ITパスポート 令和4年度 問1:知的財産権・法務に関する問題
著作権及び特許権に関する記述a〜cのうち,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a 偶然二つの同じようなものが生み出された場合,発明に伴う特許権は両方に認められるが,著作権は一方の著作者にだけ認められる。 b ソフトウェアの場合,特許権も著作権もソースプログラムリストに対して認められる。 c 特許権の取得には出願と登録が必要だが,著作権は出願や登録の必要はない。
- aa, b
- bb
- cb, c
- dc正答
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答えは d(cだけが正しい) です。
cが言っているのは「特許は“申請して登録”しないともらえないけど、著作権は作った瞬間に自動でもらえる(申請いらず)」ということ。これは正しいです。
👉 覚え方:著作権は“作ったら自動”、特許は“出願+登録”が必要。
ほかは?
・a:特許は「先に出願した人だけ」が原則。両方に認められるは×。
・b:プログラムの著作権は“書いたコード”を守りますが、特許は“コードそのもの”ではなく発明(アイデア・仕組み)を守るもの。なので「両方ともソースコードに対して認められる」は×。
なぜこれが正解か
正解は d(cのみ正しい)。
- c 正しい:特許権は出願し審査・登録を経て発生する(方式主義)。著作権は創作と同時に自動発生し、出願・登録不要(無方式主義、ベルヌ条約)。
各選択肢の解説
- a 誤り:特許権は先願主義。偶然同じ発明が生まれても、先に出願した一方にのみ認められる(両方には認められない)。
- b 誤り:著作権はソースプログラムリスト(表現)に認められるが、特許権は「発明(技術的アイデア)」に対するもので、ソースコードという“表現”そのものに認められるわけではない。
覚え方・ひっかけ注意
「著作権=表現を守る・自動発生」「特許権=アイデア(発明)を守る・出願登録が必要・先願主義」。bは“両方ともソースコードに”が誤り。aは“両方に認められる”が先願主義に反する。
理論的背景
知的財産権は大きく「著作権(Copyright)」と「産業財産権(Industrial Property Rights)」に分類される。両者は保護対象・発生要件・存続期間・保護範囲が根本的に異なる。
著作権の法的構造:著作権法(日本法)は思想または感情を創作的に表現した「著作物」を保護対象とする。プログラムも著作物として明示的に列挙されている(著作権法10条1項9号)。著作権は「創作と同時に自動発生」し、出願・登録は権利発生の要件ではない(無方式主義)。これはベルヌ条約(1886年・日本は1899年加盟)の「無方式の原則」に由来する。著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)は譲渡不可で著作者個人に帰属する点も重要。存続期間は著作者の死後70年(2018年法改正)。
特許権の法的構造:特許法は「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの(発明)」を保護対象とする(特許法2条1項)。保護されるのは技術的アイデア(思想)であり、ソースコードという表現形式ではない。先願主義を採用しており、同一内容の発明が複数の者によって独立してなされた場合、最初に出願した者のみが権利を取得できる。これが選択肢aの誤りの根拠(著作権では独立創作した双方に別個の著作権が成立しうる)。権利発生には特許庁への出願→審査→登録が必要(方式主義)。存続期間は出願日から20年。
アイデア・表現二分論(Idea/Expression Dichotomy):著作権法はアイデア(着想・概念・方法)自体は保護せず、そのアイデアを具体的に表現した「表現」のみを保護する。アルゴリズムや処理方式という技術的アイデアは著作権の保護対象外(特許の保護対象)。これが選択肢bの「特許権もソースプログラムリストに対して認められる」が誤りである根拠となる。
実務での使われ方
ソフトウェア企業は知的財産をコードの著作権と技術方式の特許という多層保護で守る。具体例として、Googleは検索アルゴリズム(PageRank等)を特許として出願し、検索エンジンのソースコードは著作権で保護している。OSSライセンス(MIT/Apache/GPL等)は著作権を法的基盤として利用条件を定める仕組みであり、著作権の帰属・移転の理解なしには正しく利用できない。
就業規則に「職務著作・職務発明の権利が会社に帰属する」旨を定める企業が多いが、発明者への「相当の利益の付与」義務(特許法35条)や著作者人格権の不行使特約など、実務上の取り扱いは複雑である。
試験での位置づけ
ITパスポートの知的財産権・法務分野で毎年出題される。「著作権:創作と同時に自動発生・無方式主義」「特許権:出願登録が必要・方式主義・先願主義」という対比が最重要。選択肢は「両方に認められる(先願主義違反)」「両方ともソースコードに対して認められる(保護対象の誤解)」という典型的な誤り構成でほぼパターン化されている。
上位資格では著作権の種類(著作者人格権・著作財産権)、OSSライセンス(GPL/MIT/Apache)の違い、ソフトウェア特許の要件(コンピュータを利用した発明・ビジネスモデル特許)まで踏み込んだ問題が出る。
選択肢の発展補足
選択肢a(偶然同一の発明は両方に特許権が認められるが、著作権は一方のみ):前半は先願主義と真逆で誤り(どちらか一方のみ)、後半も逆で誤り(著作権は独立した創作であれば依拠関係がなく両方に成立しうる)。著作権の「依拠性の原則」:ある著作物が先行著作物に依拠して作成された場合のみ侵害が成立し、独立して偶然同一のものを作っても侵害にはならない(Aa鶴亀問題)。
選択肢b(ソフトウェアは特許権も著作権もソースプログラムリストに対して認められる):著作権がソースコード(表現)を保護するのは正しい。誤りは特許権の対象。特許法はソースコードという「表現形式」ではなく「発明(技術的思想)」を保護する。同じアルゴリズムを実現する別言語の実装(Pythonで書いたコードをJavaで書き直したもの)は著作権侵害にはなりにくいが、特許権が成立するアルゴリズムであれば別言語での実装も特許侵害となりうる。この非対称性が両権利の核心的違い。
選択肢d(cだけが正しい):正解。「特許権の取得には出願と登録が必要」は方式主義の説明として完全に正確。「著作権は出願や登録の必要はない」はベルヌ条約の無方式主義として完全に正確。産業財産権4権(特許・実用新案・意匠・商標)はいずれも特許庁への出願・登録が必要であり、著作権との最大の制度的差異となっている。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度 問1/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。