいずれも、本人の同意が必要という点は頻出。保佐・後見と区別して覚えること。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第9条(成年被後見人の行為能力)、第13条(被保佐人の行為能力)、第17条(被補助人の行為能力)、第19条(審判の取消し)、第20条(制限行為能力者の相手方の催告権)、第7条(後見開始の審判) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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