ITパスポート 令和4年度 問18:経営戦略・イノベーションに関する問題
インダストリー4.0から顕著になった取組に関する記述として,最も適切なものはどれか。
- a顧客ごとに異なる個別仕様の製品の,多様なITによるコスト低減と短納期での提供正答
- b蒸気機関という動力を獲得したことによる,軽工業における,手作業による製品の生産から,工場制機械工業による生産への移行
- c製造工程のコンピュータ制御に基づく自動化による,大量生産品の更なる低コストでの製造
- d動力の電力や石油への移行とともに,統計的手法を使った科学的生産管理による,同一規格の製品のベルトコンベア方式での大量生産
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは a「お客さんごとに違う仕様の製品を、ITを使って安く・早く届ける取組」 です。
インダストリー4.0は『第4次産業革命』とも呼ばれ、工場をネットやAIでつなげて賢くする動きのこと。その目玉が『一人ひとり違う注文(オーダーメイド)でも、ITで効率よく安く・早く作る』ことです。
👉 覚え方:4.0=『IT・ネットで工場をつなぎ、オーダーメイドを安く早く』。
ほかの選択肢:b 蒸気機関で機械化→第1次/d 電力+ベルトコンベアで大量生産→第2次/c コンピュータ制御で自動化→第3次。bcdは昔の産業革命の話。
なぜこれが正解か
正解は a。インダストリー4.0(第4次産業革命)は、IoT・AI・ビッグデータで工場や機器をネットワーク化し、マスカスタマイゼーション(個別仕様の製品を低コスト・短納期で提供)を実現する取組。aの「顧客ごとに異なる個別仕様の製品を、多様なITによるコスト低減と短納期で提供」がこれに当たる。
各選択肢の解説(産業革命の段階)
- b 蒸気機関で手作業から工場制機械工業へ:第1次産業革命。
- d 電力・石油への移行と科学的管理によるベルトコンベア大量生産:第2次産業革命。
- c コンピュータ制御の自動化で大量生産品を低コスト化:第3次産業革命。
覚え方・ひっかけ注意
産業革命は「①蒸気→②電力・大量生産→③コンピュータ自動化→④IoT/AIで個別最適」。4.0の核は「つながる工場+オーダーメイドを安く」。bcdは過去の段階の説明で、最新の取組ではない点で外れる。
理論的背景
インダストリー4.0(Industrie 4.0)は2011年にドイツ連邦政府がハノーファーメッセで発表した製造業の戦略的イニシアチブで、「第4次産業革命」を意味する。IoT・AI・ビッグデータ・サイバー物理システム(CPS:Cyber-Physical Systems)を活用した製造業の変革を指す。
4段階の産業革命の整理(これが他の選択肢の内容となっている)は以下の通り。
- 第1次産業革命(18世紀後半):蒸気機関(James Wattが1769年に改良)を動力とした機械化生産への移行。手工業→工場制機械工業(選択肢b)。英国の綿工業・製鉄業で起きた変革。
- 第2次産業革命(19〜20世紀初頭):電気・石油を動力とし、テイラーの科学的管理法やフォードのベルトコンベア方式により同一規格品の大量生産が実現(選択肢d)。フォードのT型モデルが象徴的事例。
- 第3次産業革命(1970年代〜):コンピュータ・電子制御・情報技術による自動化。CNC(コンピュータ数値制御)工作機械、ロボットアームによる製造工程のコンピュータ制御(選択肢c)。
- 第4次産業革命・インダストリー4.0(2010年代〜):IoT・AI・ビッグデータで「大量生産品の効率化」をさらに超え、顧客ごとの個別仕様製品をマスカスタマイゼーション(大量個別化生産)で実現(選択肢a:正解)。
実務での使われ方
インダストリー4.0の具体的な実装として「スマートファクトリー」が普及している。製造現場のセンサーデータをリアルタイム収集・AI解析して生産計画を自動最適化し、設備の予知保全(故障前にメンテナンスする)を実現する。ドイツのSiemens・Bosch、日本のファナック・三菱電機が先進事例として知られる。
CPS(サイバー物理システム)は物理世界とデジタル世界を双方向に連携させる概念で、工場の実機状態をデジタル空間に忠実に再現した「デジタルツイン(Digital Twin)」により、仮想空間での生産シミュレーション後に実機展開する手法が実用化されている。
日本政府も「Society 5.0」(仮想空間と物理空間の融合による人間中心の社会)をビジョンとして掲げており、インダストリー4.0はその製造業版実現手段として位置付けられている。
試験での位置づけ
ITパスポートの経営戦略・新技術・DX分野で頻出。選択肢の4つが「第1〜4次産業革命」をそれぞれ説明した構成になっており、インダストリー4.0の特徴的キーワード「多様なITによるコスト低減」「個別仕様製品」「短納期」を確認できれば選択肢aを選べる。蒸気機関(第1次)→大量生産(第2次)→コンピュータ制御(第3次)→AI/IoT個別対応(第4次)という歴史的発展の流れを整理することで4選択肢を全て理解できる。
上位資格では、マスカスタマイゼーション(MC)の概念、デジタルツインと予知保全の技術背景、Society5.0・SDGs・GX(グリーントランスフォーメーション)との関連性まで踏み込んだ問題が出る。
選択肢の発展補足
選択肢b(蒸気機関・手作業から工場制機械工業への移行):第1次産業革命(1760〜1840年代・英国)の説明。Wattの蒸気機関改良(1769年)が工場における機械動力利用を可能にし、家内制手工業からマンチェスター型の工場制機械工業へ移行した。紡績機(ジェニー紡績機・水力紡績機)と蒸気力の組み合わせが英国綿工業の世界的覇権を確立した。「軽工業」という語が第1次産業革命の特徴を示す。
選択肢c(コンピュータ制御に基づく自動化・大量生産):第3次産業革命(1970年代〜)の説明。マイコン・PLC(プログラマブルロジックコントローラ)・CNC工作機械・産業用ロボットにより製造工程の自動化が進んだ。日本の自動車・電機産業がこの時代に世界競争力を獲得した。インダストリー4.0との違いは「標準化・大量生産の自動化(第3次)」vs「個別対応・データ活用(第4次)」にある。
選択肢d(電力・石油への動力移行・ベルトコンベア大量生産):第2次産業革命(1870〜1914年)の説明。フォードのT型モデル(1908年〜)を象徴とする大量生産革命。テイラーの科学的管理法(時間・動作研究による作業標準化)とフォード主義(流れ作業・垂直統合・高賃金大量消費)が組み合わさり、同一規格製品の低価格大量供給が実現した。電気・化学産業(電球・合成染料・合成肥料)の勃興もこの時代の特徴。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度 問18/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。