ITパスポート 令和3年度 問29:財務・会計に関する問題
粗利益を求める計算式はどれか。
- a(売上高)-(売上原価)正答
- b(営業利益)+(営業外収益)-(営業外費用)
- c(経常利益)+(特別利益)-(特別損失)
- d(税引前当期純利益)-(法人税,住民税及び事業税)
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答えは a「(売上高)−(売上原価)」 です。
粗利益(あらりえき)は、「売れた金額」から「その商品の仕入れ・製造にかかった金額(売上原価)」を引いた"ざっくりのもうけ"のこと。別名は売上総利益です。
たとえば、80円で仕入れたものを100円で売ったら、粗利益は20円。これが a の式です。
👉 覚え方:粗利益=売上 − 原価。「いくらで売って、いくらで仕入れたか」の差。
ほかの選択肢:b・c・d はもっと後の段階の利益(経常利益や当期純利益など)を出す式なので、粗利益ではありません。
なぜこれが正解か
正解は a。粗利益(=売上総利益)は、損益計算書の最初の利益で「売上高 − 売上原価」で求める。商品の販売額から、その仕入・製造に直接かかったコストを差し引いた利益を表す。
各選択肢の解説
- b (営業利益)+(営業外収益)−(営業外費用) → 経常利益の計算式。
- c (経常利益)+(特別利益)−(特別損失) → 税引前当期純利益の計算式。
- d (税引前当期純利益)−(法人税,住民税及び事業税) → 当期純利益の計算式。
覚え方・ひっかけ注意
粗利益=売上総利益で、利益5段階の一番上。「売って・仕入れて、その差」が粗利。b〜d はいずれも下の段階(経常・税引前・当期純)の式で、前問の利益5段階の知識でそのまま判別できる。粗利益=営業利益と混同しないこと(販管費を引く前が粗利益)。
理論的背景:売上総利益の会計的意味
売上総利益(粗利益、Gross Profit)は損益計算書の段階利益の起点で、売上高−売上原価として算出される。売上原価の計算構造(製造業)は「期首棚卸高+当期製造原価−期末棚卸高」であり、「売れた分だけ費用計上(費用収益対応の原則)」が会計の基本。小売業の売上原価は仕入原価がほぼそのまま当てはまるが、製造業では材料費・労務費・製造経費の製造原価計算が必要で、原価計算基準(直接原価計算・全部原価計算の違い等)が経営判断に影響する。
業種別の粗利率(参考値)
売上総利益率(粗利率)=売上総利益÷売上高は業種特性を強く反映する。製造業(自動車・電機):20-30%前後、小売業(スーパー):25-30%、SaaS・ソフトウェア:70-80%以上(限界費用がほぼゼロ)、コンサルティング:50-60%。粗利率が高い事業はスケールしやすく参入障壁が高い傾向があり、投資家・アナリストは粗利率の推移をビジネスモデルの健全性指標として重視する。
限界利益との違い
限界利益=売上高−変動費は粗利益と似て非なる概念で、管理会計・損益分岐点分析で使われる。売上原価には固定費(工場の減価償却・労務費の固定分)が含まれるため、粗利益は固定費込みのコストを引いた後の利益。限界利益は変動費のみを引くため、スケール効果(販売量増加によるコスト比率低下)を分析するのに適する。本問が問う財務会計の「粗利益」は全部原価計算ベースの指標であり、管理会計の「限界利益」とは別概念という点は基本情報レベルで重要な区別点。
上位資格への接続
基本情報技術者では財務三表(P/L・B/S・C/F)の関係・損益分岐点分析(固定費・変動費・BEP点の算出)・各種財務指標(売上総利益率・営業利益率・ROE・ROA・流動比率・自己資本比率)が出題される。応用情報以上では原価計算(標準原価・差異分析)・企業価値評価(DCF法・EV/EBITDA倍率)・セグメント別利益分析が問われることがある。
選択肢の発展補足
選択肢bの経常利益の式は「営業利益+営業外収益−営業外費用」で、前問で詳しく扱った。選択肢cの税引前当期純利益は「経常利益+特別利益−特別損失」であり、M&Aによる一時的な利益(負のれん発生益等)や大規模リストラ費用(特別損失)が影響する。選択肢dの当期純利益は株主帰属利益(EPS:1株当たり利益の分子)として株価評価の基礎となる。粗利益は「稼ぐ力の源泉」、当期純利益は「最終的な株主への帰属」という形で、両者は企業分析の全く異なる切り口を提供する。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問29/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。